さっそくですが、皆さんに質問をしたいと思います。

「日本において今後1年間で株価が伸びる業界はどの業界ですか?そしてその理由は何ですか?」
さて、どのようにお答えになりますでしょうか。

実はこれは、ある証券会社がエントリーシートで大学生に投げかけた質問です。当然、金融の知識がまだ浅い学生にとっては苦労する質問であることでしょう。
しかし、私も個人的に何人かの学生にこの質問をしていったところ、ある3つの業界の名前が決まって彼らの口から聞かれることに気が付きました。どうやらあまり金融の知識がない彼らでも、何となく「伸びそう」と感じている業界があるようです。

今回はその3つの業界を取り上げてみて、各業界の株価が今後どうなるのかを検討してみたいと思います。

【参考】
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①医療業界関連企企業

まず、最も多く学生から名前が挙がったのが「医療業界」でした。

この業界は①製薬(バイオ技術)関連株と②医療機器関連株、に大きく分けられると思います。
両者の銘柄としては、①は製薬関連であれば アステラス(4563) 日産化学工業(4201) 、バイオ関連であれば テルモ(4543) (心臓血管分野)や ニプロ(8086) (人口腎臓)などが挙げられるでしょう。②は 小林製薬(4967) アルフレッサ・ホールディングス(2784) が代表的銘柄と言えます。

では、この業界はなぜ伸びると思われているのでしょうか。
要因として、今後の日本を中心とする先進国での少子高齢化の進展が挙げられます。高齢者の人口が増えるにつれて、予防医療が重要視されるようになったことで診療関連機器の需要は拡大しており、今後もこうした需要はさらに高まると見込まれます。
現在は整形外科、心臓病学、糖尿病、神経痛の各分野がいちばん先端医療機器と関係が深く、盛んに新製品が比較的短いサイクルで出ているようです。また今後とりわけ注目される分野としては、骨盤移植や男性専用、女性専用の膝関節移植部品、移植型心臓デフィブリレーター(除細動装置)などが挙げられるでしょう。また福祉・介護施設への需要も堅調な推移を見せており、各社とも更なる注力をしていくことが予想されます。

実際に「医療品・医療機器」に分類される銘柄を見てみると、ほぼすべての銘柄がここ2か月ほどで安定して上昇していることが分かります。基本的に安定している銘柄が多く、さらに今後漸増していくトレンドを示している以上、円高で輸出が落ち込んでいた頃よりも買いやすくなっていると言えます。
(参考: 『医療品・医療機器』に分類される銘柄のチャート一覧

この業界の株に投資する上での最大のリスクは、人体に直接関わる製品が大半である以上、訴訟リスクが大きいことです。革新的な分野であり、早いサイクルでの新製品の提供が求められるだけに、機器の調整方法や新薬の副作用の研究などが十分でないままそれらが市場に流通してしまう事例も散見されます(2013年4月・肺がん治療約薬「アレッサ」訴訟)。
新製品が発売されても、会社のHPなどでどのような製品なのかを詳細に見ておく癖をつけておくと良いかも知れません。