日本の米が今、中国の消費者の間で人気を博している。中国のインターネットショッピングサイト、淘宝(タオバオ)をみると、日本からの輸入米が多く売られていることに気づく。一番効果な米は500グラム700元(約1万3000円)もする「コシヒカリ」だ。購入記録をみると、ある中国人消費者2人は5キロ分を購入し、1500元(約2 万8500円)支払っていた。

中国メディア捜狐(ソーフー)によると、住友商事グループが運営する中国向けインターネット通販サイト、品店(ピンストア)における中国産の米価格は平均1キロ7.5元程度だ。それに対して日本輸入米はブランドによって多少の差はあるが1キロ平均74元(約1400円)程度と、中国産より約10倍高い計算になる。現在、日本の楽天市場で売られている千葉県産のコシヒカリ10キロの価格は3190円。正常な金銭感覚を持っていれば、中国の輸入日本米を購入することは決してないだろう。

しかし、中国人消費者は価格がいくら高くても日本の輸入米を渇望する。昨年の日本米の輸入量は160万トンと、前年度の3倍に増加。この数字から、昨今日本米が急速に人気を集め、消費者需要が伸びている事実がわかる。しかしなぜ、中国人消費者は大枚をはたいてでも日本米を買いたがるのだろうか。

「中国産の米はもういらない」、輸入米に依存傾向

「日本の米には重金属汚染は確認されない」。淘宝で日本輸入米を販売する応穎さんは、日本米のよさについてこう語る。というのも、現在、中国では工業の発展に伴う土壌汚染や水質汚染が重大な問題を引き起こしている。2014年4月には、中国国家環境保護部が中国全体の16.1%が土壌汚染されているとの衝撃的なデータを発表したくらいだ。例を挙げると、2013年5月、広東省当局が当地の米のサンプルを調査したところ、調査対象の米44%から安全基準を超える金属成分が確認されている。汚染が特に深刻な土地では耕作自体も不可能だ。中国の一部の消費者はこうした状況から中国産の米を諦め、東南アジアからの安い輸入米に依存するようになったという。

中国の海関(税関)はこのほど、2014年1月~12月、中国の米輸入量が前年比13.9%増の255万7000トンとなり、過去最高水準に達したと発表した。内訳ではベトナム米が135万2800トンで、全体の約53%を占めていた。そしてタイ米が約28.5%の72万7800トン。ほかにはカンボジア米も多い。こうした東南アジアの米は生産コストがそれほど高くないため、販売価格は中国米と大差なく、中国産の米を信用できなくなった消費者たちから注目を集めている。