リスト改訂でコア業種に変更

財務省は全上場企業について事前届け出に該当するかどうかの目安を示すリスト(3分類)公表しているが、芝浦電子はどう分類されているのか。

7月15日公表の改訂リストによると、芝浦電子は指定業種のなかでも国の安全を損なうおそれのある「コア業種」に指定とされている。前回リスト(昨年9月改訂)では指定業種以外(事後報告業種)に分類されていたが、今回の改訂で事前届け出の対象である「コア業種」に変更された。

財務省は最新の会社の事業内容を反映するため、定期的に全上場企業に照会を行い、リストを改訂している。ヤゲオはリスト改訂に先駆ける形で、芝浦電子の事業の1部がコア業種に該当する可能性があるとみて事前審査を届け出ていた。

芝浦電子株価、買付価格を上回る高値圏

今後、買収戦を抜け出すのはヤゲオ、ミネベアミツミのいずれになるのか。当面の焦点は、6200円の買付価格で並ばれたヤゲオの出方だ。TOBを制するには相手側を上回る買付価格を提示することが必須となる。

しかも、芝浦電子の株価はミネベアミツミの買付価格引き上げを受け、先週末から6400円前後の高値で推移し、現状のままではヤゲオを含めて両社ともTOBへの応募が見込めない状況にある。

渦中の芝浦電子はヤゲオのTOBについて賛同か反対の意見を留保したまま。一方、ホワイトナイトのミネベアミツミのTOBには賛同を維持しながらも、買付価格がヤゲオを上回っていないことから株主には応募中立の立場をとる。

価格のつり上げ合戦に突入するのか?

ヤゲオ、ミネベアミツミの両社ともTOBに投じる金額は現状でも900億円超に上り、当初想定をすでに4割ほど上回る。この先、価格のつり上げ合戦に突入すれば、将来の投資回収が困難視されるなど、本体の企業価値を棄損しかねないリスクを負うだけに、“進軍”停止の判断を迫られる場面もありそうだ。

ちなみに、外為法に基づき外国企業による投資の中止命令が出たのは過去1度だけ。2008年、英投資ファンドのザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンドがJパワー(電源開発)株を9.9%から20%に買い増そうとした際、日本政府が待ったをかけたことがある。

◎芝浦電子の買収をめぐる動き

2/5 ヤゲオ、芝浦電子に1株4300円でTOBを実施すると発表 
  12 芝浦電子、特別委の設置を発表
4/10 ミネベアミツミ、「ホワイトナイト」として名乗り。1株4500円でTOBを実施すると発表
  〃 芝浦電子、ヤゲオのTOBへ反対を表明
  〃 芝浦電子、ミネベアミツミのTOBに賛同を表明し、株主に応募を推奨
  17 ヤゲオ、買付価格を1株5400円(従来4300円)に引き上げ
  〃 芝浦電子、ミネベアミツミのTOBに賛同を表明し、株主に応募を推奨
5/2 ミネベアミツミ、TOBを開始(~6月9日)
   8 ヤゲオ、買付価格を1株6200円(従来5400円)に引き上げ
   9 ヤゲオ、TOBを開始(~6月19日)
 21 芝浦電子、ヤゲオのTOBについて意見表明を留保すると発表
  〃 芝浦電子、ミネベアミツミのTOBに賛同を維持するが、応募中立の立場を表明
  22  ミネベアミツミ、買付期間を6月12日まで延長
 6/4 ミネベアミツミ、6月19日まで延長(2度目)
  17 ミネベアミツミ、7月1日まで延長(3度目)
  18 ヤゲオ、7月1日まで延長
  25 ヤゲオ、7月9日まで延長(2度目)
  27 ミネベアミツミ、7月11日まで延長(4度目)
 7/1 ヤゲオ、外為法の審査延期を発表。買付期間も7月15日まで延長(3度目)
  10 ミネベアミツミ、7月16日まで延長(5度目)
  15 ヤゲオ、8月1日まで延長(4度目)
  16 ミネベアミツミ、7月28日まで延長(6度目)
  28 ミネベアミツミ、8月1日まで延長(7度目)
 8/1 ヤゲオ、外為法の審査審査の再延期を発表。買付期間も8月18日まで延長(5度目)
  〃 ミネベアミツミ、買付期間を8月18日まで延長(8度目)
  14 ミネベアミツミ、買付価格を6200円に引き上げ(2度目)、8月28日(9度目)まで延長を発表
  18 ヤゲオ、8月28日まで延長(6度目)

文:M&A Online