「不動産投資をやめたい」と思う主な理由

 
(画像=「RENOSY マガジン」より引用)

不動産投資を続けることが困難になり、やめたいと感じる理由には、主に以下の4つが挙げられます。

  1. 毎月の収支が赤字で負担になっている
  2. 空室が改善されず家賃収入が得られない
  3. 物件管理の手間や入居者トラブルに疲れた
  4. 思ったほど節税にならなかった

それぞれ詳しく解説します。

1. 毎月の収支が赤字で負担になっている

不動産投資を始める際、多くの方は不動産の購入に不動産投資ローンを活用し、家賃収入でローン返済をまかなう計画をたてています。しかしなかには、以下のような状況が重なり、家賃収入がローン返済額を大幅に下回ってしまうケースがあります。

  • 空室による収入減
  • 想定外の修繕費
  • 管理費の上昇
  • 固定資産税の上昇 など

給与収入からも補填できず、貯金を崩しながら持ち出しで返済する日々が続くと、精神的にも追い詰められ「不動産投資をやめたい」と感じるのは自然なことです。

不動産投資では、家賃収入からさまざまなランニングコスト(運用にかかる継続的な費用)を差し引く必要があります。不動産投資でかかるコストを事前に考慮せずに投資を始めた場合、収支が予想を大きく下回り、継続が困難になる可能性があります。

2. 空室が改善されず家賃収入が得られない

不動産投資の主な収入源は家賃収入ですが、空室が長期化するとその部屋からの収入がゼロになります。立地が悪い物件や賃貸需要の低いエリアでは、募集家賃を下げても入居者が決まらないケースも少なくありません。また、管理会社の対応が不十分で適切な募集活動が行われていない場合も、空室が埋まりにくくなる要因となります。

空室期間が長期化すればするほど、ローン返済に自己資金を持ち出す状況に陥り、経済的な負担が増していき「やめたい」と思うこともあるでしょう。物件の立地や築年数、周辺環境などの根本的な問題がある場合、どれだけ工夫しても入居者が見つからない可能性もあるため、早めの判断が求められます。

3. 物件管理の手間や入居者トラブルに疲れた

不動産投資は「不労所得」というイメージがありますが、特に自ら管理を行う場合には、物件管理に多くの時間と労力がかかる場合もあります。入居者からの設備故障の連絡対応や家賃滞納者への督促、退去時の立ち会いなど、さまざまな業務が実際には発生します。本業の傍らで対応するのは大きな負担です。

さらに、騒音トラブルや近隣住民とのクレーム対応など、予想外のトラブルに巻き込まれることもあります。そのため、会社員などの場合、管理会社に管理を委託するのが一般的です。

ただ、管理会社に委託している場合でも、重要な判断や最終的な対応は所有者の責任で行う必要があるため、完全に手間がなくなるわけではありません。管理会社は実務を代行しますが、最終判断者はオーナーです。判断が連続すると仕事や家庭との両立が難しくなり、ストレスが蓄積していくと「もう不動産投資はやめたい」と感じるようになります。

4. 思ったほど節税にならなかった

不動産投資を始める動機の一つとして、所得税の還付を期待する方も多くいます。不動産所得が赤字になった場合、給与所得など他の総合課税の所得と相殺できる「損益通算」という仕組みがあり、納めた所得税の一部が還付される可能性があります。

しかし、実際に還付される金額は、本人の所得税率や不動産所得の赤字額によって大きく変動するため、期待していたほどの節税効果が得られないケースも少なくありません。

購入初期には、初期費用や減価償却費(建物の価値が年々減少することを経費として計上できる仕組み)が大きいため、大きな赤字が出やすくなります。しかし、減価償却費は年々減少するため、節税効果も徐々に薄れていきます。

不動産投資をやめるのに適したタイミング

 
(画像=「RENOSY マガジン」より引用)

不動産投資をやめる決断をする際、タイミングの見極めが重要です。適切なタイミングで売却すれば損失を最小限に抑えられますが、焦って売却すると大きな損をする可能性もあります。不動産投資をやめるのに適しているタイミングは、主に以下の2つです。

  1. 売却で利益を残せるとき
  2. ランニングコストの回復見込みがたたないとき

それぞれ詳しく解説します。

1. 売却で利益を残せるとき

不動産市況が良好で、物件を売却すれば利益を残せる状況は絶好の売却タイミングです。購入時よりも周辺の地価が上昇している、再開発などで需要が高まっているといった場合、想定以上の価格で売却できる可能性があります。

また、ローンの返済が進んで残債が減少し、売却代金で完済してもプラスが出る状態も好機といえます。投資の本質は「安く買って高く売る」ことなので、目標を達成したタイミングで手放すことを検討してみましょう。

2. ランニングコストの回復見込みがたたない

毎月の収支が赤字で、さまざまな対策を講じても改善の兆しが見えない場合は、早めの売却を検討すべきタイミングです。ただし、不動産投資の収支は短期的には赤字でも、長期的な資産形成の観点から戦略的に赤字を許容するケースもあります。

