ID為替レポート
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「世界分断で分散投資。パウエル氏冷静。米政府閉鎖はあるか?」

ドル円=145-150、ユーロ円=171-176、ユーロドル=1.15-1.20

通貨ごとの注目ポイント

*円「通貨7位(6位)、株価12位(14位)、一人当たりGDPが40位では寂しい」
(円も株も世界水準では真ん中くらい)
 円相場は、貿易赤字の縮小と外貨投信の増加で強くもなく弱くもない7位という位置にある。株価は最高値更新と騒いでいるが、世界レベルでは12位で必ずしも強くはない。失われた20年へのリベンジとは言えない。10年国債利回りは1.64%へ上昇。年内利上げ観測もあるからだろう。

(日銀ETF売却に一時、市場騒然)
 日銀は5会合連続で政策金利の維持を決めた。ただ、政策委員9人のうち2人が利上げを主張。会合では上場投資信託(ETF)の売却も決定。市場には「サプライズ」となったが、すべてを処分するには100年以上かかることとなる。会合前は取引時間中の最高値を更新したものの、日銀の決定を受けて需給への懸念が台頭。一転して一時800円を超える値下がりを演じた。

 今週は「日銀の基調的なインフレ率を捕捉するための指標」が発表される。既に3つの指標のうち2つが1%台。早めの日銀の利下げは過去何度も失敗してきたことを思い出さざるを得ない。

(8月全国消費者物価は伸び縮小)
 8月の全国消費者物価(生鮮食品を除くコアCPI)は、政府の物価高支援策の影響でエネルギーが下落し、前月から伸びが縮小した。日本銀行の目標の2%は引き続き上回り、年内利上げ観測の支えとなりそうだ。コアCPIは前年同月比2.7%上昇と予想と一致した。3%台割れは9カ月ぶり。日銀目標を上回るのは41カ月連続となる。
コアコアCPIは3.3%上昇と伸びが縮小し、予想と一致した。

(金融資産と一人当たりGDP)
 日銀の資金循環統計によると、25年6月末時点で家計の金融資産残高は前年同期比1%増の2239兆円と過去最高だった。米国は1ドル147円換算で2.5京円で日本の約11倍。米国の人口が日本の3倍で資産が11倍では日本が見劣りする。それを反映してか、日本の一人当たりGDPは世界で40位前後だ。自民党総裁選挙が行われているが、石破首相のGDP1000兆円とか、岸田前首相の所得倍増など、口だけかもしれなかったが
 景気のいい話は聞こえてこない。野望がないのだろうか。

*米ドル「通貨11位(11位)、株価(NYダウ)15位(15位)、世界分断で分散投資。FOMC冷静。政府閉鎖は?」
(冷静なFOMCでドル安定、長期債利回りは上昇)
今月のドルは比較的落ち着いている。年間では11位と弱い。それがトランプ政策の結果だ。株価も3指数とも最高値を更新したといえども、10%程度の伸び。上位グループは20-40%の伸びを示している。
FOMCでは予想通り0.25%の利下げに踏み切ったものの、年内は段階的に利下げを実施していく方針を示したことが引き続き材料視されたもよう。利下げでもドルは下がらず、米長期金利は上昇した。

(FOMC、0.25%利下げ決定 年内あと2回の利下げ想定)
 FOMCの政策変更の要点

*政策金利の見通しでは、年内にあと2回の利下げが行われるとの想定。
*雇用の下振れリスクが高まったと指摘
*12人のメンバーのうち1人が反対。反対したのはミラン氏で、0.5%の引き下げを支持した。
*インフレ率が上昇し、いくぶん高い水準で推移している
*政府の政策は変化が続いているが、高い関税の経済活動やインフレへの全体的な影響はまだ不透明だ
*失業率は低い水準を維持しているもののわずかに上昇し、雇用の下振れリスクが高まっている。

(トランプ大統領、政府閉鎖は「十分あり得る」)
  トランプ米大統領は19日、議会で共和党と民主党との対立が続いていることを挙げ、連邦政府機関の閉鎖が起きる公算は大きいとの見方を示した。
上院ではこの日、共和、民主両党がそれぞれ提出したつなぎ予算案がいずれも阻止された。その後、上院は9月29日までの休会に入った。下院も10月7日まで休会する予定。
米株式市場や大企業、主要な米政府請負業者は、数週間程度の短期の閉鎖であれば大きな影響を受けないとみられる。ただし、閉鎖が長引けば経済成長への影響が出始め、1カ月間続けば四半期の国内総生産(GDP)成長率を0.4ポイント押し下げると試算している。

