(写真=PIXTA)
(写真=PIXTA)

空き部屋の個人間貸し借りを仲介するサービス「Airbnb(エアビーアンドビー)」は2015年11月、日本国内で年間2219億9000万円の経済波及効果があったとする調査結果を発表しました。この発表によれば、日本でのAirbnbホストの収入は年平均95万7000円となり、月平均に換算すると、10日間の貸し出しで約8万円の収入を得ている計算になります。昨年のAirbnb利用の伸び率は日本が最も高かったそうで、民泊規制緩和の動向とともに今後さらに利用が高まるものと見込まれます。

Airbnbなどを利用して日本を訪問する観光客にとって、人気の高い都市はどこなのでしょうか? 今回は東京都内と、大阪や京都といった関西圏を中心に紹介しましょう。

人気の都市 ~ 東京都内 ~

世界第3位の都市である東京を訪れる観光客は非常に多く、中でも都内は根強い人気を誇ります。特に人気が高いエリアは、渋谷区、港区、新宿区、豊島区、墨田区、江東区です。なぜこれらのエリアは人気があるのでしょうか。

渋谷区は渋谷、港区は六本木、代官山、表参道など、いわゆるオシャレなエリアへのアクセスが良いことが理由として挙げられます。日本に来る外国人観光客の中でも、デザイナーやフォトグラファーなど、いわゆるクリエティブな仕事に就いている人たちに受けがいいようです。世界でも最先端のファッションを楽しめること、街並み自体がオシャレであることなどが、彼らの琴線に触れるのかもしれません。

一方、豊島区、新宿区は「日本に来たらやっぱり買い物」という層から高い支持を集めています。百貨店、家電量販店、ディスカウントストア、ドラッグストアなど、買い物スポットへのアクセスが抜群です。深夜まで営業している店も多いので、宿泊場所へ荷物を置きに戻り食事後にまた買い物を続けるといった「荒業」も可能です。

また、東京スカイツリーができて脚光を浴びているエリアが、墨田区と江東区です。日本に来たからには、東京のランドマークとなる高層タワーから「東京の景色を見てみたい」という人たちにとって、東京スカイツリーに徒歩やバスで行けるエリアは魅力でしょう。また、このエリアからは浅草、秋葉原、上野などにもアクセスしやすく、少し足を伸ばせば、東京ディズニーリゾートにも遊びに行けます。

人気の地域 ~ 関西圏 ~

京都、大阪、奈良、神戸と、外国人にとって多数の魅力的な都市を擁する関西圏。一つの都市だけでなく複数の都市を回りたいという外国人観光客は多いので、交通アクセスのいい場所が宿泊の第一条件となります。

大阪だと梅田(大阪)駅や心斎橋駅の周辺が人気です。特に、心斎橋駅周辺は商店街全体でインバウンド需要への取り組みに力を入れています。通訳サービスや外国語案内は、もはや当たり前となっています。外国人にとって自国の言葉が通じるということは、やはり心強いものでしょう。この2つのターミナル駅に近い物件は人気が出ています。

京都では京都駅周辺の人気が高くなっています。それは旅行客の多くが大阪や奈良などの周辺都市にも足を伸ばすことを考えているからです。京都のみを回りたいというユーザーであれば、京都駅から離れていても滞在を検討するかもしれませんが、よほど物件や生活環境が魅力的でないと、継続的に利用客を獲得するのは難しいかもしれません。

その他の人気都市は・・・

東京都内、関西圏のほかに人気のある都市はどこなのでしょうか。

2015年12月にAirbnbが発表した『2015年大みそかの人気旅行先ランキング』で、九州の福岡市が宿泊予約増加率で前年同期比1287%という驚異的な伸びをみせて世界一位に輝きました。アジアからの玄関口として機能してきた福岡市では、中国からの「爆買い」ツアー客が急増しています。2015年には博多港に寄港するクルーズ船の乗客が年間で100万人を初めて超えました。観光バスも足りない状況が続いています。

続いて挙げられるは石川県金沢市です。北陸新幹線が開通し、首都圏からのアクセスがグッと良くなりました。観光地としても、兼六園や金沢城などの見どころを揃えています。そのため、外国人専用のジャパン・レール・パスを使って東京から金沢に向かうルートを選ぶ観光客も増えています。金沢駅周辺の物件は人気が高いようです。

また、広島も根強い人気を誇ります。広島平和記念公園(=原爆ドーム)、厳島神社などの世界遺産を見たいと訪れるようです。大阪、京都からなら、新幹線でのアクセスがスムーズなのも魅力でしょう。こちらもやはり、ターミナル駅である広島駅周辺の物件が人気です。

意外な場所としては沖縄です。美ら海水族館、琉球城などの観光地を楽しんだり、美しい海を見たりとアクティビティには事欠きません。また、米軍基地があることから街全体が外国人慣れしているので、対応がスムーズというのも人気の理由でしょう。

人気都市の平均宿泊額を調べてみた

さて、ここまで述べてきた人気都市での、Airbnbでの1泊当たりの平均宿泊費を調べてみました。以下は、2016年1月1日現在の情報です。また宿泊費は、時期や曜日によって変動することがあります。

◯ 東京都内
・渋谷駅周辺:1万665円
・六本木駅周辺:8248円
・新宿駅周辺:8375円
・池袋駅周辺:8452円
・東京スカイツリー周辺:7504円

◯ 大阪府内
・大阪、梅田駅周辺:5832円
・心斎橋駅周辺:4536円

◯ 京都府内
・京都駅周辺:7823円

◯ 石川県内
・金沢駅周辺:7371円

◯ 広島県内
・広島駅周辺:6869円

◯ 沖縄県内
・那覇市内:5295円

物件のタイプにより金額は異なりますが、上手に使えば旅行費の節約につながるのは間違いないでしょう。

まとめ

外国人観光客に人気が高いのは、やはり、大都市へのアクセスが良いエリアといえそうです。最初はアクセス重視で物件を選ぶようですが、何度も日本に来ているリピーターとなると事情が少し変わります。日本のリアルな生活を体験すべく、人気スポットをあえて外したエリアに滞在する場合があります。もしあなたがAirbnbのホストになることも視野に入れているのでしたら、大都市のアクセスの良い物件であれば確実ですが、多少アクセスが悪くても物件の周辺に魅力的な観光スポットがあると、選んでもらえる可能性があります。外国人観光客の動向など、いろいろ調べたうえで物件選びをしてみると良いでしょう。(提供: Houstock Online

【関連記事】
空き家に他人を宿泊させるビジネス、「民泊」をご存じですか?
「また貸し」が問題に民泊拡大のために解決しなければならない課題
違法物件に宿泊している? 民泊を利用するときに注意したいこと
住民経営マンションとは?
不動産投資ローンの基本をできる限りまとめてみました