ID為替レポート
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「円相場、アメリカに勝って、世界で負ける」

ドル円=147-152、ユーロ円=172-177、ユーロドル=1.15-1.20

通貨ごとの注目ポイント

*円「通貨7位(7位)、株価11位(12位)、ドル円の年足は陰線だが、世界では7位の円相場」
(ドル円の年足は陰線だが、147の膠着は上に抜け出す)
 円相場は、貿易赤字の縮小と外貨投信の増加で強くもなく弱くもない7位という位置にある。9月は半期末なので海外への送金為替も増えているだろう。ただドル円の年足は陰線。日経平均は年初来13.69%高。10年国債利回りは年内利上げ観測もあり1.659%へ上昇。

(日銀の基調的なインフレ率は)
日銀の基調的なインフレ率を捕捉するための指標を捕捉するための指標で8月は刈り込め平均値が2%(前月2%)、加重平均値は1.1%(前月1.1%)、最頻値は1.9%(前月は1.5%)。
基調的なインフレ率は1%台も2つあり極めて落ち着いている。

(今週の国内イベントは以下の通り 植田日銀総裁など)
*29日(月)
・日銀の野口旭審議委員が札幌商工会議所で講演
・9月の月例経済報告
*30日(火)
・9月の日銀短観
*2日(木)
・日銀の内田真一副総裁が全国証券大会であいさつ
*3日(金)
・日銀の植田和男総裁が大阪経済4団体共催懇談会であいさつ
・日銀の植田総裁が記者会見

(投資ファシリティ創設へ政令改正)
 加藤財務相は、国際協力銀行(JBIC)に「日本戦略投資ファシリティ」を創設すると表明した。米関税合意に伴う覚書を受け、この日の閣議で先進国への投資を可能とする政令改正を行った。 半導体や医薬品、鉄鋼、造船など9分野をはじめとする重要分野で日本企業の海外展開などを支援するのが狙い。
加藤財務相は「日本企業が戦略的な分野における海外展開を強化し、強靭なサプライチェーンを構築することは、日本経済、国家安全保障を強化するうえでも極めて重要」と指摘した。

*米ドル「通貨11位(11位)、株価(NYダウ)15位(15位)、またもや雇用統計。政府機関閉鎖は」
(米ドルの9月は6位。年間では11位)
今月のドルは6位と比較的落ち着いている。年間では11位と弱い。それがトランプ政策の結果だ。株価も3指数とも最高値を更新したといえども、10%程度の伸び。上位グループは20-40%の伸びを示している。
FOMCでは予想通り0.25%の利下げに踏み切ったものの、年内は段階的に利下げを実施していく方針を示したことが引き続き材料視されたもよう。利下げでもドルは下がらず、米長期金利は上昇した。10年国債利回りは4.187%。

(9月雇用統計)
 また雇用統計がやってくる。9月予想は非農業部門雇用者数が5万人増(8月は2.2万人)。失業率は4.3%の予想(8月も4.3%)、平均時給(前年比)は3.6%増の予想(8月は3.7%)
予想通りの雇用増となればドルと金利が上昇しよう。

(現状)
・フェッドウオッチ=10月はでは据え置き確率が12.3%、0.25%利下げ確率が87.7%
・CPIナウ=9月は3.0%、コアが2.95%
・GDPナウ=3Qは3.9%
・GSCPI=サプライチェーンインデックスはマイナス0.08

(トランプ大統領、米政府閉鎖のリスクを一蹴-雇用統計発表に遅れも)
トランプ米大統領は26日、約7年ぶりとなる政府機関閉鎖の脅威を一蹴した上で、混乱が生じても責任は民主党にあると述べた。「民主党はクレイジーだ。政府を閉鎖しなければならないなら、閉鎖されるしかない」と発言。「だが、閉鎖するのは彼ら(民主党)だ」と話した。

 上院共和党トップのスーン院内総務は、民主党が要求を「引き下げる」必要があると指摘。民主党の要求には、数百万人の国民を対象とする医療補助金の延長や、トランプ大統領の減税財源確保のために共和党が今年実施したメディケイド(低所得者向け公的医療保険)削減の撤回などが含まれる。

 スーン氏は、民主党が10月1日以降の政府機能維持を可能にする7週間の共和党案への反対を取り下げれば、オバマケア医療保険制度の補助金一部延長や他の予算課題に関する交渉で将来合意する可能性を示唆した。

