氷結

開栓してすぐに飲むことのできる低アルコール飲料、RTD(Ready To Drink)の市場が堅調だ。20代の男女を中心にした飲用が増えているという。2014年は約1億3,000万ケースに伸長(前年比7%増)。2015年も4〜5%増の伸長が予測されている(出典:キリンビール推計)。

そんなRTD市場を代表する商品が缶チューハイだ。1本100円前後から150円前後ということもあり、お酒を飲む人であれば、一度は購入したことがあるのではないだろうか。

なかでも、よく知られているブランドがキリンホールディングス <2503> のキリンビールが展開する「氷結」だろう。きらりと光るダイヤカットのデザインに、果物の図柄が浮かび、どこか手に取りやすい親しみやすさを漂わせている低アルコール飲料だ。

2001年に登場した氷結は今年5月、出荷本数で100億本を突破した。

なぜ、氷結はここまで「売れる」ブランドになったのか?氷結のブランドリーダー、平間政人氏に話を伺った。


氷結はどのようにできたのか?

「開発チームの志は『チューハイを超えるチューハイ』を作ろう、というものでした。氷結が登場する以前から缶チューハイはありましたが、焼酎を炭酸水で割り、レモン果汁を入れて、手軽で飲みやすいお酒として缶チューハイを作っていました。ターゲットは40代の焼酎が好きな男性。つまり、お酒好きなおじさんです。パッケージも、おじさんっぽいものでした」

缶を開けたら、すでにソーダ割りの焼酎にレモン風味がついている。これは、お酒好きなおじさんからは喜ばれていた。しかし、その当時のキリンが着目していたのは、まだ缶チューハイを飲んでいない人々。焼酎特有の匂いを好まない人や、お酒は好きでありながらも、チューハイという存在に抵抗感を持つ女性の姿を捉えていた。

「90年代半ば、缶チューハイは限定的な需要の範ちゅうに留まっていました。一方で飲んでいない方からは、焼酎の刺激が強すぎるとか、チューハイはおじさんっぽくて嫌であるとか、そういった声が聞こえていました。そこで、焼酎のチューハイではなく、全く新しい缶チューハイを作ろうと、キリングループ各社から開発メンバーが集まりました」


女性が出張帰りの新幹線で飲めるお酒

開発チームには、清涼飲料会社からのメンバーも参加していた。

「(氷結の開発は)ビール会社の発想ではありませんでしたね。焼酎の缶チューハイを作ってシェア争いをするのではなくて、全く新しいカテゴリーの創造をしていきましょう、ということです」

その時に女性メンバーから出た意見が「出張帰りの新幹線で飲めるようなチューハイって作れないの?」というもの。これが開発チームの合い言葉になったと語り継がれている。1日の疲れを癒すためにお酒を飲みたい。でも新幹線の車内で缶ビールを開けて飲むのは恥ずかしい。缶チューハイもおじさんっぽくて嫌だ。「そこで、それまでの缶チューハイっぽくないデザインで、男女ともに重宝される、ユニセックス感のあるお酒を求めていきました」

それまでの缶チューハイとは一線を画すために、清涼感と、新鮮な果汁の味わいに焦点を絞っていった。「生まれた缶のデザインが、爽快さを表現するダイヤカット。アルコールで採用したのが、焼酎に代わるクリアウォッカ。そして濃縮還元ではないストレート果汁。この3つが、今も守られている氷結の約束事です」

「2001年の発売時から爆発的なヒット商品になりました。氷結のヒットで急速に市場が伸びて、プレイヤー(競合商品)が増えて、飲む方も増えています」