特に都心のコンパクトマンションなどは、将来の資産価値や出口戦略を見据えて、当初から一定期間の赤字を前提とした投資計画が組まれることもあります。問題なのは、計画外の赤字が続き、改善の見込みが全くたたない状況です。売却を検討する前に、不動産投資会社に相談し、長期的な戦略や改善策がないかを確認することが重要です。

不動産投資をやめる前に確認すべきこと

 
(画像=「RENOSY マガジン」より引用)

不動産投資をやめて物件を売却する前には、以下のポイントを必ず確認しておきましょう。

  1. ローン残債
  2. 保有期間と譲渡所得の税率
  3. 不動産相場
  4. 不動産投資会社から提案された戦略の再確認

それぞれ詳しく解説します。

1. ローン残債

不動産投資をやめて物件を売却する際、重要なのがローン残債の確認です。金融機関から借入れている不動産投資ローンは、物件売却時に一括返済する必要があります。これは、ローンを組む際に物件に設定された抵当権(担保としての権利)を抹消しなければ売却できないためです。

売却価格がローン残債を上回っていれば問題ありませんが、残債の方が多い「オーバーローン」状態の場合、差額を自己資金で補填しなければなりません。まずは金融機関に連絡して正確な残債額を確認し、複数の不動産投資会社に査定を依頼して売却予想価格を把握しましょう。

オーバーローンの状態でも、任意売却という方法で対処できる場合もあります。早めに専門家に相談することが問題を大きくしない鍵となります。

2. 保有期間と譲渡所得の税率

不動産を売却する際には、売却益に対して譲渡所得税がかかります。この税率は物件の保有期間によって大きく異なるため、売却タイミングの判断に重要な要素となります。

保有期間が、売却する年の1月1日時点で5年以下の場合は「短期譲渡所得」として約39%の税率が適用され、5年を超える場合には「長期譲渡所得」となり、税率は約20%です。

購入から正月を6回経過したら長期譲渡所得となるので、税額がほぼ半分に抑えられます。

3. 不動産相場

不動産市況は、経済状況や金利動向、地域の開発計画などによって常に変動しています。売却を急ぐあまり、相場が低迷している時期に安値で手放してしまうと大きな損失が出る可能性があります。

逆に、再開発や大型商業施設の誘致などで周辺エリアの需要が高まっているタイミングであれば、予想以上の価格で売却することも可能です。不動産ポータルサイトで類似物件の売却価格を調べたり、複数の不動産会社から市場動向のヒアリングをしたりして、現在の相場を正確に把握することが大切です。

4. 不動産投資会社から提案された戦略の再確認

直近の赤字ばかりに注意がいって「やめたい」と思っているならば、改めて不動産投資会社に相談するのも一つの手です。長期視点にたった戦略を再確認し、勝ち筋が見えるかどうかを聞いてみることが大切です。

たとえば、当初の投資計画では5年後から収支が改善する見込みだった場合、あと少しで黒字化する可能性もあります。また、所有不動産への対策案がないかもあわせて確認しましょう。

生活が苦しくてどうしてもやめたいという状況でなければ、築古物件ならリフォームというさらなる投資対策で勝負に出る選択肢もあります。間取り変更やインターネット無料化、設備グレードアップなどは空室率を下げ、家賃を上げるための有効な投資となることがあるからです。

不動産投資会社は多くの投資家をサポートしてきた経験から、さまざまな改善策を提案できる可能性があるので、「やめたい」と悩んだ際にはまずプロに相談してみましょう。

不動産投資をやめて売却するまでの流れ

 
(画像=「RENOSY マガジン」より引用)

不動産投資をやめて物件を売却すると決めたら、適切な手順を踏んで進めることが重要です。具体的な手順は、以下のとおりです。

  1. 不動産投資会社に査定を依頼する
  2. 媒介契約を締結する
  3. 売却活動を開始する
  4. 売買契約を締結する
  5. 決済・引き渡しを行う

それぞれ詳しく解説します。

1. 不動産投資会社に査定を依頼する

まずは物件の適正価格を把握するため、購入した不動産投資会社に査定を依頼しましょう。査定には「買取」と「仲介」があり、買取はすぐに現金化できますが市場価格より安くなる傾向です。仲介は時間がかかるものの高値で売却できる可能性がありますが、仲介手数料がかかります。

ただし「高く買い取ります」のような広告を鵜呑みにすると、買い叩かれるケースもあるので注意が必要です。査定結果に納得できない場合には、1社だけの査定では価格が適正かどうか判断できないため、3社以上に査定を依頼するのがおすすめです。

また、査定価格だけでなく、担当者の対応や投資用物件の取り扱い実績も比較検討しましょう。なお、収益用物件として売却するか、実需用として売却するかも、不動産投資会社によく相談して決めることが大切です。

2. 媒介契約を締結する

査定結果を比較し、信頼できる不動産投資会社を選んだら媒介契約を締結します。媒介契約には、1社のみと契約する「専属専任媒介」「専任媒介」と、複数社に依頼できる「一般媒介」の3種類があります。投資用物件の場合、専門知識や投資家ネットワークを持つ会社に専任で依頼するのが効果的です。

