
総括
FX「内憂外患でトリプル安だが先週は下げ止まる。VAT引き上げは断念か」南アランド見通し
「通貨11位、株価5位」
「予想レンジ 南アランド円7.3-7.8」
(ポイント)
*トリプル安も先週は落ち着く
*内憂外患、連立政権崩壊危機、対米関係悪化
*予算案決着せずDAがANCに警告を発するが、合意の可能性もあり
*来週は消費者物価の発表
*BNPは成長見通し引き下げ
*企業のリーダー達は連立政権の維持を求める
*経済指標はマチマチ
*南ア貿易相手国、一に中国、二に米国
*中銀はインフレターゲットの見直しを提案
*水問題。停電も再開
*援助打ち切りの米に代わり中国、EUが支援約束
*ペルソナ・ノン・グラータ、米国が駐米南ア大使に宣言
*4Q・GDPは予想下回るも前期より改善
*南アは「投資適格」を目指す
*今年秋にAGOA法(南アから米国への免税輸出)の見直し
(ランドは4月初旬に急落、先週は下げ止まる)
4月南アランドは大きく下落した。4月だけで対円8.19%安、対ドルで4.29%安。年初来で3月末の5位から11位へ下落した。ただ先週は下げ止まりの気配も示している。
南ア株価指数はトランプ関税の下で世界の株価が急落する中で売られたが、かろうじてプラス圏に留まっている。年初来2.75%で世界5位だ。
10年国債利回りは11.04%、年初の9.04%、3月末の10.62%から.上昇している。
(内憂外患、ランド急落の主な要因)
国内では連立政権崩壊の危機、国外では米政権から30%の関税を発動されたこと(現在90日間の停止措置中)、南アの最大貿易相手国の中国が米国に対して125%の報復関税賦課を表明したこと(米国はさらに145%賦課を示唆)などが重なってのトリプル安であった。
また米国からの経済制裁も続いている。米国からの制裁の要因は土地収用問題、白人への差別、ガザ問題で米国が支援するイスラエルをジェノサイドとして訴えていることなどがある。
(今後の注目指標、来週は消費者物価)
今週は中銀議事要旨、2月小売売上、建設許可の発表、来週は3月消費者物価、卸売物価の発表がある。
(内憂外患で成長見通し引き下げ)
BNPパリバは、南ア国内の政情不安とトランプ米大統領の関税戦争を理由に、南アの経済成長率を大幅に引き下げた。
今年、1%の成長にとどまると予想されており、これまでの1.6%の予想を下回っていると述べた。
南ア連立政権の二大パートナーであるアフリカ民族会議(ANC)と民主同盟(DA)の間で、今年の予算案をめぐる対立が起こり、同盟関係に亀裂が生じ、不確実性が高まっている。
こうしたことはいずれも、企業信頼感の低迷ですでに苦戦している国内固定投資の短期的な意味ある成長加速に特に寄与するものではないとした。
また、「南ア港湾・鉄道運営会社トランスネットSOC社に対する規制環境がより複雑化していることを考えると、南アの運輸・物流インフラは2026年まで成果を上げそうにない」とも述べた。
米国の関税は南アにとって直接的にも間接的にも打撃となる逆風をさらに強めることになる。トランプ大統領が提案した当初の30%の相互関税が発効すれば、実効税率は11%から16%に上がるだろうと述べた。
米国の関税はまた、南アの主要貿易相手国の一部、特に中国の成長を阻害する恐れもある。