配当金vs家賃収入、月10万円の不労所得に必要な元手は?

「毎月あと10万円、自由になるお金があったら……」

そう考えたことはありませんか?

月10万円があれば、家賃や住宅ローンの大半を賄ったり、将来のための貯蓄を加速させたり、あるいは年に数回の贅沢な家族旅行を楽しむことも可能です。しかし、会社からの給与だけで月10万円アップを目指すのは、今の日本では容易ではありません。

そこで注目されるのが、働かなくてもお金が入ってくる「不労所得」です。中でも代表的な手段が株式投資の配当金と不動産投資による家賃収入。

この記事では、不労所得で「月10万円」を達成するために、それぞれいくらの元手が必要なのかをシミュレーションしました。さらに、両者のメリット・デメリットなど、判断するヒントを提供します。

目次

  1. なぜ今「月10万円の不労所得」を目指すのか?
  2. 月10万円(年間120万円)の不労所得、必要な元手は?
  3. 「配当金 vs 家賃収入」メリット・デメリット
  4. まずは「月1万円」を目指す最初の一歩を

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なぜ今「月10万円の不労所得」を目指すのか?

人生100年時代と言われる現代、老後資金2,000万円問題やインフレへの懸念から、給与以外の収入源を持つことの重要性が高まっています。

数ある金額目標の中で、なぜ「月10万円」がひとつの基準となるのでしょうか。

  • 生活の基盤が安定する:月10万円は、単身世帯の家賃+光熱費、あるいは夫婦2人分の食費+通信費などに相当します。これだけあれば、精神的な余裕が劇的に変わります。

  • 現実的に達成可能なライン:月30万、50万の不労所得を目指すにはプロ級のスキルや莫大な資産が必要ですが、月10万円なら、時間を味方につければ一般の会社員でも十分に到達可能な数字です。

  • セミリタイアへの第一歩:投資で得た利益をさらに投資に回す複利効果を考えると、月10万円のキャッシュフローは資産拡大の強力なエンジンになります。

月10万円(年間120万円)の不労所得、必要な元手は?

不労所得で月10万円を得るということは、年間で「120万円」の利益を生み出す資産を持つことを意味します。では、株式投資と不動産投資、それぞれいくらの元手(投資元本)が必要になるのでしょうか。

① 配当金(株式投資)の場合:必要な元本は約3,000万〜4,000万円

株式投資における「配当金」で年間120万円を得るための計算式はシンプルです。

【年間配当金 ÷ 配当利回り = 必要な投資元本】
現在、日本の高配当株や米国の増配株などでポートフォリオを組んだ場合、現実的に狙える利回りは年3%〜4%程度です。

【利回り別の必要元本シミュレーション】
利回り3.0%の場合: 4,000万円
利回り4.0%の場合: 3,000万円
利回り5.0%の場合: 2,400万円

これだけの資産を「高配当株」で保有していれば、理論上は年間120万円(月10万円)の配当金が入ります。

【重要:NISAと課税口座を併用した現実的なシミュレーション】
通常、配当金には約20%の税金がかかりますが、新NISAを活用すれば、限度額までは税金がかかりません。 ただし、新NISAの生涯投資枠は最大1,800万円(うち個別株などが買える成長投資枠は1,200万円)までという上限があります。

そのため、月10万円(年120万円)を目指すには、「NISA枠」と「課税口座」を組み合わせる必要があります。

〈例:利回り4%で運用する場合の試算〉

NISA枠(1,800万円分):1,800万円 × 4% = 72万円(非課税でまるごと手取り)
※残り目標額:48万円

課税口座(不足分を補う):手取りで48万円を得るには、税引前で約60万円の配当が必要です。約1,500万円 × 4% ≒ 60万円(税引後 約48万円)

結論:合計 約3,300万円 の元本が必要 (NISA 1,800万円 + 課税口座 1,500万円)

このように、NISAをフル活用することで、全額課税口座で運用する場合(約3,750万円必要)よりも、約450万円ほど少ない元手で目標を達成することが可能です。

② 家賃収入(不動産投資)の場合:自己資金1,000万円+ローンが目安

不動産投資の場合、計算はもう少し複雑になります。 「家賃収入=そのまま手取り」ではないからです。家賃から、管理費・修繕積立金・固定資産税、そして銀行へのローン返済を引いた残りの金額が、あなたの手元に残る「月10万円」となります。