3. 売却活動を開始する

媒介契約締結後、不動産投資会社が本格的な売却活動を開始します。不動産ポータルサイトへの掲載や、投資家向けメールマガジンの配信などを通じて買主を募集します。

入居中の物件(オーナーチェンジ物件)は内見なしで売買されることもありますが、空室の場合は内見対応が必要です。定期的に状況報告を受け、反響が少ない場合は価格や募集方法の見直しを検討しましょう。

4. 売買契約を締結する

購入希望者が現れたら、価格や引き渡し時期などの条件交渉を行います。条件面で折り合いがつけば売買契約を締結し、契約時に買主から手付金(売買代金の5〜10%)を受け取るのが一般的です。

この時点で契約は正式に成立し、手付解除期日前に売主が自らの事情で契約をやめたいときは、受領した手付金の倍額を買主へ返すことで契約を解除可能です。手付解除期日を過ぎてからのキャンセルは契約違反となり、不動産売却価格の10~20%程度の違約金が発生します。オーナーチェンジ物件の場合、入居者情報や賃貸条件を正確に伝え、ローン残債がある場合は金融機関との調整も進めます。

5. 決済・引き渡しを行う

売買契約から約1〜2カ月後、決済と物件の引き渡しを行います。決済日には買主から残代金を受け取り、同時にローン残債を一括返済して抵当権の抹消登記手続きを行います。司法書士が立ち会い、書類確認や登記手続きを進めるのが一般的です。

不動産投資をやめる前に試したい改善策

 
(画像=「RENOSY マガジン」より引用)

売却を決断する前に、まだ試していない改善策があるかもしれません。状況によっては、少しの工夫や戦略の見直しで収支が改善し、投資を継続できる可能性もあります。具体的な改善策として、以下の3つが挙げられます。

  1. 家賃の見直しや募集方法を変更する
  2. ローンの借り換えで返済額を削減する
  3. 運用や出口戦略まで任せられる不動産投資会社を探す

それぞれ詳しく解説します。

1. 家賃の見直しや募集方法を変更する

空室が長期化している場合、家賃設定が周辺相場より高すぎる可能性があります。近隣の類似物件と比較し、適正価格まで家賃を下げることで入居率が改善するケースは珍しくありません。また、募集条件の見直しも効果的です。

マンションの管理規約で認められていれば、ペット可にしたり楽器演奏可にしたりもできます。また、フリーレント(一定期間家賃無料)をつけるなど、条件を緩和すれば入居者層が広がる可能性が高まるでしょう。

契約内容によっては、管理会社任せにせず、複数の仲介会社に直接募集を依頼したり、インターネット広告を強化したりすることも有効です。

2. ローンの借り換えで返済額を削減する

毎月の収支が厳しい場合、ローンの借り換えで返済負担を軽減できる可能性があります。不動産投資ローンは金融機関によって金利が大きく異なり、場合によっては1%以上の差があります。

現在の金利より低い金融機関に借り換えることで、月々の返済額を削減することも可能です。また、総返済額(利息総額)は増えてしまいますが、返済期間を延長できる場合は、毎月の返済額を減らす方法もあります。

なお、借り換えには手数料や諸費用(融資手数料・抵当権設定費用・司法書士報酬など)がかかるため、トータルでメリットがあるか試算が必要です。複数の金融機関に相談し、借り換えによる削減効果と費用を比較検討しましょう。

3. 運用や出口戦略まで任せられる不動産投資会社を探す

不動産投資の負担が大きい理由の一つが、適切なサポートを受けられていないことです。物件購入時だけでなく、以下のようにトータルでサポートしてくれる不動産投資会社に変更することで、状況が改善する可能性もあります。

  • 運用中の入居者対応
  • 収支改善の提案
  • 税務サポート
  • 売却タイミングのアドバイス

特に投資用不動産に特化した会社は、空室対策のノウハウや投資家ネットワークを持っており、適切な出口戦略の提案も期待できます。管理だけでなく、将来的な売却まで見据えた資産運用の相談ができるパートナーを見つけることが、不動産投資成功の鍵です。

不動産投資をやめたい場合にはまずは専門家に相談してみよう

不動産投資をやめたいと感じる理由は、毎月の赤字や空室の長期化、管理の負担など、人によってさまざまです。しかし、やめる決断をする前に、まずは冷静に状況を分析し、本当に売却が最善の選択なのかを見極めることが重要です。

家賃の見直しやローンの借り換え、不動産投資会社の変更など、売却以外の改善策を試すことで状況が好転する可能性もあります。一人で悩まず、まずは購入した不動産投資会社や不動産の専門家に相談し、客観的なアドバイスを受けることをおすすめします。

この記事を書いた人

RENOSYマガジン編集部
「不動産やお金の疑問をわかりやすく解決するメディア」を掲げ、本当にためになる情報の提供を目指すRENOSYマガジン編集部。税理士やファイナンシャルプランナーの人たちと共に、中立・客観的な視点で「不動産とお金」を解説、読んでいる人が自分の意思で選択できるように日々活動している。