
総括
FX「市場混乱はトランプ大統領自ら蒔いた種、ただ今朝はマッチポンプ」
ドル円=149-154、ユーロ円=174-179、ユーロドル=1.14-1.19
通貨ごとの注目ポイント
*円「通貨7位(7位)、株価8位(13位)、日経平均先物は週末5.08%安、2420円安)
(日経平均先物は週末5.08%安、2420円安)
先週は高市自民党新総裁誕生でのリスク選好で株高・円安で始まったが、週末は米中関税競争激化の報道で、リスク回避の流れで株安円高となった。
日経平均先物は週末5.08%安、2420円安となっている。
先週末の急激な円高はあったが円は先週も今月もここまで最弱、年初来では12通貨中7位。
(貿易統計は)
貿易赤字は劇的に改善されているが、まだ黒字には至らない約2兆円(2025年)の赤字。2022年は20兆円近い赤字だった。原油価格が60ドルを下回っているが、これが続けば赤字縮小要因となる。
(外貨投信残高発表)
今週は9月の投信概況が発表される。5,6,7月とそれぞれ4兆円を超える伸びを示し円安要因となっていたが、8月は7000億円と伸び幅を縮小した。9月はどうか。
(野党の首相候補一本化は?)
立憲民主党の安住淳幹事長は、臨時国会の首相指名選挙について、野党の候補一本化が必要との認識を改めて示した。「課題解決型で、ある程度の期間を決めた内閣はあり得る」と述べた。
ガソリン減税や政治改革などの政策課題を列挙し「野党、自民党も含めて、公明党も賛同してもらえるリーダーであれば、高市さんとその方のどっちがいいか勝負するのはあってもいいと思う」と提案した。
国民民主党の榛葉幹事長は「憲法、エネルギー、安全保障、国家の基本理念をさて置いて、ただ高市さんに勝てばいいから集まるのでは国民から納得されない」と指摘した。
日本維新の会の藤田文武共同代表は「首相指名は重い」と強調した。
(植田日銀総裁は)
前回触れたが、植田日銀総裁は、「当面は、米国を始めとする世界経済の動向、関税政策がわが国企業の収益や賃金・価格設定行動に与える影響、食料品価格を含めた物価動向などを点検していくことになる」と述べた。その上で、経済・物価の中心的な見通しが実現していくとすれば「経済・物価情勢の改善に応じて引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」と改めて指摘した。
ただ米中関税競争の激化、米政府機関の閉鎖、米国治安の悪化と抑圧が続けばンし日銀も考慮せざるを得ない。
*米ドル「通貨11位(11位)、株価(NYダウ)17位(15位)、市場混乱はトランプ大統領自ら蒔いた種。ただ今朝は中国問題でマッチポンプ」
(ドルは今月最強、損失補填のリパトリか)
ドルは今月はここまで最強だが、年初来11位で依然弱い。米国の混乱で株価が下落した時に現れる現象のリパトリでドルが強含んだ。損失補填のドル買いだ。
米株価は先週ダウが2.73%、ナスダックが2.53%、S&Pが2.43%安となった。米国10年国債利回りは4.051%まで低下(年初は4.57%)。
(米中関税競争激化)
トランプ大統領は、中国からの輸入品に対する関税を大幅に引き上げることを検討していると警告し、月内に予定していた中国の習近平国家主席と会談する「理由はない」と発言。中国がレアアースに関連するあらゆる生産要素に輸出規制を課す計画という書簡を世界各国に送っていると批判した。また中国は米国からの大豆輸入を停止しているために米国の大豆農家は苦境に陥り、関税収入から農家に救済資金を提供する案が検討されている。
ただトランプ大統領は、自らの発言で市況が悪化した為、今朝は修正発言を行っている。
(米国は偉大な輸出大国)
米国は世界最大の貿易赤字国だが、輸出は世界第二位の規模。中国のように関税で対抗する国が出てくると、トランプ関税計画は狂う。米中関税交渉停止期限は残り1か月。
