家賃収入だけで生活できる? 仕組み・リスクから現実的な始め方まで解説

「働かなくても毎月口座にお金が振り込まれる」 そんな家賃収入のある生活に、憧れを抱く人は少なくありません。特に将来の年金不安や、現在の働き方への疑問から、給与以外の収入源として不動産投資に注目が集まっています。

しかし、実際に家賃収入だけで生活をすることは可能なのでしょうか? 「失敗して借金だけ残ったらどうしよう」「税金や管理が大変そう」といった不安も尽きないはずです。

甘い夢物語ではなく、現実的な数字とリスクを踏まえた「資産形成の第一歩」として、ぜひ参考にしてください。

この記事のポイント
  • 家賃収入は全額使えるわけではなく、経費や返済を引いた手取りで考える。
  • 生活費すべてを賄うには億単位の投資が必要。まずは月10万円の手取りを目指す。
  • 最大のリスクは「空室」。立地選びが生命線となる。
  • 会社員の信用力を活かして、区分マンションや小規模アパートから始めるのが王道。

目次

  1. そもそも家賃収入とは?「不労所得」の仕組みを解説
  2. 家賃収入だけで生活するには、いくら必要?
  3. 「家賃収入生活」を阻む5つの現実的なリスク
  4. 家賃収入を得るための代表的な不動産投資4選
  5. 会社員が現実的に「家賃収入」を得るための4ステップ
  6. 家賃収入生活は夢物語ではないが、まずは堅実な副収入から

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そもそも家賃収入とは?「不労所得」の仕組みを解説

家賃収入とは、自分が所有する不動産を第三者に貸し出し、その対価として毎月受け取る賃料のことを指します。一般的に「不労所得」の代表格とされていますが、まずはその正確な仕組みとお金の流れを理解しましょう。

家賃収入 = 手取り収入ではない!「不動産所得」との違い

初心者が最も勘違いしやすいのが、「家賃収入の全額が自分の使えるお金になる」という点です。これは大きな間違いです。

たとえば、家賃10万円の部屋を持っていて、毎月10万円が振り込まれたとしても、そこから「必要経費」と「ローンの返済」を差し引かなければなりません。

  • 家賃収入:入居者から支払われる総額
  • 必要経費:管理費、修繕積立金、固定資産税、保険料など
  • ローン返済:銀行への元金と利息の支払い
  • 手取り:全てを支払った後に手元に残る現金

また、税金の計算上で使われる「不動産所得」という言葉もあります。これは「総収入金額 - 必要経費」で算出されますが、ここにはローンの元金返済分は経費として含まれない(利息分のみ経費)などの複雑なルールがあります。

「家賃収入が入る=生活が豊かになる」とは限りません。計画を誤ると、「家賃は入っているのに、経費と返済で手元の現金がマイナスになる」という事態も起こり得るのです。

なぜ「不労所得」と呼ばれる? 管理会社が果たす役割

経費や税金の計算が必要であるにもかかわらず、なぜ不動産投資は「不労所得」と呼ばれるのでしょうか。それは、日常的な大家業務のほとんどを外部委託できるからです。

入居者の募集、契約手続き、家賃の集金、クレーム対応、退去時のクリーニング手配などは、すべて賃貸管理会社に任せることができます。オーナーがやるべきことは、基本的に管理会社からの報告メールチェックや修繕見積もりの承認、毎月の通帳記帳といった業務だけです。

このように、本業を持つ会社員であっても、時間と労力をかけずに事業を継続できる仕組みが整っているため、家賃収入は限りなく不労所得に近い性質を持っているのです。

家賃収入だけで生活するには、いくら必要?

では、実際に家賃収入だけで生計を立てるためには、どのくらいの規模が必要なのでしょうか。「会社を辞めて不動産だけで食べていく」という目標が、いかに高いハードルか、数字で見てみましょう。

手取り月収20万・30万円を「家賃収入」で得るためのシミュレーション

仮に、生活費として「手取り月30万円(年間360万円)」を家賃収入だけで確保したいとします。

不動産投資において、家賃収入に対するキャッシュフロー率(手残りの割合)は、ローンを利用する場合、物件の条件や金利によりますが15%〜20%程度と言われています。

1. 必要キャッシュフロー(手残り)
年360万円

2. キャッシュフロー率(家賃収入に対する手残り)
15〜20%を想定

3. 必要な年間家賃収入
360万円 ÷ 0.15〜0.20
= 約1,800万〜2,400万円

4. 想定する物件利回り(グロス利回り)
一般的な投資用不動産の目安として 5〜7%

5. 必要となる物件総額(満室想定)
年間家賃収入1,800万〜2,400万円を利回り5〜7%で割ると、
= 約3億円〜4億円前後

いかがでしょうか。月30万円を自由に使うためには、ざっくり言えば3〜4億円規模のアパート・マンションを所有し、年間約1,800万〜2,400万円の家賃を売り上げる必要があります。これは区分マンション1室や2室では到底届かない数字であり、アパート複数棟を運用する「事業家」レベルの規模です。

いきなり「生活費の全額」は非現実的? まず目指すべき「月10万円」の壁

ここまで読んで「自分には無理だ」と諦める必要はありません。重要なのは、最初から完全リタイアを目指さないことです。

まずは「月10万円の家賃収入」を目指してみましょう。月10万円あれば、以下のような変化が生まれます。

  • 住宅ローンの返済が実質0円になる
  • 子供の教育費や老後資金の積立ができる
  • 年1回、家族で豪華な海外旅行に行ける

月10万円の手取りなら、中古の区分マンション2〜3室、あるいは小ぶりな中古アパート1棟(価格5000万円前後)で達成可能な範囲です。これなら、会社員の信用力を活かした融資と、現実的な範囲の自己資金でスタートラインに立てます。

