宝くじが当たったという女性からご相談(FP相談)を受けました。

もう10年近く前です。宝くじが当たったという女性からご相談を受けました。みなさんは、「その女性にお金が沢山入り、人生バラ色!」「羨ましい」と思われるかもしれません。ただ、現実はその逆で、今まで親切にしてくれていた友人や縁遠かった親戚からもお金の工面や高額商品の購入を依頼され、私が相談をお受けしたときには、精神的にかなり追い詰められた状況でした。やっかみなどもあったのだと思います。とても憔悴していました。最初のお話しで「こんなに辛い思いをするなら、宝くじなんて当たらなければ良かった」と言われたのを憶えています。

今回、せっかくの機会ですし、ご本人からの了解も得ているので、このご相談を通じて私自身も感じた、「宝くじの本当の価値」について見ていきたいと思います。ちなみに、このFP相談は、私自身が行っている相談の原点とも言えるモノです。※本コラムは実際の相談案件を相談者の承諾の下、ご本人だと特定できないように、一部、内容を現在の数値などに修正してお伝えしています。


宝くじに当たって…

もう少し具体的にお話ししましょう、今回の相談事例は、1等前後賞合わせて「3億円」のジャンボ宝くじが当たってしまったある地方都市にお住まいの女性(当時30歳)のお話です。共通の知人からの紹介で、私を選んだ理由は、相談者と年齢は近いが、その土地に縁もゆかりもないから、ということでした。さて、ご本人とお会いした第一印象は、宝くじが当たってとても幸せだ、とは言えない雰囲気でした。

実際に、実年齢よりも老けて見えましたし、その姿に明るい未来を見いだせない状況でした。ホテルの会議室でお話しをお聞きしたのですが、当選後、お伝えしたように状況が一変し、「何をして良いのか?」「誰に相談して良いのか?」分からず、唯一、頼れる共通の知人に思い切って相談し、知人が手に負えないと言うことで、私に連絡をくれたそうです。


私が切り出した最初の一言で…

後日談ですが、この女性は、私の伝えた最初の話に驚き、逆にこの話を聞いて、目の前が明るくなったと言われえていました。私がこのご相談で最初に切り出した一言は「3億円って…そんなに心悩むような大金ですか?」という質問です。

みなさんはどうでしょう?

私のことをデリカシーのないファイナンシャルプランナー(FP)だと思われたかもしれません。ただ、FPという職業は、大きな決断をする際、ライフプランに基づき、時間軸を長短、変化されながら、経済状況を分析し、クライアントと共に物事を考え、サポートしていくお仕事です。今回の3億円の場合、私は以下のように考えました。

・クライアントである相談者の女性は30歳
・30歳の女性の平均余寿命は、「56.94年」( 平成24年簡易生命表)

これらのことから、1日あたりで考えると、この女性には14,435円の余裕しかない…と。

つまり、この宝くじには「1.4万円分/日」の価値しかないのです。3億円だとビビってしまっても、1.4万円ならプチ贅沢をしてしまうと、簡単に使い切れてしまう金額ではないでしょうか?