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投資の応用
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【或る銀行員の独白】

こんな「お客様」は金融機関の窓口に近づいてはいけない

(写真=Thinkstock/Getty Images)
(写真=Thinkstock/Getty Images)

私の仕事は銀行で金融商品を販売することである。「運用したい」そうおっしゃったお客様には誠心誠意対応させて頂く。しかし、お客様のレベルは様々だ。なかには「この人はリスクを取って運用すべきではない」そう感じるお客様がいるのは事実だ。金融機関の窓口に近づいてはいけないお客様、それは投資に不向きなお客様だ。販売の現場にいる私から見て、投資に不向きなお客様とはこんな人だ。

歪んだニーズが複雑怪奇な金融商品を創り出す

分配金が出るファンドは人気がある。金利が高い新興国の債券に投資するファンドやREIT(不動産投資信託)は高い分配金を受け取ることができるので人気だ。

しかし、マーケットの動向はこの数年で大きく様変わりしている。新興国経済は失速し、かつて人気を集めたブラジルやトルコに投資するファンドは大きな痛手を負っている。こうしたファンドの基準価額は大きく下落するとともに、分配金も相次いで引き下げられている。

先進国から溢れ出した緩和マネーが新興国に流入し、経済成長を後押ししてきた。しかし、米国の利上げによりその流れが変わろうとしている。当然のことながら、投資家は投資スタイルを変えなければ、経済の動きに取り残される。にもかかわらず、相変わらず分配金を重視する投資家が何と多いことか。

運用会社もその歪んだニーズに応えようと、デリバティブを駆使した複雑怪奇な投資信託を次々と創り出す。その結果、投資家は思いもよらぬリスクを抱え込んでしまっているということが起こる。

たとえば、日本株に投資しながら、一部をブラジル・レアルにも投資するという投資信託、欧州のハイイールド債券に投資しながらユーロのコールオプションを売却している投資信託。ほとんどの投資家は分配金の高さばかりに注目し、なぜ高い分配金を出すことが可能なのか、その仕組みに関心を持とうとしない。

あなたは分配金と引き換えに、とんでもないリスクを抱え込んでいるのだ。

あなたは銀行員を何だと思っているのか?

窓口で投資信託を販売している銀行員を買いかぶってはいないだろうか。「彼らはマーケットに関してさまざまな情報を持っている」「彼らは投資のプロなのだから、きっと特別な情報を持っているはずだ」そう思っている人が案外多いのだ。

しかし、現実はまるで違っている。彼らは特別な情報など持っていない。確かに彼らはプロフェッショナルだが、金融商品「販売のプロ」であって、投資のプロではない。証券外務員やファイナンシャルプランナーの資格を持っていても、投資の上手下手とは全く関係が無い。

銀行とは「笑い話」のような世界である

銀行員は自身が信用取引や先物取引を行うことは禁じられている。FX(外国為替証拠金取引)も禁じられている。ところが、銀行で取り扱っている投資信託はデリバティブや先物取引を複雑に組み合わせた商品が増えている。

こうした商品には銀行員が禁じられている上述した金融商品の商品知識が必要となるのだ。つまり、彼らは紙の上での知識は豊富でも、投資の経験は無い。カラ売りを経験したことも無い銀行員が、窓口でベア型ファンドを販売しているのだから、考えてみると滑稽だ。

自動車を運転したことのない自動車教習所の教官をあなたは信頼できるだろうか? 医師免許は持っているが手術のメスを持ったことも無いドクターに心臓血管の縫合を任せることが出来るだろうか? そんな笑い話のような世界が銀行なのだ。

なぜ、あなたは自分で決断できないのか?

あなたは銀行の窓口で「今が買い時ですか?」「どの投資信託がおすすめですか?」そんな質問をしていないだろうか。その背景には銀行員は常に公正で中立な立場でアドバイスを行ってくれるという考え方がある。

しかし、既に書いたように彼らは投資のプロではなく金融商品販売のプロである。彼らは金融商品をたくさん販売して評価される職業なのだ。そんな彼らに「今は買い時ですか?」とたずねることがいかにナンセンスか少し考えれば想像出来るはずだ。

自動車ディーラーを訪れて、「今、このクルマを買うべきでしょうか?」そんな質問をすることがいかにナンセンスか多くの人は知っているはずだ。「あなたのライフサイクルを考えると今はクルマを買うのではなく、貯蓄を増やすべきです」そんなアドバイスを行うセールスマンなどいないことは理解しているのに、なぜ銀行員に対しては無防備になるのだろう。

この質問で銀行員の「レベル」を見抜ける

銀行員は金融商品を販売するプロであることを忘れてはならない。もちろん全ての銀行員が投資に対するセンスがないわけではない。彼らの全てが銀行の利益を最優先し顧客利益を無視しているわけではない。顧客の利益が銀行の利益に一致すると考え、真摯に仕事に取り組んでいる銀行員もいることも知って欲しい。そんな銀行員はあなたに投資の面白さを教えてくれるに違いない。

銀行員にはかなりのレベル差がある。銀行の窓口でわざと「投資信託を買いたいが何がお勧めですか?」と、たずねてみるのも良いだろう。あなたのニーズや投資に対する考え方をヒアリングすることなく、いきなり売れ筋商品を勧められるなら、他の銀行で取引すべきだろう。(或る銀行員)

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こんな「お客様」は金融機関の窓口に近づいてはいけない
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