(景気先行指数が弱い)
8月の米景気先行指数は98.4と、前月から0.5%低下した。トランプ米政権の貿易政策が経済の下振れリスクになっており、予想の0.1%低下を上回って低下した。
関税の引き上げが一部要因となり景気先行指数で景気減速が示唆されているとしている。

(小売売上高は強い)
 8月の小売売上高は前月比0.6%増加した。3カ月連続で増加し、予想の0.2%増を上回った。 物価上昇が売上高押し上げの一因となっている可能性があるものの、消費が全般的に勢いを維持している様子を示した。

*ユーロ「通貨2位(2位)、株価7位(8位)DAX)、なんでもマチマチのユーロ」
(ユーロは依然通貨番付の2位を維持して底堅い)
 ユーロは依然通貨番付の2位(年初来)を維持して底堅い。景気が力強いわけでもないが、米国の不確実性からの資金逃避で欧州に流れ込んでいること、軍事費増大で財政赤字が拡大し金利が上昇していることがあげられる。ギリシャ株価指数は年初来38.16%高、独DAXは18.74%高、仏CACは6.41%高。独10年国債利回りは2.75%。

(マチマチの集合体)
 今やギリシャの10年国債利回りは3.41%でフランスの3.56%、イタリアの3.57%よりも低い。あのギリシャ危機で36%まで上昇したのが夢のようだ。当時は1ユーロ100円割れ。
格付けではフランスが格下げ、イタリアが格上げ。ユーロ諸国で経済指標が弱いのは独だ。政策金利見通しでもタカ派もハト派もいる。他種多様の国だが、なんとかまとめ上げてくるのがユーロだ。

(今週の指標)
 今週は独に指標が多い。9月IFO企業景況感指数、10月GFK消費者信頼感調査。EU全体では9月製造業・サービス業PMI。

(タカハトでマチマチ)

*「これ以上利下げする理由ない-エストニア中銀総裁」

 ミュラー・エストニア中銀総裁は19日、ECBはやや緩和的な金融政策を運営しており、現時点でこれ以上利下げする理由はないと述べた。輸出企業が米国との複雑な貿易関係に対応する一方で、域内需要の回復が成長を後押しし、経済は恩恵を受ける見通しだ。また、インフレ率はおおむねECBの目標に沿った水準となっているとした。

*「2月利下げ必要-リトアニア中銀総裁」

 シムカス・リトアニア中銀総裁は「利下げしなければ消費者物価上昇率が2%目標を下回るリスクがある。経済成長が期待を下回らないようにするため、12月に再び利下げを実施すべきだ」と述べた。

(成長、インフレ見通し)
  ECBの最新の経済予測では、2027年の消費者物価上昇率は1.9%、同年の経済成長率は1.3%に改善すると見込まれている。米国の関税引き上げや製造業需要の弱さ、消費よりも貯蓄に傾きがちな家計といった課題が残る中でも、先行きに対するリスクは「よりバランスが取れている」としている。

*ポンド「通貨5位(5位)、株価13位(11位)、政策金利は据え置き。財政が懸念」
(ポンドやや弱い、財政懸念)
  ポンドは年間5位だが、先週は週間で10位、月間で8位と直近はやや弱い。FT株価指数は年初来で12.77%高。10年国債利回りは4.72%で先進国では高い。

(債務増加懸念)
英国の公的部門借り入れが政府の予測を大幅に上回ったことで、投資家心理を押し下げた。債務の増加を受け、11月にリーブズ英財務相が発表する予算案を巡る課題が山積していることが浮き彫りになった。増税の見通しなども、消費者心理の押し下げ要因となっている。

(政策金利据え置き、利下げは来年2月か)
英中銀は、政策金利を4.0%に据え置いたほか、量的引き締め(QT)ペースを緩め、債券市場への影響を抑えるため長期国債売却は限定的とすることを決定した。
ベイリー総裁は、「インフレ率は2%目標に戻ると予想しているが山場を越えたわけではなく、今後引き下げる場合は段階的かつ慎重に行う必要がある」と述べた。利下げ余地はあると予想しているものの「時期や規模はより不確実だ」と述べた。
ゴールドマン・サックスは、「高止まりするインフレと労働市場の低迷緩和は、金融政策委に金融緩和を思いとどまらせるだろう。しかし、予算案が英国の成長見通しにさらなる重しになると判断すれば迅速に対応する可能性がある」とし、次回の利下げは2月になると予想した。

