(写真=PIXTA)
◆中国では、経済成長の減速化、少子高齢化の進展など、経済や社会の転換期をむかえる中で、社会保障に関する経費の支出が増加している。2014年の社会保障関係費は2兆6146億元、一般財政支出のうち17.2%を占め、最も大きい支出項目となっている。
◆中国では、中央と地方財政が明確な役割分担をしており、社会保障については地方財政が担っている。とはいえ、社会保障関係費のおよそ4割は財政移転によってまかなわれており、地方政府が残りの6割を負担している。
◆社会保障関係費の中でも、社会保険に関する支出が急増しており、直近5年間で2.4倍となっている。その背景には、(1)新たな社会保険や国庫負担の導入による増加、(2)制度導入地域の拡大による増加、(3)高齢者の増加による自然増、が大きな影響を与えていると考えられる。
増加する社会保障関係費
中国では、経済成長の減速化、少子高齢化の進展など、経済や社会の転換期をむかえる中で、社会保障に関する経費の支出が増加している(図表1)。
社会保障に関する経費とは(*1)、国の年金、医療といった社会保険や福祉等にかかるコストをさす。中国の一般財政支出の項目では主に、「社会保障・就業」がそれに該当する。
加えて、近年整備が進む医療保険の国庫負担や、社会保険の1つである計画出産についての支出が含まれている「医療衛生・計画出産」も、社会保障に関する経費に該当する。両項目を合計すると、社会保障に関する経費は2兆6146億元となり、日本円ではおよそ52兆円規模となる。