インバウンド比率は高止まりが続く
コロナ禍以降、高まりをみせているのがインバウンド比率。今年も現時点で39.5%と、海外M&Aのほぼ4割を外国企業が買い手の案件が占める。コロナ禍前までインバウンド比率は20%台半ばで推移していたことからすると、数字が大きく跳ね上がったまま。
こうした背景には国内上場企業の非公開化や大型カーブアウト(事業の切り出し)に際し、米国を中心とする海外投資ファンドが受け皿(買収者)になるケースが多いのに加え、中国ビジネスの縮小に伴う現地子会社・事業の売却が勢いを増していることがある。
建築・自動車ガラス大手の日本板硝子は経営再建の抜本策として米投資ファンドのアポロ・グローバル・マネジメントと組んで株式を非公開化する。
日本板硝子は2006年に英国の同業大手ピルキントンを約6100億円で買収したが、思うような成果に結び付かず、最終赤字が常態化。アポロの傘下でガラス事業の立て直しや有利子負債の圧縮など構造改革を進める。
モーター大手のニデックは10月1日、電子部品製造のニデックコンポーネンツ(旧コパル電子)を1029億円で売却すると発表した。受け皿は米投資ファンドのカーライル・グループ。
不正会計や品質問題で経営が揺らぐニデックは2026年3月期決算で6300億円規模の減損損失を計上しており、経営再建の一環としてグループ会社の整理に迫られた形だ。
日中M&A、“主役”は日本企業の現地子会社売却
日米間のM&Aはここまで59件と、国・地域別で最多。中身はインバウンド36件、アウトバウンド23件と、日本企業による買収が優勢だ。
一方、日中間のM&Aは28件と第2位だが、内容は大きく異なる。日本企業による買収は3件にとどまり、残る25件のほぼすべては日本企業が中国子会社を現地企業などに売却する案件で、中国ビジネスの戦線縮小を如実に示す。
文:M&A Online