ID為替レポート
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「G20が米国へ反発。円安需給続く日本で与党敗れる」

ドル円=146-151、ユーロ円=170-175、ユーロドル=1.14-1.19

通貨ごとの注目ポイント

*円「通貨7位(6位)、株価18位(17位)、4月のトップから7位まで後退した円、要因は」
(4月のトップから7位まで後退した円)
 円は7月はここまで最下位と安い。4月末は年初来トップであったが、その後じり貧、現在は7位まで後退している。日経平均はなかなかプラス圏とならない、4万円にも乗らず、世界の市場では最弱グループ。これで円高になれば株価はさらに落ちていくだろう。10年国債利回りは先週1.6%近くまで上昇したが週後半低下して1.533%。

**参院選挙は実需の需給には影響しないが、野党各党は円安志向でもない**

(円が弱い要因は)
 5月、6月の10兆円を超える外貨投信の増加が円安を支えている。1-4月は減少傾向であり円高要因となっていた。貿易需給は1-6月で赤字が縮小しているが小幅であるので大きなドル円変動余韻となっていない。
選挙で与党敗北となった場合は、野党政権が訴える減税で財政赤字が膨らみ日本の財政への信頼が失われ円安になるとされているが、それがすぐさま為替需給に影響を及ぼすことはない。日本国債保有は国内中心だからだ。ただ2%へ向かう予想が強まれば、外債より国内債という思惑が出て逆に円買い要因となる。

(6月消費者物価、 前年同月比で3.3%上昇 備蓄米含まれず)
 6月の消費者物価指数は、天候による変動が大きい生鮮食品を除いた指数が、去年の同じ月より3.3%上昇。上昇率は4か月ぶりに縮小したものの、3%を超える高い水準が続いている。
ガソリン価格に対する政府の補助金が始まったことなどで、上昇率はことし2月以来、4か月ぶりに縮小した。
上昇の主な要因は食料品の値上がりで、「生鮮食品を除く食料」は8.2%上昇。このうち「米類」は100.2%上昇し、去年の2倍を超える高い水準が続いるが調査はコシヒカリといった銘柄米が対象で、備蓄米は含まれない。

(今週の重要イベント)
 今週は日銀内田副総裁の講演、基調的なインフレを捕捉するための指標、7月東京都消費者物価の発表がある。

(関税の影響はこれから)
 今年前半は関税引き上げ前の駆け込み輸出増で円高要因となったが、それ以降はこの要因は剥げ落ちしている。
米国は8月1日から日本からの輸入品に25%の関税を課す計画だが、実施されて輸出が減れば円安要因。

*米ドル「通貨11位(11位)、株価(NYダウ)15位(15位)、G20声明は反米的」
(ドルは今月はやや強く月間3位)
 ドルは今月はやや強く月間3位、ただ年初来で11位は変わらず。株価3指数はいずれもプラス圏を回復しているが10%以下で、30%を超えるトップグループとに大きく引き離されている。
10年国債利回りは4.42%。

(G20声明で名指しはしないが米国を批判、米財務長官は会議に参加せず)
 南アで開催されたG20財務相中銀総裁会議は、世界的な問題となっていトランプ関税やFRBの独立性が声明で取り上げられた。米国のいいなりにはならないという気概を示すことが出来たのは良かったが米財務長官は会議に参加せず大阪万博へ向かっていた。

声明では「世界経済は貿易面での緊張など、不確実性の高まりと複雑な課題に直面している。多国間協力の強化の重要性を強調する」と明記した。また「中央銀行はそれぞれの責務に基づき、物価の安定を確保することに全力を尽くし、データに応じて政策を引き続き調整する。この目標を達成するには、中銀の独立性が不可欠だ」と続けた。

(消費者物価上昇、卸売物価低下、インフレ期待低下とマチマチ)
 6月消費者物価は前年比で2.7%上昇(前月2.4%上昇)、卸売物価は2.3%上昇(同2.7%上昇)。7月のミシガン大の1年先の期待インフレ率は4.4%、5年先は3.6%で、ともに前月の5.0%、4.0%から低下。それぞれ、5カ月ぶり、2月以来の低水準となった。
フェドウオッチでは7月FOMCでは90%以上の確率で据え置きとされている。7月CPIナウは2.73%、コアが3.04%。6月実績はそれぞれ2.7%、2.9%。
 