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「家賃収入生活」を阻む5つの現実的なリスク

家賃収入は安定性が高い投資ですが、事業である以上リスクはつきものです。以下の5つのリスクを理解し、事前に対策を練っておくことが成功の鍵です。

1. 空室・家賃下落のリスク

最大のリスクは「入居者が決まらないこと」です。空室期間中は家賃収入がゼロになりますが、ローンの返済や管理費の支払いは止まりません。また、築年数が経過すれば建物は古くなり、新築時と同じ家賃では貸せなくなります。

長期的な家賃下落(1年で約1%下落すると言われます)をシミュレーションに織り込んでおく必要があります。

2. 突発的な修繕費(給湯器、エアコンなど)

入居中に給湯器が壊れたり、エアコンが故障したりした場合、オーナー負担で早急に交換する必要があります。また、退去時の原状回復費用や、大規模修繕(外壁塗装など)の費用もかかります。

3. ローン金利の上昇リスク

現在は歴史的な低金利ですが、変動金利で借りている場合、将来的に金利が上昇すれば返済額が増え、手取りが激減する可能性があります。

4. 税金(固定資産税、所得税)の支払い

家賃収入を得ると、所得税・住民税が増えるほか、物件を持っているだけで固定資産税・都市計画税がかかります。これらは忘れた頃に請求が来ます。

5. 物件の老朽化と資産価値の目減り

建物は時間とともに劣化します。古くなれば修繕費が増え、入居者もつきにくくなり、最終的に売却する際の価格も下がります。

家賃収入を得るための代表的な不動産投資4選

家賃収入と一口に言っても、投資対象によって特徴は大きく異なります。初心者におすすめの4つのスタイルを紹介します。

区分マンション投資(ワンルーム)

マンションの「1部屋」単位で購入する方法です。

メリット: 数百万円〜2000万円程度と比較的少額で始められる。都心部は需要が安定しており空室リスクが低い。管理が楽。

デメリット: 利回りが低く、毎月の手取り額は少ない(数千円〜1万円程度、場合によってはマイナスも)。

向いている人: 低リスクでコツコツ資産形成したい初心者、会社員。

一棟アパート・マンション投資

建物と土地を丸ごと購入する方法です。

メリット: 家賃収入の総額が大きく、手取り(キャッシュフロー)を出しやすい。土地が資産として残る。

デメリット: 購入価格が高額(数千万円〜数億円)。修繕などの管理責任が重い。

向いている人: まとまった自己資金がある人、本格的に家賃収入で生計を立てたい人。

戸建て賃貸

中古の戸建て住宅を購入し、リフォームして貸し出す方法です。

メリット: ファミリー層が長く住んでくれる傾向がある。利回りが高く、出口(売却)戦略も立てやすい。

デメリット: 建物の老朽化リスクが高い。庭の管理など手間がかかる場合がある。

向いている人: DIYが得意な人、地方の高利回り物件を狙いたい人。

不動産小口化商品・REIT(少額から始めたい方向け)

現物不動産ではなく、プロが運用する不動産に「出資」をして配当を得る方法です。

メリット: 1万円〜10万円程度の少額から始められる。管理の手間が一切ない。いつでも現金化しやすい(REITの場合)。

デメリット: 銀行融資を使えないため、レバレッジ(借金による資産拡大)が効かない。現物不動産のような節税効果は薄い。

向いている人: ローンを組みたくない人、お試しで不動産投資に触れてみたい人。

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会社員が現実的に「家賃収入」を得るための4ステップ

最後に、会社員の方が実際に家賃収入生活への第一歩を踏み出すための手順を整理しました。

ステップ1:目標設定

まずはゴールを明確にします。「将来的に会社を辞めたい」のか、「月5万円の副収入で生活を楽にしたい」のかによって、選ぶべき物件が変わります。 高望みせず、まずは「小さな成功体験」を積むことを目標にするのがおすすめです。

ステップ2:自己資金の準備とシミュレーション

不動産投資には「お金」が必要です。最低でも物件価格の10%〜20%程度の自己資金と、諸費用を現金で用意する必要があります。まずは貯金をしながら、ポータルサイト等で物件を見ながら「この物件なら家賃いくらで、返済いくらか?」とシミュレーションする癖をつけましょう。

ステップ3:物件選びと融資相談(金融機関の見極め)

信頼できる不動産会社を見つけ、物件を探します。同時に重要なのが銀行開拓です。 会社員の最大の武器は「社会的信用」です。自分はいくらまで借りられるのかを把握することが、物件選びの前提条件になります。

ステップ4:信頼できる管理会社の選定

物件を買った後は、パートナーとなる管理会社選びが重要です。 実績だけでなく、担当者のレスポンスの早さや、トラブル対応の誠実さを重視して選びましょう。良い管理会社さえ見つかれば、家賃収入は本当に「不労所得」になります。

家賃収入生活は夢物語ではないが、まずは堅実な副収入から

家賃収入について、仕組みやリスク、具体的な始め方を解説してきました。家賃収入だけで生活をするには、数億円規模の資産と相応のリスク管理能力が必要です。いきなりそこを目指すのはハードルが高いですが、本業を持ちながら、家賃収入という第二の柱を持つことは、会社員であれば十分に現実的であり、将来の大きな安心につながります。

家賃収入への道は、まず「知ること」から始まります。 まずは、不動産投資会社の無料セミナーに参加したり、資料請求をして具体的な物件情報を見たりすることから始めてみてはいかがでしょうか。実際に数字を見ることで、あなたの「家賃収入ライフ」の具体的なイメージが湧いてくるはずです。

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