ID為替レポート
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「ドル円は「6月上げ、7月下げ」、米中会談は、LAは?」

ドル円=142-147、ユーロ円=163-168、ユーロドル=1.11-1.16

通貨ごとの注目ポイント

*円「通貨4位(3位)、株価18位(16位)、「6月上げ、7月下げ」」
(円安株安金利低下で6月はスタート)
 6月第一週は円安・株安・金利低下でスタート。円は12通貨中最下位、年間ではメキシコに抜かれ4位へ後退。日経平均は先週は多くの国が上昇する中、0.59%下げて年間18位、5.4%安。首位グループの欧州は年間20%以上の市場もある。10年国債利回りは5月末の1.505%からやや低下して1.459%。

(「6月上げ、7月下げ」)
前回、ドル円は「ボリバン2σ下限から反発。5月は5か月ぶり陽線」と書いたが、それが続いている。過去の月足データでは直近5年で「6月上げ、7月下げ」となっている。ただそれ以前の5年ではマチマチだ。


(焦点は来週のカナダでのG7サミット、日銀政策決定会合)
今週はGDP改定、国際収支、景気ウオッチャー、月例経済報告、企業物価、法人企業景気予測調査、第三次産業活動指数など重要指標があるが、焦点は日米貿易交渉、来週のカナダでのG7サミット、日銀政策決定会合だ。
 もちろん 今日からロンドンでの米中貿易協議も注目されている。

(日銀の国債買い入れ減額計画はどうなる)
 国債利回りが上昇し、日銀の国債買い入れ減額計画が話題になっている。日銀は6月の金融政策決定会合で国債買い入れ減額計画の中間評価を行う。植田総裁は、26年4月以降も買い入れ額を減らしていくことが適切との声が多く聞かれた一方で「具体的な減額ペースについては様々な意見があった」と話した。質疑応答で、26年4月以降も四半期4000億円の減額を維持すべきか、ペースダウンすべきか聞かれたが、明言しなかった。
また植田日銀総裁は、関税を巡って米中間に前向きな動きが見られているものの、5月初めの展望リポート以降「経済・物価を巡る大きな構図に変化はない」と述べた。その上で、今後の利上げのペースやタイミングについては、各国の通商政策の今後の展開やその影響を巡る不確実性が極めて高い状況下、経済・物価への影響を見ざるを得ないと話した。(物価上昇を主導するコメ価格の動向も注目だ)

(赤沢経済再生担当相)
 日米貿易交渉後、赤沢大臣は「合意の実現に向けた議論がさらに進展したとは言えるが致点を見い出せたかといえば見いだせていない」

*米ドル「通貨11位(11位)、株価(NYダウ)15位(14位)、米中貿易交渉とCPIに注目」
(依然ドルは弱い。ただ6月第一週は円より強し)
 ドルの6月第一週は円よりも強かったが12通貨中10位と全体では弱い。年初来は対円で7.86%安で11位。株価は3指数とも漸く年初来プラス圏に上昇した。10年国債利回りは4.51%で6月は5月末の4.397%から若干上昇。

(米中貿易関連会談でリスク選好が続くか)
 トランプ大統領は先週、中国の習近平国家主席と電話会談を行い、米中両国の交渉団が近く協議すると明らかにした。「会話の大半は貿易に集中した」とし、レアアース(希土類)製品に関しては「もはやいかなる疑問もないはずだ」と述べた。また、トランプ大統領は、米中が9日にロンドンで通商問題を巡り協議すると明らかにした。
 ここで米中会談結果が来週のG7サミットにも影響するだろう。(またLAの移民にかかわる暴動も気になる)。

(5月消費者物価)
 5月消費者物価の予想は前年比で2.5%、コアは2.9%で若干前月より上昇する。ただ6月のクリーブランドCPIナウは、それぞれ2.67%、3.01%であり、物価は先行き上昇すると見られている。

