世界経済フォーラムによる「競争力ランキング」が発表され、日本が総合順位で昨年と同じく6位であることが分かった。1位、2位は昨年と同じくスイス、シンガポール。近隣国では韓国が26位、中国は28位と振るわなかった。ランキングは世界経済フォーラムが毎年まとめているもので、「競争力」「市場規模」「 R&D(研究開発)への投資」などの項目ごとに順位も出ている。140カ国あるうちの上位国・地域のランキングと、日中韓の寸評を確認してみよう。
ランキングトップ20 1位はやはりスイス
1位 スイス
2位 シンガポール
3位 米国
4位 ドイツ
5位 オランダ
6位 日本
7位 香港
8位 フィンランド
9位 スウェーデン
10位 英国
11位 ノルウェー
12位 デンマーク
13位 カナダ
14位 カタール
15位 台湾
16位 ニュージーランド
17位 UAE
17位 マレーシア
19位 ベルギー
20位 ルクセンブルク
日本 6位 「雇用と解雇の柔軟性」と「女性雇用者数」はいまだ低い
素晴らしいインフラと世界一健全な労働力に加え、平均寿命80歳以上という長寿国、日本。今年の「競争率ランキング」ではレーダーチャート上に示された12つの指標中、半分以上の項目で向上が見られた。消費増税によってそれなりのインフレが起き、国債などの財務状況が悪い中でも、特に「マクロ経済環境(121位)」が伸びているのが分かる。
「競争力」を発揮することが難しいとされる分野でも成果をあげ、「ユニークな製品と生産工程の導入」「世界最高の地元供給業者からの恩恵」では1位。「技術力溢れるビジネス」「国際流通の統制」では2位を獲得。
同様に「R&D(研究開発)への投資(2位)」「科学者と技術者の知識の高さ(3位)」「質の高い調査機関(7位)」が、「革命性の高い環境(5位)」に貢献しているという評価を受けている。また「健康と初等教育」では4位に」という結果に。
開発面では「生産物市場」と「経済市場」が過去7年間緩やかな一定ペースで向上し、今年は11位と19位にランクアップ。「組織」も順調に上昇し13位に落ち着いた。「市場規模(4位)」も安定、「新しいテクノロジーの採用(13位)」には積極的で、「スマートフォンの普及率(5位)」では世界最大国の一つに数えられいる。
今年初めてトップ10から圏外落ちし、他国に遅れをとる結果となった「人的資本(21位)」の強化が今後の課題となるだろう。「労働市場の柔軟性」は全体的に改善され15位までのぼりつめたが、「雇用と解雇の柔軟性(123位)」と「女性雇用者数(83位)」は未だ評価が低い。
韓国 26位 先進国と比べて「教育の質」が低い
財産権や法律制度などが改善されたことにより、ほぼ10年ぶりに韓国最大の弱点である「組織」に向上が見られる。先進国の中ではまだまだ遅れをとっているが、昨年の82位から69位に大幅ランクアップ。
「生産物市場」は33位から26位に、「国内競争」は42位から34位に上昇。「マクロ経済環境」では日本より大きく先を行きトップ5に食い込んでいるほか、「健全なインフラ(13位)」も評価されており、「エンロールメント率」では首位を獲得。
しかし「革命性の可能性(19位)」は年々落ち込んでおり、「経済市場(87位)」の伸びも失速している。またほかの先進国と比べて「教育の質(35位)」が低く、「労働市場の柔軟性(121位)」にも著しく欠ける。日本同様「女性雇用者数(91位)」が上昇しておらず、「人的資本」の強化が求められている。
中国 28位 唯一首位に輝いたのは「市場規模」のみ
昨年と変わらず28位をキープした中国。パフォーマンスという点ではここ6年間目立った変化が見られない。生産コストの増加、高齢化社会、そして過去30年間にわたる巨額資本投資の利益減少など、数々の問題に直面している。
レーダーグラフを見る限り改善すべき点が山積みのように思えるが、特に「信頼性と自信(76位)」を強化しつつ「経済市場の発展(54位)」に力を入れ、「新しいテクノロジーの採用(79位)」に前向きな姿勢で取り組んでいくことが、新たな成長につながるのではないかと予測される。韓国よりも更に「教育の質(初等44位、高等68位)」が低いという点も重要視されるべきである。
中国が唯一首位に輝いたのは「市場規模」だ。また「マクロ経済環境」も8位と、共に日本より上位にランクインした。(ZUU online 編集部)