5月8日にオフィスの賃貸及び仲介を手掛ける三鬼商事より、東京都心5区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)の4月末時点のオフィス空室率が発表されました。三鬼商事によれば、オフィス空室率は6.64%となり、3月末よりも0.064ポイント改善され、改善は10か月連続となっています。5月8日付の日本経済新聞の記事によれば、「景気回復期待を背景に企業の本社機能の統合・移転が順調」だったようで、「三菱地所などが手掛けた大規模ビル『西新橋スクエア』(港区)は満室で稼働」しているとのことです。
改善傾向はオフィス空室率だけでなく、オフィス賃料にも見られます。都心5区のオフィス平均賃料(1坪あたり)は16,455円と前月末時点の16,325円よりも若干値上がりしており、しかも賃料上昇は続いています。また内訳をみると、既存ビルのオフィス空室率及び賃料が全体の数値を押し上げていることがわかります。なお、大阪ビジネス地区の空室率は横ばいの9.45%、名古屋ビジネス地区は0.08%低下の8.95%となっています。
オフィス空室率の改善は今後もしばらく続くのではないかと考えています。大規模なオフィスビルが竣工しているにも関わらず、オフィス空室率が改善しているという状況を踏まえると、景気回復の兆しが伺えます。今後はオフィス空室率の改善はもちろんのこと、オフィス賃料の上昇がどれくらいみられるかが焦点となってきそうです。
都心のオフィス空室率を個別にみてみると、渋谷区のオフィス空室率が圧倒的に低く4.43%となっています。ヒカリエの完成に始まった渋谷駅周辺の再開発はこれからが本格化してくるところであり、新築オフィスの需要をうまく取り込めば、渋谷再開発を主導している東急不動産などの業績にも大きく影響してくることが予想されます。渋谷区に次いで千代田区のオフィス空室率が低く5.23%となっています。千代田区には三菱地所が多くの土地を持っており、今後、三菱地所の収益向上にも大きな期待が持てます。そうなってくるとこれらの銘柄への投資も考えられますが、両者の株価に割安感は感じられず(2014年5月9日時点)、株価とオフィス空室率の動向を注視しながら投資のタイミングを計るというスタンスが妥当といえるでしょう。
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