(ミシガン大消費者指数、4カ月ぶり低水準)
ミシガン大9月の消費者マインド指数(確報値)は4カ月ぶりの低水準となった。高い物価が家計に与える影響を巡り懸念が強まった。「消費者は高止まりする物価に引き続き不満を示しており、物価高が家計を圧迫していると自発的に回答した人が44%に上った。この比率は1年ぶりの高さだ」と指摘。大半の所得層で消費者マインドは低下したが、株式保有の多い層では横ばいだった。株価は過去最高値付近での推移が続いている。

*ユーロ「通貨3位(2位)、株価8位(7位)DAX)、OECDが独成長率見通し下方修正、ユーロ圏は上方修正」
(年間3位に後退も流れは変わらず)
 ユーロは先週メキシコペソに抜かれ年初来3位に後退した。相変わらず景気が力強いわけでもないが、米国の不確実性からの資金逃避で欧州に流れ込んでいること、軍事費増大で財政赤字が拡大し金利が上昇している。ギリシャ株価指数は年初来38.25%高、独DAXは19.24%高、仏CACは6.64%高。独10年国債利回りは2.75%。また対ロシアの緊張の高まりにも気をつけたい

(今週はCPI、小幅上昇の予想)
今週は9月消費者物価の発表。ユーロ圏では前年比2.2%の上昇の予想、8月は2.0%。独は2.3%の予想、前月は2.2%

(OECD、独成長率見通し下方修正)
 OECDは、今年と来年のドイツの経済成長率見通しを引き下げた。ユーロ圏については、今年の予想を上方修正した。
ドイツのGDP伸び率は2025年は0.3%、26年は1.1%と予想。前回見通しからそれぞれ0.1%下方修正した。ドイツは、世界的な需要の低迷、エネルギーコストの高騰、工業生産の落ち込みに見舞われ、2年にわたるマイナス成長の後、勢いを取り戻せないでいる。
ユーロ圏の25年GDP伸び率は1.2%の予想、前回予想より0.2%上方修正。来年は1.0%の見通しとし、前回予想の1.2%から引き下げた。
OECDは、貿易摩擦の激化と地政学的不確実性が、信用状況の緩和によっていくらか相殺されるとの見方を示した。

(ユーロ圏のインフレ期待8月は上昇、12カ月先2.8%の見通し)
ECBよると、ユーロ圏の消費者によるインフレ期待は8月に上昇しており、追加利下げに反対する声を裏付ける結果となった。今後12カ月の物価上昇率は2.8%と見込まれ、7月の2.6%から上昇した。3年先の見通しは変わらなかったものの、5年先は2.2%に小幅上昇した。
 インフレ率が2%にとどまる中、ECB当局者は物価の抑制に自信を示しており、現行の金利水準に満足している。ただし、一部では、今後2年間のインフレ率が目標を下回るリスクを懸念する声や、逆に欧州の防衛費拡大などの要因をより重視する向きもある。ユーロ圏20カ国のインフレ率は8月に2%だったが、9月は2.3%に上昇する見込みだ。

*ポンド「通貨5位(5位)、株価12位(13位)、ポンドは強くも弱くもない位置を年間では維持」
(ポンドは強くも弱くもない位置を年間では維持)
 ポンドは年間5位だが、月間で8位と直近はやや弱い。FT株価指数は年初来で13.6%高。10年国債利回りは4.76%で先進国では高い。
米国発の不確実性を嫌い英国へ資金が流れているが、国内景気は不安要素多く、財政悪化懸念もあり、ポンドは強くも弱くもない位置を年間では維持している

(タカハト=グリーン委員とディングラ委員)
グリーン英中銀政策委員は物価が想定より高まるリスクが増大しており、追加利下げには慎重になるべきだとの見解を示した。
グリーン氏は「現在われわれが直面している不確実性とリスクへの適切な対応方法は、今後の利下げに慎重な態度を取ることだと信じている」と述べ、英国の物価見通しに関するリスクは上振れしていると強調。
一方、ディングラ英中銀政策委員は「英国で高インフレを引き起こしている影響要因は減少するだろうし、金利引き下げに過度に慎重になる必要はない」、「所得はサービス産業の消費者物価指数にほとんど影響を与えません」などと述べた。

(小売弱い)
9月の小売売上高指数はマイナス29と、前月のマイナス32から改善した。
ただ12カ月連続の減少となり、消費者需要の低迷と政府予算案への懸念から10月もさらに減少するとみられている。需要低迷が引き続き売上高の重しとなっているほか、一部小売業者には米国の関税がより大きな圧力になっている。景気低迷は流通セクターにも広範に影響している。