(FRB内の見通し)
・ウオーラー理事=7月利下げ改めて主張
・グールズビー・シカゴ連銀総裁=今後12カ月で「かなり」低下する可能性がある
・ボスティック・アトランタ連銀総裁=短期的には金利を引き下げるのが難しいかもしれない
・クグラーFRB理事=当面利下げ見送るべき
・ウィリアムズNY連銀総裁=連銀の引き締め政策の姿勢は完全に適切だ。

(トラブル多い)
・海外=イラン、ウクライナ、関税問題
・予算削減で州や大学が反発、中銀の独立性
・エプスタイン問題 、移民問題

*ユーロ「通貨2位(2位)、株価4位(3位)DAX)、ユーロ円8週連続で週足陽線」
(ユーロ円8週連続で週足陽線)
ユーロ円8週連続で週足陽線を達成。7月は対ドルで若干弱いが円がさらに弱い。欧州の株価は強く、独DAXが年初来22%高。独10年国債利回りは2.68%。

(政策金利は据え置きか)
 ECBは今週の理事会で政策金利を2.15%に据え置くと予想されている。トランプ氏が提案した関税が発動される8月1日より前に交渉が合意に至らなければ、報復措置を講じると警告しており、ECBが直面する問題は一段と複雑化している。
 ただ関税問題もあるが、ユーロ圏経済が少なくとも当面は底堅く推移するとの見通しが強い。GDP予想では今年が前年比1.0%増、来年が1.2%増、2027年が1.5%増となり、1カ月前の調査とほぼ同様だった。

(米国への報復関税は)
 フォン・デア・ライエン欧州委員長は 米国による追加関税への対抗措置に関し、8月初旬まで実施を延期すると、で発表した。今回の発表は、トランプ大統領が公開した8月1日からEUに対して30%の追加関税を課すとの通知を受けたものだ。

(独経済が好転)
メルツ独首相は18日、独経済が不況から好転し、回復に向かっていると述べた。また、EUと米国間の関税交渉も最終段階に入ったと述べた。メルツ首相は、政府が最近導入した減税政策がプラスの影響を与えており、市場の信頼感は回復を続け、投資家の投資意欲は大幅に高まり、一部の経済研究機関も経済の成長に対する期待を高め始めていると述べた。
メルツ首相は「関税が低ければ低いほど双方にとって有益であり、関税は最終的には全ての人に損害を与えることになる」と述べた。

*ポンド「通貨4位(4位)、株価9位(8位)、今年の英市場は通貨、株、金利ともにまずまずの位置)
(今年の英市場は通貨、株、金利ともにまずまずの位置)
対ドルで弱いが対円で強い7月。年間でポンドは4位、FT株価指数は年初来10.02%高、10年国債利回りは4.68%で先進国では一番高い。

(今週は)
今週は7月製造業サービス業PMIと6月小売売上の発表がある

(労働市場の減速は、それほど深刻ではない)
5月賃金上昇率は鈍化。6月の雇用者数は5月から一段と減少した。ただ、労働市場の減速は、それほど深刻ではないとの受け止めが広がった。
3-5月の賃金上昇率は前年同期比6.0%と、2-4月の5.2%から鈍化し、2022年2Q以来の低水準となった。
予想の4.9%は上回った。また、4月の賃金上昇率は5.2%から5.3%に上方修正された。
一方、5月の被雇用者数は速報値の10万9000人減から2万5000人減に大幅に修正された。
6月の被雇用者数は速報値で4万1000人減。全体としては労働市場が冷え込みつつあることを示しているが、英中銀の予想ほど急激ではない可能性がある。
利下げ加速の圧力を和らげるもので労働市場は引き続き軟化しているものの、5月の雇用者数が大幅に修正されたことで、以前ほど憂慮すべき状況ではないと見られている。