(貿易不均衡是正の強要は破たんする)
 貿易不均衡改善は、個人で言えば、Aスーパーから年間100万円、Bスーパーからは50万円買えと強要するようなもので、質の悪い計画経済のようなもの。家に不要品が溜まってしまう。生ものなら腐ってしまう。貿易は合理的に行うものだ。非効率そのものの政策でいずれ「TACO」となる。

(GDPナウ、CPIナウ、GSCPIは)
*アトランタ2QのGDPナウは3.8%で前回の4.6%から減少。ISMの結果を考慮。前期の純輸出が1.36から2.01に回復した。かけこみ輸入が減少した。
*クリーブランドCPIナウは2.4%、コアは2.84%でインフレ加速の兆候はない。ただ6月はそれぞれ2.87%、3.01%へ上昇
*サプライチェーンインデックス(GSCPI)は0.19で前回のマイナス0.29から上昇

*ユーロ「通貨2位(2位)、株価2位(2位)DAX)、米国の不確実性で欧州通貨と株が強い」
(ユーロは2位、株価は20%高)
ユーロはスイスに次いで2位、株価もギリシャや独は年初来で20%を超える強さだ。10年国債利回りは2.56%。強い経済成長ではないが、トランプ大統領によって生み出される米国の不確実性を嫌って
資金がユーロに流れている。

(ECBラガルド総裁)
 ラガルドECB総裁は、金融政策会合後、ECBは政策金利を0.25%引き下げ、現在の金融政策サイクルが新たな段階に入ったと表明したが、今後の金利動向は経済指標の動向次第となると述べた。ECBは状況の変化に柔軟に対応し、引き続き物価安定目標をしっかりと達成していくとし、政策の方向性を固定することはしないとした。

(目標下回るユーロ圏消費者物価)
 5月のユーロ圏消費者物価は前年同月比1.9%上昇し、ECBが目標とする2%を下回った。エネルギー価格の下落とサービス価格の上昇率の急低下により、4月の2.2%から減速した。予想は2.0%。

(独経済は今年ほとんど成長せず)
 独中銀は半年に1度の経済予測で。独経済は今年ほとんど成長せず、来年の成長率は0.7%にとどまるとの見通しを示した。政府支出の増加も2027年末までは成長率を大きく押し上げることはないと予想した。
ナーゲル連銀総裁は「米国の新たな関税と将来の米政策を巡る不確実性は、当面経済成長を鈍化させる」と指摘した。「これは長らく低迷していた国内産業がようやく安定を取り戻し始めた時期に大きな打撃をとなっている」との認識を示した。
今年の輸出は大幅に減少し、26年もわずかな増加にとどまるとの見通しを示した。関税による製造業の勢いの低下が労働市場と賃金上昇を圧迫すると予想した。
ナーゲル氏は「防衛とインフラに対する政府の追加支出により、27年末までにGDP成長率が大幅に上昇すると予想する」と述べた。
一方で、弱い経済成長は消費者物価の上昇圧力を引き続き抑制するとみられる。ドイツのインフレ率は今年2.2%に緩和し、26年にはECB目標である2%を下回ると予想されている。

*ポンド「通貨5位(4位)、株価8位(8位)、まずまずのポンド、今週は4月GDP、来週は政策金利」
(通貨、株ともにまずまずの展開)
 ポンドは年初来5位で対円0.41%安、円に迫って来た。対ドルは8.08%高と強い。ただ日足がボリバン2σ上限あることは深追い注意。FT株価指数も年初来8.14%高とまずまず。10年国債利回りは4.65%で先進国では高いグループにいる。

(対米貿易交渉ではある程度合意)
米国は6月3日、鉄鋼・アルミニウム関税を2倍に引き上げる措置について、英国への適用を見送ると発表した。英政府は先に、両国が関税引き下げ合意をできるだけ早期に実行する必要性で一致したと発表していた。