(今週はG20)
今週はワシントンでG20財務相・中央銀行総裁会議が開催される。関税、米政府閉鎖、米国治安などの問題がある中で落ち着いた議論は行われないだろう。もちろん中国も出席する。
(注目の消費者物価は)
労働省は9月の消費者物価を24日に発表すると明らかにした。当初の発表予定日は15日。労働省は発表するため、政府機関の一部閉鎖で一時帰休させていた職員の一部を職場復帰させていた。
*ユーロ「通貨2位(2位)、株価6位(7位)DAX)、対円週足長い上ヒゲ 対ドルでは団子天井から下落。仏政局は」
(ユーロは対円週足で長い上ヒゲ、対ドルでは週足の団子天井から下落)
ユーロは対円週足で長い上ヒゲ、対ドルでは週足の団子天井から下落したが、年初来では12通貨中2位と強い。独DAXは年初来21.76%高、仏CACは7.28%高、独10年国債利回りは2.63%、仏10年国債利回りは3.48%。
(今週は)
10月ZEW景況感指数、8月鉱工業生産、ラガルドECB総裁講演に注目したい。
(現行の金融政策は適切=独連銀総裁)
ナーゲル独連銀総裁は、現在のECBの金融政策は適切だと述べた。「現時点で得られている情報に基づけば、われわれが採用している金融政策は長期的に見て適切だと言える」とし、ユーロ圏のインフレ率が中期目標である2%に近いと指摘した。
(仏大統領、ルコルニュ氏を首相に再任)
マクロン大統領は、先週辞任を表明したルコルニュ氏を首相に再任し、新内閣の組閣を指示した。ルコルニュ氏の再任により、分裂した議会をまとめ、2026年度予算案可決に十分な支持の取り付けを期待する一方、政敵の反発を招くリスクもある。
ルコルニュ氏は「マクロン大統領から委ねられた使命を受け入れる」とし、「国民の不満を招いている政治危機と、フランスのイメージと国益を損なう不安定な情勢に終止符を打つ必要がある」との決意を表明した。
(仏の政治不安、信頼感と経済成長に影響=仏中銀総裁)
ビルロワドガロー仏総裁は、現在の政治の不確実性が、企業と消費者の信頼感、経済成長に現実に影響を及ぼしているとの認識を示した。
ただ、同国の経済状況は安定しているとも述べた。 総裁は「国内の不確実性は成長率を少なくとも0.2%押し下げている」と発言。不確実性は信頼感の対極にあり、成長の最大の敵だ。家計は不安を感じれば貯蓄を増やし、消費を減らす。企業は投資を先送りする」と語った。
中銀の月例経済調査について「要約すれば、皆この政治的混乱にうんざりしていて士気は高くないが、経済は持ちこたえている。それは起業家の勇気と国民の努力のおかげだ」と述べた。
政府が債務を削減する必要があり、2026年には財政赤字が国内総生産(GDP)比で4.8%を超えないことが望ましいとした。
*ポンド「通貨5位(5位)、株価12位(11位)、リスク選好→回避でポンド円の週足は得ヒゲが長い」
(リスク選好→回避でポンド円の週足は得ヒゲが長い)
他の通貨と同様に先週は対円では高市新総裁の誕生でリスク選好で205円台まで伸びたが、米中関税競争激化でのリスク回避で一時202円を割り込んだ。週足の上ヒゲが長い。終値は201.92。
FT株価指数は先週は0.67%安で年初来では15.35%高。10年国債利回りは4.67%。
(インフレ期待は依然高い、マン中銀委員)
マン英中銀政策委員は、国内のインフレ期待は依然として高すぎるとし、金利による物価上昇圧力の抑制を続けるべきだとの見解を示した。
「成長につながる環境創出へ金融政策はより長く制限的であり続けるべきというのは、直感的に理解し難いかもしれない。しかしインフレ率を中期的に2%の目標に持続的に戻すために必要なことだ」と述べた。
(今週は注目指標多い)
今週は8月雇用統計、8月月次国内総生産(GDP)8月鉱工業生産 8月貿易収支の発表がある。
