上場企業がかかわる2026年の海外M&A件数が節目の200件(適時開示ベース)を最速で超えた。200件突破は4年連続。年内まだ2カ月半を残すことから、年間でもこれまで最多の前年230件を上回り、4年連続の記録更新が見込まれる。ただ、取引金額については7兆円強と前年を2兆円ほど下回る。
前年より1カ月以上早く200件に到達
上場企業に義務付けられている適時開示情報をもとに経営権の移転を伴うM&A(グループ内再編は除く)について、M&A Onlineが集計した。
今年に入って海外M&Aが200件に到達したのは10月9日。この日、HOYAが眼科手術機器を製造する米国子会社メディカル・インスツルメント・ディベロップメント・ラボラトリーズ(MID Labs、カリフォルニア州)をカナダ企業に売却すると発表した。売却額は非公表。
MID Labsは網膜疾患や外傷による失明を防ぐ硝子体手術に使われる器具を主力とする。HOYAは2019年に眼科領域の製品ポートフォリオの拡大を目的に同社を買収したが、事業環境の変化を受けてグループから切り離すことにした。
3連休明けの13日には、オムロンが約1040億円を投じて米国の産業用パソコンメーカー、オンロジック(バーモント州)を買収すると発表した。自社の高精度制御技術を組み合わせ、次世代のフィジカルAI(人工知能)基盤の開発を加速する狙い。
14日にもオカモト、マテリアルグループ、クリエイト・レストランツ・ホールディングスがそれぞれ海外での買収や子会社売却を発表。今年に入っての海外M&A件数は205件まで伸びた。
前年の経過をみると、200件到達は11月20日で、そこから年末にかけて駆け込みの形で件数を積み上げ、過去最多の年間230件となった。今年はペースがひと月以上速まっており、最多更新の公算が大きくなっている。
4000億円超は5件、現時点で半減
今年の全海外M&A205件(10月14日時点)の内訳は、日本企業が買い手のアウトバウンド案件124件に対し、外国企業が買い手のインバウンド案件81件。
M&Aをテコに、本業の強化や成長分野への重点展開はもちろん、選択と集中に伴う事業の入れ替えにアクセルを踏み込む動きが引き続き活発化している。
一方、海外M&Aの取引金額は7兆1219億円。前年の200件到達時点と比べると2兆円下回る。前年は4000億円超の大型案件が年間10件あったのに対し、今年は現時点で5件にとどまる。
三菱商事はシェールガス開発の米国エーソンを約8200億円で買収した。中核とするエネルギー事業の基盤強化が狙いで、三菱商事として最大の買収案件だ。
キリンホールディングスはバーボンウイスキー製造の米国子会社フォアローゼスを約1200億円で売却する一方、注力事業と位置付けるサプリメントのカナダ大手、ジェイミソン・ウェルネスを2200億円近くで買収を決めた。
住友林業、三菱電機、三井化学も今年、過去最大の買収を手がけた。いずれも買収対象は米国企業。
住友林業は戸建住宅大手のトライ・ポイント・ホームズを約6500億円、三菱電機は電力の需要予測などのエネルギー管理ソフトを提供するPCIエナジーソリューションズを約2220億円、三井化学は歯科材料メーカーのウルトラデントを約1400億円で傘下に収めると発表した。