(今週は4月GDP、来週は政策金利)
 今週は4月雇用統計、GDP、鉱工業生産、貿易収支などの発表がある。来週は政策金利決定。

(政策金利)
 英中銀ベイリー総裁は6月3日、議会の財務委員会で、利下げについては「段階的かつ慎重な対応が引き続き私の方針だ」と述べた。
世界的な貿易政策の混乱により、金利の見通しは以前に増して不透明になっているとの見解を表明。「金利の方向は依然として下向きだと考える」としながらも、利下げのペースや金利の最終到達点に関しては、これまで以上に不確実性が高くなっていると述べた。
ベイリー総裁は、4月の消費者物価の前年比上昇率が3.5%で、3月の2.6%から大幅に加速したことに驚いておらず、労働市場は緩和しているとの見方を表明。賃金上昇の鈍化が追加利下げの「決定的な」条件になるとした。ベイリー総裁は、6月の会合での意向については言及を避けるとの考えを示した。
予想では、英中銀が3カ月ごとに0.25%の利下げを継続するとの見方が強い

(OECD成長見通し)
OECDは2025年の成長見通しを1.4%から1.3%に下方修正、一方IMFは1.2%と、4月時点の1.1%から上方修正。ただ数値は似通ってきている

*豪ドル「通貨9位(9位)、株価12位(12位)、弱いGDP、7月利下げ見通し。成長見通し下方修正」
(豪ドは安いがドルより強い)
 豪ドルは年間9位で対円で3.34%安でNZドルより弱い。豪全普通株指数は年初来3.82%高でこれはNZより強い。10年国債利回りは4.34%。

(米中貿易交渉に注目)
 中国が最大の貿易相手国である豪にとっては今日から始まるロンドンでの米中貿易交渉が気になるところだ

(弱いGDPで7月も追加利下げか)
1Q・GDPは前期比0.2%増と、予想の0.4%増を下回った。消費者の節約志向が続いたほか、昨年の経済をけん引した政府支出が停滞したことが背景で、追加景気刺激策も考えられる。
家計消費は0.4%の微増。借入コスト低下やインフレ鈍化にもかかわらず、GDP成長率を0.2%ポイント押し上げるにとどまった。RBAは経済活動の低迷が2Qも続くことを示すさらなる兆候を注視するだろう。そのような証拠が積み重なれば、7月に追加利下げを選択するかもしれない。
消費よりも貯蓄を選ぶ消費者動向を背景に家計貯蓄率は5.2%に急上昇。22年3Q以来の高水準となった。スワップ市場では、7月の利下げ確率は80%になると織り込まれている。

(RBA議事要旨では0.55利下げも議論)
5月のRBA金融政策決定会合議事要旨で、大幅な利下げが検討されていたことが明らかになり、追加利下げへの期待が高まった。
議事要旨によると、5月の会合では世界的な貿易摩擦への「保険」として、0.5%の利下げが検討されていた。

(OECDが成長見通しを下方修正)
 OECDは豪の成長見通しを引き下げた。2025年は1.8%成長で、3月の見通しの1.9%から下方修正した。関税の上昇と政策の不確実性が世界的に投資に与える抑制効果を通じてもたらされる可能性が高く、その一部は鉄鉱石、石炭、天然ガスの価格低下に表れている。政府に対し、より長期的な人口動態、住宅、気候問題に取り組むとともに、税制をより効率的にするための措置を講じるよう求めた。

*NZドル「通貨6位(6位)、株価17位(17位)、焦点はGDP。政策金利の見方は」
(通貨は中位。株は弱い)
 NZドルは年初来12通貨中6位で対円で0.92%安、株価は19市場中17位で4.17%安、10年国債利回りは4.64%で先進国では高い。
対米貿易の規模が小さく、対米では貿易赤字なので、関税問題での影響は小さい。ファンダメンタルズも良好ではないが、豪ドルが下げているので、NZドルが対価として買われている部分はある。

(焦点はGDP)
6月1日に1Q・GDPが発表される。予想は前期比で0.5%増、前年比で1.2%減。前期はおれぞれ0.7%増に1.1%減少。前期でリセッションを抜け出したが強いわけでもない

(世界的な不確実性の中で脆弱な回復が続く)
 NZIERの四半期予測によると経済回復は依然として脆弱であり、低金利が家計心理を支えるものの、需要の低迷が引き続き企業活動に重くのしかかっている、とされた。
企業の信頼感は改善しているものの、意思決定においては依然として慎重な姿勢が続いている。

