経団連に加盟する大手企業の面接が8月1日解禁され、大学生の就職活動が本格化している。業績回復で新卒採用を拡大する企業も出てきており、解禁前にすでに就職内定率49%という調査結果が発表されている。就職支援を行う株式会社リーディングマークが7月16日に発表した、2016年度卒の旧帝大、有名私大などの就職活動生における「就職人気企業ランキング」では、上位3位およびトップ10のうちの半数を一つの業界が占める結果となった。
調査対象は、東大・京大・阪大・神戸大・名古屋大・東北大、筑波大、慶應・早稲田の大学・大学院の学生3,550人。男女別では男子73.3%、女子26.7%。文理別では文系78.6%、理系21.4%。
若者は本当に内向き? 人気の業界もトップ3社と同じ
上位3社を独占し、トップ10のうち半分を占めたのは「商社」だ。志望する業界も商社が34.5%とトップの支持で、これは昨年と同じだ。関東だけでみると、実に44.1%という圧倒的な人気業界である。
最近は学生の志向が内向きで、「海外には行きたくない」という若者が多いといわれる昨が、商社での活躍を希望する学生に限っていえば、世界を舞台に働きたいというグローバルな傾向があるのかもしれない。応募数に対して採用人数が少なく狭き門だが、売り手市場の今だからこそチャレンジしようと考えているのだろうか。高給・高待遇である点や幅広い業務が経験できるというのも人気の理由だろう。
地方のインフラ企業も人気
トップ10内には地方票を多く集めたJR東海、トヨタ自動車、サントリーが入った。特にJR東海は昨年から順位を上げ、5大商社の中に割って入る躍進だ。女性だけの調査ではサントリーが1位を獲得。関西では大阪ガスや関西電力が順位を上げており、地方の学生にはインフラ企業が人気となっている傾向がみてとれる。北陸新幹線の延伸開業や超電導リニアなど話題が続くJR各社は、勢いに乗って就職先としても人気が高い。
人気凋落のメーカー、マスコミ系
2015年3月期で初の純利益2兆円を超え、過去最高益をあげたトヨタ自動車がメーカートップの7位に入ったが、人気企業ランキング常連だったかつての花形、電機大手のソニーやシャープ、パナソニックは圏外に消えてしまった。鉄鋼などの重工業や自動車メーカーなどもランク外が多く、モノづくり企業の凋落ぶりが目立つ。そのなかにあって、トヨタ自動車はデンソーや豊田通商などグループ企業もランクインし、メーカーの中では人気独占状態となっており、“トヨタブランド”の力の強さがうかがえる。
博報堂、電通の2大広告代理店はそろってランクダウンしてトップ10圏外。民放キー局はランク外なるなど、上位の常連だったマスコミ系企業も人気を落としている。
期待年収は高低二極化
希望年収の調査では、20人に1人が年収1,000万円以上を希望。高収入を目指す学生が商社人気を支えているとみられる。反面、50%以上の学生が300万~400万円を希望しており、高収入を求める「野心家タイプ」と、平均的な収入を望む今どきのさとり世代らしい「安定志向タイプ」の二極化となっている。
30位までのランキングは次の通りだ。