(小売売上は強い)
8月の小売売上高は前月比0.5%増と、予想を上回った。好天が寄与した。予想は0.3%増だった。
8月の消費者物価上昇率は3.8%。食品はさらに速いペースで値上がりしている。


(米英首脳会談、経済協力で一致も 外交で隔たり)
米英首脳会談では、人工知能や量子コンピューターなど、先進技術の分野の協力で合意したことを成果として強調した。スターマー首相は2500億ポンド取り引きが両国間で生み出されるとして、「記録的なことだ」と述べた。英国はブラックストーンなどの米企業から1500億ポンドの投資を確保した。
ただ英国がパレスチナを国家承認する方針を示していることについて反対の立場を示し、意見の隔たりがあらためて浮き彫りとなった。

*豪ドル「通貨6位(6位)、株価16位(14位)、弱い雇用で2σ上限から豪ドル下落」
(反落)
 豪ドルは先々週は最強、月間でも最強通貨でったが、先週は雇用統計の悪化で下落、週間11位。月間でも首位から3位へ後退した。ボリバン2σ上限から中位へ下落。
豪全普通株指数は年初来7.61%高。先週は074%下落。10年国債利回りは4.25でNZより高くなった。

(雇用悪化)
 8月の就業者数は5400人減と、予想に反してマイナスとなり、労働市場が徐々に軟化していることを示した。前月に急増したフルタイム雇用が大幅に減少した。
予想は2.15万人増だったがフルタイム雇用者数は4.09万人と大幅減。 失業率は横ばいの4.2%で予想と同じ。
市場はRBAが今月の会合で利下げを見送るとの見方を維持し、11月の利下げを約75%織り込んでいる。

(ただ最近のCPIは上昇)
  7月の消費者物価は前年同月比2.8%上昇し、伸び率は予想の2.3%を大幅に上回った。これは2024年7月以来の最高値で、住宅価格の上昇(6月の1.6%に対して3.6%)が要因。
一部の州で世帯が州政府および連邦政府エネルギー料金救済基金(EBRF)の割引を使い果たしたことや、7月の年次電気料金見直しに伴う値上げなどにより、電気料金が6月の6.3%の低下に対して13.1%上昇したことが要因である。

(米豪首脳会談の可能性))
トランプ米大統領はアルバニージー豪首相が近く訪米し、会談する見通しと明らかにした。アルバニージー首相は今週、NYで開催される国連総会に出席するために米国を訪れる予定となっている。

*NZドル「通貨8位(8位)、株価19位(19位)、弱いGDPでNZドル下落、株弱い、長期金利は豪を下回る。財務相へ辞任要求」
(NZドル下落、株弱い、長期金利は豪を下回る)
 NZドルは先週は最弱、月間では11位、年間では8位。株価指数(NZ50)は、漸くプラ圏に浮上も19市場中、最下位の年初来0.92%高。10年国債利回りは豪より低い4.21%。豪ドルNZドル相場は年初の1.10台から1.12台へ上昇(豪ドル高NZドル安)。NZドル円、NZドルドルは雲の下。

(2Q・GDPは大幅減、0.5%利下げ観測も)
 2Q・GDPは前期比0.9%減となり、予想の0.3%減少よりも縮小幅が大きくなった。建設部門の低迷が続き、世界的な不透明感も重しとなる中、予想以上に縮小した。10月の大幅利下げ観測が強まっている。
前年比では0.6%減、予想は横ばい。中銀が10月に0.5%の利下げを行う可能性は20%となっている。
ただ、3Qに入り製造業やサービス業の指標に加え、雇用やカード支出のデータがやや改善するなど、経済が好転し始めた兆候も出ている。

(ウィリス財務大臣の辞任を要求)
元財務大臣ダグラス氏はウィリス財務大臣の辞任を求めている。GDPの縮小は「ウィリス氏が膨れ上がる財政赤字と公的債務に対処できず、NZを破産に追い込んだ。ウィリス氏は職務を遂行できず、NZ国民の期待に応えられていない」と述べた。
 ウィリス財務相は、このデータは「過去を振り返るもの」であり、金利の低下とともに経済が再び成長している兆候があると強調した。

(新中銀総裁がまもなく任命)
 財務相は数週間以内に新たな中銀総裁を発表するとみられており、エコノミストらは、この人事が中銀行総裁と議長の両名が突然退任した混乱期の終焉を告げるものになると期待している。
裁を誰が務めるにせよ、厳しい課題に直面することになる。それは、経済の深刻な低迷によって受けた評判のダメージを修復すると同時に、批判的な政府から銀行の独立性を守ることだ。