この記事は2025年7月9日に「CAR and DRIVER」で公開された「【Mを知る】BMW M135 xDriveは日常の中の非日常に注目したMパフォーマンスモデルの代表。匠の技で潜在能力を引き出す!」を一部編集し、転載したものです。

一般公道をターゲットにスパイシーな走りを追求
BMWの「M」には、2種のモデルラインが存在する。ひとつはM4やM5など、M社が開発そのものを担当したMハイパフォーマンス・シリーズ。もうひとつは、ベース車をM社がファインチューンした「Mパフォーマンスモデル「と呼ばれるクルマたちである。どちらも」駆け抜ける歓び「を追求した駿馬だが、Mモデルはサーキットを射程に収めたリアルスポーツ、Mパフォーマンスモデルは一般公道をターゲットにしたスパイシースポーツである。


エンジンはもちろん、スタイリングや内外装まで徹底的に仕上げたリアルMに対し、Mパフォーマンス車は、内外装はベースモデルと基本的に共通。エンジンと足回りが主なチューニングポイントだ。こう聞くと、Mパフォーマンスモデルは、リアルMとは別種の存在に映るかもしれない。だが、決してそんなことはない。どちらもBMWを知り尽くしたMの作品である。走りは本当に素晴らしい。違いはそのスタンス。非日常を重視したリアルMに対し、Mパフォーマンスは、日常の中の非日常に注目している。通常ユースでも刺激を味わえるのはむしろMパフォーマンスモデルのほう。価格もリアルMほど高額でなく、頑張れば手が届く範囲なのもうれしい。ちなみにMパフォーマンスは、車両だけでなくエアロパーツやブレーキ、アルミホイールなどパーツ単体のプロデュースも行っている。スタンダードなBMWをM風味に変身させる場合にも大いに役に立つ。


Mパフォーマンスの高い実力を象徴するのが最新のM135 xDriveである。エンジンは標準120の1.5リッター直3ターボ(156ps/240Nm)に対し、2リッター直4ターボ(300ps/400Nm)を搭載。駆動方式も電子制御4WDになる。
この2リッターターボはまさに絶品。全域でシャープな反応を見せつけ、つねに十分以上のパワーを生み出す。しかも高回転域まで回しても4気筒特有のラフな回転フィールは皆無。BMWのスポーツ心臓らしいスムーズさが印象的だ。快音を奏でドライバーを心地よく高揚させる点も魅力的である。
フットワークのよさにも目を見張る。ステアリングレスポンスがシャープなだけでなく、荒れた路面でもロードホールディング性能は良好。乗り心地にも粗い印象はまったくない。ボディの姿勢変化を確実に抑えながら、ゴツゴツした印象を伝えてこないのは、驚異的ですらある。M135の高い走りの実力は、圧倒的な洗練のうえに成り立っている。


赤いアクセントラインが入ったステアリングや体をしっかりサポートするスポーツシート、制動力を高めたドリルドディスクブレーキなど、ホットな走行をサポートする配慮も万全。それでいてスタイリングは適度にスポーティといった趣。全身スポーツのM4やM5とは異なり、普段着感覚でつきあえる。MパフォーマンスモデルのM135は、運転好きに最高のデイリーユーススポーツである。





(提供:CAR and DRIVER)