動画配信期間:公開日から2週間

動画の内容をギュッと要約

トランプ大統領のマッチポンプ戦略とコミュニケーションスタイル

トランプ大統領は就任以来「マッチポンプ」や「情報洪水戦略」と呼ばれる特徴的な手法を使用している
マッチポンプ戦略とは:自分で火をつけて自分で消しに行くが、元の状態には戻らないという特徴がある
情報洪水戦略:バノン氏が主導し、次々と驚くような情報を出し続け、間違いがあっても謝らず新情報で上書きする
批判する時間を与えない戦術:相手に反論する余地を与えないペースで情報を発信し続ける
具体例:日本のコメに対する関税を700%と誤った発言、ボーリングの球を落として輸入車検査するといった非現実的な発言

市場への具体的影響と為替動向

市場は基本的に需給原理に沿って動いているが、トランプの発言や政策で日々上下に揺れ動いている
中長期投資家はポジションをあまり変えないが、デイトレーダーは活発な値動きを利用できる状況
年初来で見ると円高が進んでおり、ドル円は約6%安となっている
トランプのマッチポンプ政策:関税政策で火をつけ、米日・米中貿易交渉で「少し緩めた」と表明しリスク選好を誘導

2025年5月の通貨市場動向

5月は円が最下位でスタート、リスク選好ムードが強まっている
4月に最下位だった南アフリカランドが5月は最上位に浮上
スイス、ユーロ、円が3強の状態が続いていたが、米中の「まやかしの関税合意」後にリスク選好となりメキシコに抜かれた
ポンド、ニュージーランドドルにも一時的に順位が逆転されるなど、変動が激しい

日本経済の現状と課題

企業業績の悪化:日産が2万人解雇、ホンダの業績悪化、日本製鉄の業績悪化、パナソニックホールディングスが1万人削減
円高の影響:企業業績が悪化し、税収も減少する懸念がある
政治的な意見対立:石破首相の政策に対し、高市氏が消費税減税を主張するなど政府内での意見の相違
5月14日水曜日に日本の企業物価指数発表、同日にオーストラリアの賃金指数も発表
5月17日金曜日に日本のGDP発表予定、予想は前期比0.2%減で4四半期ぶりのマイナス成長
第2四半期もマイナス成長となればリセッション(景気後退)入りを意味する

日銀の金融政策への見解

日銀の「主な意見」では不確実性が低下したら利上げする姿勢を示している
日銀の金融政策に対する批判:物価は政治や原油価格で動き、日銀の政策効果は限定的
「物価安定より景気下支えに重点を置くべき」との意見
「失われた20年」を招いた要因として「円高」と「出遅れた金融緩和」が挙げられている
植田日銀総裁の政策方針に対する懸念が示されている

アメリカ経済と政策の現状

米中・米日貿易交渉で関税合意を発表し、トランプはこれを自身の成果と主張
トランプ氏の特徴的な主張:「関税政策による物価低下は自分の功績、悪いことはバイデン前政権のせい」
駆け込み輸入の影響:在庫が多く、まだ関税の本格的な影響は表れていない
半年後から1年後に関税の本当の影響が現れる可能性
パウエルFRB議長への批判:トランプは辞めさせないと言いながらも「なぜ金利を下げないのか」と批判
財政赤字の財源を海外に求める姿勢:関税、映画収入、永住ビザなど海外からの収入源を模索
米民主党の反撃:トランプ政策に対する様々な訴訟が始まっている
物流への影響:カリフォルニアのロングビーチ港では貨物量が30%減少

欧州経済の好調な動き

ユーロが通貨トップに躍り出て、欧州株式市場も20%程度の上昇
ドイツやギリシャの株価が特に好調
景況感指数もマイナスからプラスに転じ、ユーロ圏経済に明るい兆し
EUも報復関税の準備をしており、米EU間の貿易交渉は難航する見込み
イギリスとの貿易合意はあったものの、企業間ではウィンウィンではないとの評価

オーストラリア・ニュージーランド経済の状況

オーストラリアは賃金指数発表、これに基づき利下げ判断が変わる可能性
政治は安定しており、首相の続投が決定(20年ぶりの出来事)
反トランプ的な政策が国民から支持を得ている
ニュージーランドは失業率が5.1%と高止まり(3年前は2%台)
雇用問題:多くのニュージーランド国民がオーストラリアに仕事を求めて移住
ニュージーランドの乳業大手フォンテラが買収対象に(フランスのラクタリス、日本の明治などが候補)
ニュージーランド中銀総裁が突然辞任したが、後任のオア氏も同様の政策を継続する見込み

市場の短期・中長期見通し

5月はリスク回避からリスク選好へと移行しているが、ボリンジャーバンドの上下限に近づき注意が必要
トランプの市場操作パターン:問題を起こし、大騒ぎをして、自分で解決したと主張するサイクル
デイトレーダーは短期変動に振り回されるが、中長期的には実需の需給に沿って動く見通し
日本経済の懸念点:円高と出遅れた金融政策により「失われた20年」の再来の恐れ
貿易赤字の縮小:原油価格の下落で貿易赤字が縮小すれば円は弱くならない可能性

今後の注目ポイント

5月16日:パウエルFRB議長の講演予定
イスタンブールで開催予定のロシア・ウクライナの和平会議:トランプ大統領参加の可能性
メキシコの政策金利発表
ニュージーランド・イギリスの第1四半期GDP発表
夏に米連邦政府の財政資金枯渇の可能性があり「夏の円高」に拍車をかけるリスク

結論

トランプ政権は「自分で火をつけて、自分で消す」マッチポンプ戦略と情報洪水戦術を継続し、市場は短期的に大きく変動する
中長期的には需給原理に従って市場は動くと予想されるが、政治的な不確実性は高い
日本は円高と日銀の硬直的な金融政策により、「失われた20年」後に再び同様の状況に向かう懸念がある
物価安定よりも景気下支えに重点を置くべきという意見が強まっている
グローバル経済においては、トランプ政権の保護主義的政策による貿易摩擦の拡大が継続するリスクがある
ベッセント財務長官に関しては特筆すべき言及はないが、米国の財政政策と海外からの資金調達に関わる政策に関連していると考えられる

野村雅道
野村雅道氏
FX湘南投資グループ代表 1979年東京大学教養学部を卒業後、東京銀行(現三菱UFJ銀行)入行。82年ニューヨーク支店にて国際投資業務(主に中南米融資)、外貨資金業務に従事。85年プラザ合意時には本店為替資金部でチーフディーラーを務める。 87年米系銀行へ転出。外資系銀行を経て欧州系銀行外国為替部市場部長。外国為替トレーディング業務ヴァイスプレジデントチーフディーラーとして活躍。 財務省、日銀および日銀政策委員会などの金融当局との関係が深く、テレビ・ラジオ・新聞などの国際経済のコメンテイターとして活躍中。為替を中心とした国際経済、日本経済の実践的な捉え方の講演会を全国的に行っている。現在、FX湘南投資グループ代表。

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