岩谷水素フォーラム
(写真=岩谷産業)

昨年末のトヨタ自動車 <7203> からの燃料電池車(FCV)「MIRAI」の発表もあり、水素供給事業者の1社としてがぜん注目を集める岩谷産業(岩谷) <8088> は3月5日、水素エネルギーやその活用技術を紹介する「イワタニ水素エネルギーフォーラム」を、東京国際フォーラムで開催した。「2015年『水素元年』スタート」と題したフォーラムで、水素エネルギーの今後の普及拡大に弾みをつけられるかが、みどころの一つと言えそうだ。

岩谷産業などが積極的に推進する水素エネルギーは環境負荷の少なさから注目を集める。燃料電池など水素を活用して発電し、エネルギーを取り出す技術については、ガソリンやほかの石油燃料を燃やしてエネルギーを得る方法と異なり、副産物としても水しか生じず、放射性廃棄物を生み出してしまう原子力エネルギーと比べても環境に優しいエネルギーとみられている。

岩谷産業自身もすでに20カ所の水素ステーションの設置計画を発表しているとともに、総合エネルギー供給企業ともいえるJXホールディングス <5020> も水素ステーションの整備を推進。政府・経済産業省が2016年までに100カ所の水素ステーション設置を目標に掲げたり、日本政策投資銀行が金融スキームを提供したりするなど、社会を上げた取り組みとなりつつある。安倍政権が進める経済政策のアベノミクスでも、重点分野と位置付けられているのが現状だ。

同日に開催された岩谷の水素エネルギーフォーラムにも、政府・資源エネルギー庁など官からだけではなく、トヨタ自動車や本技研工業(ホンダ)からも、講演者が参集した。具体的には、資源エネルギー庁の省エネルギー・新エネルギー部燃料電池推進室の戸邊千広室長も特別講演として登壇し、自動車や水素ステーションには補助金を出してきており、今後は運営への支援もしていく予定だと明らかにした。

ほかにも、東京都環境局都市エネルギー部計画課の藤本誠課長も、都の取り組みを紹介。その中で、「水素ステーションについての問い合わせは、どのような機械を設置すればいいのかや何をすればいいのかといったものが多く」「こうした水素ステーションについてのコンサル事業者がいればいいのではないか」と、現状と課題について同課長は語った。

加えて、トヨタやホンダからも水素エネルギーの担当者が集まり、それぞれ「トヨタの環境技術戦略と燃料電池車MIRAIの開発」「Hondaの燃料電池自動車開発と水素社会に向けて」について自社の考えを披歴した。水素エネルギーの普及の成否は、今後の官民の連携や、各社の取り組みにかかっており、息の長い取り組みを見守っていく必要がありそうだ。

(政治経済ジャーナリスト 上杉学)

【関連記事】
すかいらーく『むさしの森珈琲』出店にみるブランド最適配置戦略
国内富裕層はなぜハワイのコンドミニアムを購入するのか?その理由に迫る!
日経新聞/日経MJ/四季報まで閲覧可?会員制データベースに自由にアクセスする方法
中国の新しい贅沢品 日本の輸入米が中国で”大ウケ”する理由
10万円以下でも買える?2015年の目玉LINE株をa上場前に買う2つの方法