(来週も重要)
来週は9月消費者物価、9月小売売上、 10月製造業・サービス業PMIの発表がある。
(英中銀の警告)
英中銀金融行政委員会は、四半期報告で、人工知能(AI)の見通しやFRBの独立性に対する投資家の信頼が揺らげば、世界の金融市場が急激に調整する恐れがあると警鐘を鳴らした。
一部の指標によると、米株式市場のバリュエーションはドット・コム・バブルのピークに近い水準にあると指摘。FRBの信頼性が揺らげば米国債が脆弱になると述べた。
*豪ドル「通貨6位(6位)、株価14位(15位)、週足で長い上ヒゲ(対円)今週は雇用統計」
(米中関税競争激化で豪ドルは先週末下落)
米中関税競争激化でのリスク回避で豪ドルは先週末下落した。週足で長い上ヒゲを残した。年間では対円で0.64%高。豪全普通株指数は先週0.26%下落し、年初来では10.02%高。10年国債利回りは4.3%、年初は4.37%。
(ブロックRBA総裁はサービス部門のインフレを懸念)
ブロックRBA総裁は、「サービス部門のインフレを抑制するにはさらなる取り組みが必要になるかもしれない」と議会公聴会で述べた。
「商品のインフレ率は若干低下しているため相殺されているが、サービスインフレ率は依然として約3%上昇している」とした。
全体的には、最新の月次データによるとインフレ率は2.8%で、これは目標範囲である2%から3%の上限にあたる。ブロック総裁はいくつかの懸念があるにももかかわらず、経済は概ね「好調」だと述べた。
「これまでのところ、失業率は良好だ。インフレも正常範囲内に戻ってきた」と語った。企業が以前よりも経済成長の大きな部分を牽引しており、公共部門の成長は鈍化し始めていると述べた。
「短期的には、住宅価格は以前より少し高くなる可能性がある」と語った。
(今週の注目)
今週は9月雇用統計が発表される。予想は失業率が4.3%(8月は4.2%)、雇用者数は1.7万人増(同5.4千人減少)、フルタイム雇用は2.5万人増(同4.09万人減少)、パートタイム雇用は6千人減少(同3.55万人増)、労働参加率は66.9%(同66.8%)。
*NZドル「通貨10位(8位)、株価19位(19位)、米中関税競争激化と予想を上回る利下げで下落」
(先週末急落)
NZドルは対円で10月9日に88.57まで上昇していたが、翌日、トランプ大統領が、中国からの輸入品にかける関税を11月1日から100%上乗せすると表明したことで一気にリスク回避の円高が進み86円台へ下落した。NZ株式指数は、年初来2.72%高で主要市場で最下位。10年国債利回りは4.15%、豪の4.3%を下回る。年初は4.55%であった。
(10月8日にもNZドルが下落、予想を上回る政策金利の下げ幅で)
NZ中銀は8日、政策金利を3%から0.5%引き下げ、2.5%とした。プラス成長の回復を目指すNZ経済の下支えに向け、中銀はさらなる金融緩和をためらわない姿勢を示唆した。
エコノミスト25人の中で、0.5%の緩和を予想したのは10人にとどまり、大方の想定を上回る大幅利下げとなった。15人が0.25%の利下げを見込んでいた。
NZ中銀は声明で、「2025年半ばにかけて経済活動は弱かった。インフレ率を中期的に2%目標の中間地点近くに持続的に定着させる必要に応じて、さらに引き下げる可能性にオープンだ」と説明した。
中銀の政策決定を受け、NZドルは対米ドルで一時1%下落した。
NZの2Q・GDPは前期比0.9%減少し、マイナス幅が予想を上回った。中銀は昨年8月以降、6会合連続で利下げを継続。7月は休止したが、8月に金融緩和を再開した。引き下げ幅は合計で3%に達した。
(次の焦点は消費者物価)
10月20日に3Q消費者物価が発表される。前期は前年比で2.7%上昇、予想は2.3%上昇。前期比では、それぞれ0.5%。0.3%の上昇だ。