(写真=PIXTA)
老後の備えとして不動産投資に魅力を感じる人は多い。株や投資信託などの金融資産はキャピタルゲインが中心になるのに対し、家賃という定期的な収入が得られることが多くの人を惹きつけていると考えられるが、実需を無視した物件に投資すると思いがけない負債を背負ってしまうケースがある。
サブリース契約でトラブル続出
不動産投資で最も多いケースは、借金をして賃貸アパートを建て、管理は不動産会社に任せるというものである。管理契約は家賃回収や保守などを委託する一般管理契約と、入居募集から空室の家賃収入まで、全て保証してくれる「サブリース」と呼ばれる契約があり、リスク回避から後者が主流となっている。「サブリース」の家賃は、入居者から受領する賃料の85%~95%が相場となる。しかし、この契約にトラブルが続出しているという。
年金生活をしていたAさんは不動産会社から「何もせずに安定した家賃収入が入る」と誘われ、30年一括借り上げでサブリース契約を結び、銀行ローンを組み、所有する農地に賃貸用アパートを建てた。
空き室の有無に関係なく、家賃を全額保証してくれる契約だからと安心していたが、10年経過後に不動産会社から賃料の減額を求められた。契約書には新築から10年経つと2年ごとに家賃の単価の見直されることが記されていた。賃料相場が下落しているとの説明で、やむなく減額に応じたものの、それから1年もたたないうちに、空室が出ていると、次の賃料の減額交渉が始まった。交渉を断ると、空室の賃料を止めることもあると協議を迫られたという。
この契約には、「賃料についての協議が整わない場合には、契約を解除できる」旨の条項が付けられており、業者側の一方的な中途解約権が定められていた。そのため、現在、交渉は難航しているという。契約は契約条項を全て確認のうえ、慎重に行わなければ必ずトラブルの原因になるので注意が必要である。
このようなサブリース契約を避けて、一般管理を選択する家主も多いが、思わぬ経費がかさみ、物件を手放す例も増えている。