60%以上の企業が売上不振を主な制約として挙げていることを強調しており、労働力不足ではなく需要の低迷が企業にとって最大の課題であることを示唆している。

NZIERは、住宅建設需要は依然として低調であり、これは建設許可発行データの低迷からも明らかだと指摘。また、企業投資全般の回復も鈍い状況だ。

(米中貿易摩擦が影響、今後の政策金利は)
NZIERはNZの二大輸出市場である米国と中国の間の貿易政策の変化は、下振れリスクと潜在的なチャンスを伴っているとした。
乳製品や肉類の輸出は依然として堅調だが、林業やアルミニウムなどの分野は、特にこれらの商品が投資需要に左右されることを考えると、世界的な不確実性によりすでに価格圧力にさらされている。

世界的な不安定さの中で政策金利のさらなる引き下げが予測される。ただインフレ期待は最近、あらゆる期間にわたって上昇しており、シャドーボードのメンバーは依然として意見が分かれている。慎重な姿勢を主張し、政策金利を3.5%に据え置くことを主張するメンバーがいる一方で、他のメンバーは、長期的な停滞を回避するために0.5%の利下げが緊急に必要だと主張している。

テクニカル分析 ドル円「雲中へ上昇。6月上げ、7月下げのパターンか」
日足、もみ合い後雲中へ上昇。6月5日-6日の上昇ラインがサポート。5月29日-6月6日の下降ラインが上値抵抗。5日線上向き、20日線下向き。
週足、5月12日週の波高し線が効いて下落。2週連続戻すもまだボリバン下位、雲の下。4月21週-6月2日週の上昇ラインがサポート。5月26日週-6月2日週の下降ラインが上値抵抗。5週線下向き、20週線下向き。
月足、ボリバン2σ下限から反発。5月は5か月ぶり陽線、ただ上ヒゲが長い。中位を越えず。5か月線。20か月線下向き。4月-5月の上昇ラインがサポート。4月-5月の下降ラインが上値抵抗。
年足、5年ぶりの陰線が進行中。24年始値に近づく。23年-24年の上昇ラインを下抜く。2012年-2021年の上昇ラインがサポート。1985年-2024年の下降ラインが上値抵抗。

ユーロドル「日足、月足でボリバン上限で一服」
日足、ボリバン上位維持。2σ上限から反落。5月29日-6月6日の上昇ラインがサポート。6月5日-6日の下降ラインが上値抵抗。5日線、20日線上向き。
週足、先々週の長い下ヒゲで先週は上昇も今度は上ヒゲが長い。ボリバン上位。5月12日週-26日週の上昇ラインがサポート。4月21週-6月2日週の下降ラインが上値抵抗。5週線、20週線上向き。
月足、5か月連続陽線。5月は下ヒゲが長くなる。雲の上、ボリバン2σ上限。4月の高値を越えられるか。4月-5月の上昇ラインがサポート。4月-5月の下降ラインを上抜く。5か月線、20か月線上向き。
年足、24年は陰線。25年は陽転。22年-24年、01年-22年の上昇ラインがサポート。21年‐24年の下降ラインを上抜け、14年-21年の下降ラインが上値抵抗で接してきた。

ユーロ円「ボリバン2σ上限到達」
日足、ボリバン2σ上限到達。5月23日-6月5日の上昇ラインがサポート。2024年10月31日-25年6月6日の下降ラインが上値抵抗。5日線、20日線上向き。
週足、僅かに雲の上に出る。ボリバン上限へ近づく。5月26日週-6月2日週の上昇ラインがサポート。24年7月8日週-25年6月2日週の下降ラインが上値抵抗。5週線、20週線上向き。
月足、ボリバン中位越え。雲の上。4月-5月の上昇ラインがサポート。24年7月-25年5月の下降ラインを上抜く。5か月線、20か月線上向き。
年足、5年連続陽線、今年も僅かながら陽転。22年-23年の上昇ラインがサポート。

情報提供元:FX湘南投資グループ
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