(インフレ期待は)
シティグループ/イプソス英国世論調査

長期インフレ期待は3.9%から4.1%に上昇。9月の短期インフレ期待は4.0%で変わらず。

*豪ドル「通貨6位(6位)、株価16位(16位)、政策金利は据え置きか。弱い雇用で対ドルで2σ上限から豪ドル下落。対円は小康」
(豪ドルは対ドルで弱いが、円も弱いので対円は小康)
 豪ドルは先々週の雇用統計の悪化から。月間でも首位から5位へ後退した。ボリバン2σ上限から下限近くへ下落。
豪全普通株指数は年初来7.82%高。10年国債利回りは4.38%でNZより高い。豪ドルは対ドルで弱いが、円も弱いので対円は小康。

(RBA、政策金利は据え置きか)
 RBAは今週、政策金利を3.6%に据え置く見込み。今年3回利下げを実施してきたが、2Qに成長率が持ち直し、失業率が比較的安定する中で、緩和ペースを落とす余地が出てきた。失業率はじりじり上がってきているものの、労働市場はコロナ禍前の基準と比べるとなお引き締まっている。RBAは、3Qのインフレデータが出そろうのを待つようだ。

(先週のRBAブロック総裁発言)
・前回会合以降、労働市場の状況は若干緩和し、失業率は若干上昇したが、市場にはまだ緊張が残っていると考えている。

・経済の見通しは依然として不確実性に包まれている。

・8月の会合以来、国内のデータは概ね我々の予想通り、もしくは予想を若干上回っている。

・最近の金利引き下げは家計や企業の支出を支えると期待される。

・労働市場の状況は完全雇用に近い。

・我々の課題は、インフレ率が持続可能な形で目標レンジ内に維持されることを確実にすること。

(豪CPI上昇)
8月の消費者物価は前年同月比3.0%上昇し、過去1年で最も大幅な伸びとなった。一方、コアインフレ率の指標は鈍化し、追加利下げ観測は維持された。
予想は2.9%上昇、7月は2.8%上昇だった。コアインフレ率の指標として注目されるトリム平均値は前年比2.6%上昇し、7月から0.1%低下。変動の激しい項目と旅行を除いた上昇率は3.2%から3.4%に上昇。

*NZドル「通貨8位(8位)、株価19位(19位)、初の女性総裁はスウェーデンから。弱い経済を立て直せるか」
(弱いGDPの影響続く。対ドルで2σ上限から下限へ下落)
 NZドルは2Q・GDPの大幅悪化もあり、先週、月間は最弱、年間では8位。株価指数(NZ50)は、漸くプラ圏に浮上も19市場中、最下位の年初来0.01%高。10年国債利回りは豪より低い4.24%。豪ドルNZドル相場は年初の1.10台から1.13台へ上昇(豪ドル高NZドル安)。NZドル円、NZドルドルは雲の下。

(利下げ示唆、ホークスビー中銀総裁)
 ホークスビー中銀総裁は政策金利が年末までに現在の3.00%から2.50%程度に引き下げられると引き続き予想していると述べた。ただし、今後発表されるデータ次第で、そのペースは「より速くも遅くもなる」可能性がある。総裁は、政策緩和の方向性は「NZの経済回復のスピード」に左右されると強調した。

総裁は、8月の金融政策声明が、年央の景気停滞と需給の緩みによって家計と企業の信頼感に深刻な打撃を与えたことを指摘した。この「信頼感ショック」の大部分は、米国の関税政策をめぐる不確実性に加え、生活費の上昇圧力と住宅市場の低迷が重なったことに起因すると述べた。
 それでも、7月の先行指標は「改善」しており、中銀の年後半の景気回復見通しと一致している。ホークスビー総裁は、米国の関税が世界経済とNZ企業に及ぼす波及効果を引き続き注視していくと述べた。

(NZ中銀の新総裁、初の女性 スウェーデンから」
 ウィリス財務相は、NZ中銀の次期総裁にアンナ・ブレマン氏が指名されたと発表した。ブレマン氏はスウェーデン中銀の第1副総裁で、女性として、および外国人として初めてのNZ中銀総裁となる。12月1日就任予定。財務相は「ブレマン氏は専門技能と組織のリーダーシップ経験を兼ね備える印象的な人材。世界中の300人の候補者から選ばれた」と明らかにした。