②公共事業関連企業
次に就活生が多く口にしていたのは、「公共事業関連」の株でした。
一口に公共事業といっても銘柄としては大手ゼネコン・道路補修・橋梁補修・建設資材(セメント等)・建設機械など多岐に渡っています。リーマンショック後の景気の急速な悪化への懸念から、老朽化した道路・橋梁や学校などの耐震補強をメインの柱として2009年ごろから集中的に実施されている公共事業、2013年度予算では補正予算と併せ100兆円が投入される見通しであり、関連銘柄に与えるインパクトも大きなものとなりそうです。
上記のように多岐に渡る公共事業関連の銘柄ですが、中でも確実にマークしておきたいのが、建設資材を手掛ける銘柄です。予算成立後に公共事業工事が本格化することで、それに並行して建設資材の需要も増加し、さらに需要が伸びることで販売単価も上昇する、という好循環がもたらされるからです。
さらに民間建築についても、アベノミクス効果や消費増税実施前の駆け込み需要から、住宅、非住宅ともに堅調な推移を続けています。これらの背景から、建設資材の需要は今後好調な伸びが期待されるでしょう。
関連株としては、国内シェア4割を誇るセメント最大手の 太平洋セメント (5233) 、同業界3位の 住友大阪セメント(5232) が代表格です。また、アルミサッシの分野では 不二サッシ(5940) も伸びが期待されます。製品が国内の住宅、店舗向けに展開されることが予想される 文化シャッター(5930) も狙い目と言えるでしょう。
なお、このカテゴリーの銘柄について考えられるリスクとしては、政府、または自治体の財政リスクが挙げられます。公共事業の国と地方のそれぞれの負担の割合は、国が直接投資を行う「直接事業」、国が地方公共団体に補助金を支出する形で行う「補助事業」、地方が単独で行う「単独事業」のそれぞれで異なりなすが、特に両者が折半の形で行う「補助事業」における双方の負担のあり方について地方自治体から見直し論が相次ぎ、対策の実施が遅れる可能性も懸念されています。
結果として、公共事業そのものが頓挫してしまう事例も考えられるため、確実な需要が生まれるタイミングを見極めていく必要性がありそうです。
③教育事業関連企業
以上2つは以前の記事でも取り上げた業界でしたが、今回は新たに教育事業関連の株も「伸びる」予想の上位に入っていたようです。
教育関連株が安定する最大の要因は、「子どもの教育費は聖域」という言葉に表れていると思います。長引く経済不況の中でも子ども一人にかける教育費にそれほど変化は見られておらず、教育関連事業は依然として消費者からのニーズの高い分野だと言えます。
代表的な銘柄としては、やはり塾業界が挙げられます。ちなみに最近のトレンドとしては、通塾させる子どもの低年齢化が進んでいることから集団塾より個別指導の人気が上昇傾向にあり、それまで集団形式での運営だった塾も個別指導との双方運営を行う形態が定着しつつあるようです。
中でも塾最大手の
栄光ホールディングス(6053)
は、個別指導の増加や季節講習などで営業益を順調に伸ばしています。首都圏を中心に展開する、
早稲田アカデミー(4718)
も近年は高校合格実績が好調であることを売りにして生徒数を伸ばしており、人件費抑制効果もあってこちらも営業増益となっています。両社は今後の教室拡大にも意欲的であり、今後も増益が期待されるでしょう。
他にも独自の学習システムで差別化を図り好業績につなげている、
ベネッセホールディングス(9783)
傘下の
東京個別指導学院(4745)
や、幼児教育や家庭教師など多角化を行っている
リソー教育(4714)
も、個別塾の生徒数増加と相まって最高益を更新しています。
加えて、2013年4月から新たに「孫への教育資金の贈与を1,500万円まで非課税」にする制度(※)が導入されたため、同制度への認知度が意外と高い祖父母の間では孫へ贈与する傾向が今後増えていくことも大いに考えられます。この点も教育関連銘柄への業績にとって大きなプラスとなるでしょう。
(※)祖父母が孫に教育資金を渡す場合、孫が30歳未満であれば、1,500万円までは贈与税が非課税になる制度のこと。対象は学習塾や学校の授業料など。
教育関連株を買う上でのリスクとしては、長期的な視点でみた時の、少子化に伴う市場の収縮でしょうか。現在、教育関連業界は新規事業が次々と現れてきており、今後収縮が予想される市場の中でどれだけ現在の大手銘柄が業績を伸ばし続けられるかどうかが注目されそうです。
以上、就活生の間で評価の高い3大業界を簡単に解説してきました。 これらの背景を考慮した上で株価のチャートに向き合うと、まだ違った発見があるかも知れません。
BY O.H
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