【月10万円のキャッシュフローを得るイメージ】
不動産投資の最大の特徴は、銀行から融資を受けて投資ができる点です。そのため、株式投資のように全額を自己資金で用意する必要はありません。
一般的に、手残りで月10万円を目指す場合、以下のような規模感が一つの目安となります。

物件価格: 5,000万円〜8,000万円程度(中古1棟アパートなど)
自己資金(頭金): 物件価格の1〜2割 + 諸費用 ≒ 約1,000万円前後
銀行ローン: 残りの金額を借り入れ

例えば、7,000万円の物件を購入し、満室時の家賃収入が月50万円あっても、ローン返済と経費で月40万円出ていけば、手残りは「月10万円」です。

つまり、株式投資が3,000万円を貯めてからスタートだとすれば、不動産投資は1,000万円貯めて、銀行の信用力を使ってスタートという違いがあります。自己資金の効率で見れば、不動産投資の方が少ない元手で目標に到達できる可能性があります。

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「配当金 vs 家賃収入」メリット・デメリット

必要な元手のイメージがついたところで、それぞれの投資スタイルの特徴を比較しましょう。あなたの性格やライフスタイルにはどちらが合っているでしょうか。

手軽さ・流動性で選ぶなら「配当金」

株式投資は、パソコンやスマホ一つで完結する手軽さが魅力です。

メリット

少額から始められる: 日本株でも1株から買える証券会社を使えば数百円から、米国株なら数千円から投資可能です。まとまった資金がなくても、「月1,000円の配当」からコツコツ積み上げられます。

換金性が高い(流動性): お金が必要になった時、市場が開いていればすぐに売却して現金化できます。これは人生の急な出費に対応できる大きな強みです。

完全な不労所得: 物件の管理や入居者対応などは一切不要。銘柄を選んで保有しているだけで、勝手にお金が振り込まれます。

デメリット

元本割れリスク:株価は日々変動します。〇〇ショックのような暴落時には、資産価値が一時的に半分になることもあり、精神的なタフさが求められます。

減配リスク:企業の業績が悪化すれば、配当金が減らされることや、なくなることがあります。

時間の壁:前述の通り、月10万円を得るには3,000万円規模の元手が必要です。入金力が高くない限り、達成までに数十年単位の時間がかかります。

安定性・レバレッジで選ぶなら「家賃収入」

不動産投資は、「投資」というよりも「賃貸業(事業)」に近い性質を持ちます。

メリット

毎月の収入が安定している:株価のように家賃が毎日変動することはありません。一度入居者が決まれば、退去するまでの数年間は毎月定額が入金されます。

レバレッジが効く:銀行融資を使うことで、自分のお金の何倍もの規模の資産を運用できます。これにより、資産形成のスピードを加速させることが可能です。

生命保険代わりになる:団体信用生命保険に加入すれば、万が一の際にローン残債がゼロになり、遺族に家賃収入を生む無借金の物件を残せます。

デメリット

流動性が低い:今すぐ現金が欲しいと思っても、不動産は売れるまでに数ヶ月〜半年かかります。

空室・修繕リスク:入居者が決まらなければ収入はゼロです。また、エアコンや給湯器の故障、外壁塗装などで突発的な出費が発生します。

初期費用と属性の壁:始めるために数百万円単位の初期費用が必要です。また、融資を受けるには安定した年収のある会社員・公務員など、社会的信用が求められます。

まずは「月1万円」を目指す最初の一歩を

月10万円の不労所得を得るためには、株式投資なら約3,000万円の元本、不動産投資なら約1,000万円の自己資金と融資活用が一つの目安となります。

「3,000万円なんて無理だ」「1,000万円も貯金がない」と諦める必要はありません。

どんな投資家も、最初はゼロからのスタートです。月10万円への道のりは、最初の「月1,000円」、そして「月1万円」の達成から始まります。

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(提供:ACNコラム