(6月消費者物価上昇)
 6月消費者物価上昇率は前年同月比3.6%と、2024年1月以来の高水準となった。英中銀が8月、利下げに踏み切るかどうか判断が難しくなる可能性がある。
5月は3.4%上昇。予想も3.4%。

*豪ドル「通貨8位(7位)、株価11位(13位)、最強通貨から最弱通貨へ(週間)」
(週足、最強通貨から最弱通貨へ)
 7月7日週は予想外の利上げで豪ドルが週間最強となったが、7月14日週は雇用悪化で週間最弱となった。年間では現在8位。全普通株株価指数は6.96%高。10年国債利回りは4.35%

(6月失業率は3年半ぶり高水準、8月利下げ観測高まる)
6月就業者数はわずかに前月比2千人増。予想の2万人増を大きく下回った。失業率は前月の4.1%から4.3%に上昇し、21年11月以来の高水準となった。
労働市場には明確な減速の兆候が見られる。これは、成長と雇用よりもインフレを優先するというRBAの今月の決定に疑問を投げかけるもので8月の会合で間違いなく埋め合わせをすると予想されている。

(今週の指標)
今週はRBA議事要旨や7月製造業・サービス業PMIの発表がある

(消費者信頼感指数は改善)
 7月消費者信頼感指数は93.1で、前月比で0.6%、前年比では12.6%それぞれ上昇した。
今後12カ月の経済見通しを示す指数は前月比1.8%上昇、5年間の見通しを示す指数は2.8%低下した。
家計を示す指数は前年比で5.0%上昇、今後12カ月の見通しを示す指数は2.6%上昇した。 高額な家庭用品購入に向いた時期かどうかを示す指数は2.6%低下した。
 
(豪中首脳会談)
 アルバニージー首相は15日中国の習近平国家主席と会談し、2国間関係を深める用意があると述べた。 習主席は会談の冒頭、「豪中関係のさらなる発展を促進」する意向を示した。
アルバニージー首相は両国の貿易関係は、米関税への対応とは別個のものだと指摘。10年前に締結した豪中の自由貿易協定が見直されることになるとし、首脳会談では脱炭素化を巡る新たな協力の可能性について合意したと述べた。 習主席は、両国が引き続き戦略的な相互信頼を強化し、双方にとって好ましいビジネス環境を整備するとともに、複雑な国際情勢の中で「多国間主義と自由貿易を守る」べきだと強調した。

*NZドル「通貨6位(5位)、株価19位(18位)、今週は2Q消費者物価の発表」
(年間で6位で円よりは強い)
NZドルの7月は対ドルでは強くはないが、円が弱いため月間で10位、年間で6位となっている。株価指数NZ50は主要株価では最弱で年初来1.76%安。10年国債リマW利は4.62%で先進国では高い。

(4月PMI改善)
 4月製造業PMIは48.8で前月の47.4から改善、サービス業PMIは47.3で前月の44.1から改善した
総合PMIは48.3で前月の45.4から改善した

(今週は2Q消費者物価の発表)
今週は2Q消費者物価の発表。予想は前年比で2.8%上昇、前期は2.5%の上昇 

(2026年の成長予測を大幅改善)
インフォメトリクスは、堅調な輸出収入が経済回復の重要な原動力となるだろうとしている。経済は徐々に回復し、来年は2%に達する見込みとした。
農産物輸出の急増、金利の低下、関税騒動への懸念の減少により、経済成長予測を倍増させた。
「特に農業部門における力強い輸出収入は、今後18カ月間の経済回復の重要な原動力となるだろう」と述べた。
金利低下は債務返済コストの低下により家計支出を刺激するだろうが、失業率が今年後半に5.3%でピークを迎えると見込まれるなど雇用市場が軟調なことから、引き続き慎重な姿勢が続くだろう。
今後5年間の成長率は平均して年2.1%と予測されているが、一人当たりの経済成長の指標である個々のシェアが以前の最高値に戻るまでには少なくとも2年かかるだろう。
経済は昨年末から今年初めにかけて6か月間にわたり堅調な成長を記録した。
二大貿易相手国である米国と中国の見通しに対する懸念は消えてはいないが、それほど脅威にはなっていないと述べた。