現在のEUをこの学級にあてはめてみよう。生徒のなかにクラスのルールを守らない厄介者がいる。それがギリシャだ。他のクラスメートは当然ルールを守らないものに対する不満が蓄積する。しかし、厄介者のギリシャは次第にルールそのものへの不満を漏らすばかりか、最後にはルールを無視して暴れ回る。実は他のクラスメートも心中穏やかでは無い。もし、皆が騒ぎ出せば学級崩壊が起こるというわけだ。現在のEUはまさに学級崩壊の危機に直面している。さて、ここで目を惹くのは厄介者のギリシャとは対照的な優等生ドイツの存在だ。EUの優等生ドイツに目を向けてみる。


黒いゼロに見るドイツの財政再建

ちょうど1年前、ドイツは2015年に財政均衡を実現し、赤字国債の発行を46年ぶりに停止することとなった。1969年以来、46年ぶりに借金をせずに予算を組んだ。「数字的には財政均衡だが、実質的には黒字」という意味をこめて、ドイツのショイブレ財務相は2015年予算案を「黒いゼロ」と呼んだ。
我が国の財務省は主要国の財政収支の国際比較(対GDP比)を公表している。それによると、15年度の主要国は軒並みマイナスのなかで、ドイツだけが▲0.0%だ。