Airbnb
(写真=PIXTA)

自宅や所有物件の空き部屋を貸し借りできる仲介プラットフォーム「Airbnb(エアビーアンドビー)」。現在、190ヶ国、3万4,000以上の都市で利用されており、さまざまなタイプ・価格帯の場所を検索・予約することができるサービスです。日本でも外国人観光客の増加などを受けて、その利用が盛んになりつつあります。そのAirbnbが、2016年1月8日、「2016年に訪れるべき16の地域」を発表しました。ランキング1位になったのは、意外にも、日本のある都市でした。

前年比7,000%増!? 利用者数伸び率ランキング1位はなんと!

Airbnbが発表した「2016年に訪れるべき16の地域」は、2015年にAirbnbを利用した宿泊客4,000万人以上の旅行パターンを分析し、宿泊者数の前年比伸び率が急上昇した地域を選定したものです。前年比7,000%増という高い伸び率で1位になったのは、なんと、大阪市中央区でした。上位を他のアジアの各地域が占めていますが、大阪は圧倒的に差をつけています。

<2016年に訪れるべき16の地域>

1. 大阪、中央区(日本)  7,000%増
2. バンコク、バンランプー(タイ)  1,230%増
3. クアラルンプール、ブリックフィールズ(マレーシア)  1,200%増
4. ボルドー、カピュサン(フランス)  960%増
5. アテネ、コウカキ(ギリシャ)  800%増
6. セビリア、トリアナ(スペイン)  770%増
7. ハンブルク、ハンマーブローク(ドイツ)  415%増
8. オアフ島、カネオヘ(米国)  320%増
9. フォルタレザ、メイレーレス(ブラジル)  285%増
10. メキシコシティ、ローマ・スール(メキシコ)  275%増
11. ダラス、オークローン(米国)  260%増
12. ジョージア州アトランタ、ポンシー=ハイランド(米国)  240%増
13. ブダペスト、第7地区(ハンガリー)  145%増
14. バリ島、ブキット半島(インドネシア)  130%増
15. メルボルン、リッチモンド(オーストラリア)  126%増
16. ブエノスアイレス、コンスティトゥシオン(アルゼンチン)  125%増

なぜ大阪市中央区の利用数が急上昇したのでしょうか。

人気急上昇の理由は!? ――観光客増、国際便増、空室減

大阪市中央区は大阪府の府庁所在地で、関西観光の中心的な地域の一つです。「じゃらん」の大阪市中央区の観光スポットランキング(http://www.jalan.net/kankou/cit_271280000/)には、「なんばグランド花月」、「道頓堀」、「大阪城」、「心斎橋」などがランクインしています。また、市内には人気の「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」もあり、観光客、特に外国人旅行者は年々増加の一途をたどっています。Airbnbは、大阪市中央区の人気急上昇の要因を「大阪城といった歴史的な遺産や、商店街、食い倒れ大阪を代表する市場などの存在が大きい」と分析しています。

Airbnbは、今回発表した16地域に共通するテーマを、「アート」、「食」、「野外体験」、「ショッピング」と分析しています。その中の「野外体験」の一例として、「裏道散策」を挙げています。大阪市中央区にはさまざまな史跡や文化施設が多く存在し、区でもこのようなスポットを巡るウォーキングコースガイドを配布して、歴史や芸能文化にも触れられることを積極的に発信しています。Airbnbのホスピタリティ担当責任者は、「Airbnbを通してホストの助けを借りることで、新しい形でその地のカルチャーを味わうことができる」といったコメントをしています。これは大阪にも通じることでしょう。

また、近年、関西国際空港の国際便が増えています。とりわけ、格安航空会社(LCC)の新規参入や増便によって、中国や韓国を中心としたアジア圏からの来日のハードルが大きく下がっており、大阪の人気を後押ししています。

このような人気上昇の一方で、宿泊施設はどこもほぼ満室という状態が慢性化している地域が見られるようになりました。もちろん、大阪もその例外ではありません。大阪に来る観光客の中には、ホテルが予約できず、Airbnbを利用したケースも多かったのではないかと想像されます。高い伸び率はそうした影響を反映しているのではないでしょうか。

まとめ

世界各国で利用が進むAirbnb。日本でも登録物件数やゲストの利用者数は増えつつあります。しかし、日本においては個人の家などにお金を払って宿泊する「民泊」は、旅館業法に抵触するのではないかという問題が議論されており、実際に賃貸物件の又貸しがトラブルに発展するケースが起こっています。

しかし、宿泊施設不足や2020年の東京オリンピック開催を踏まえ、政府は民泊の規制緩和を行う方針を発表しています。今回1位となった大阪市はまさにこの追い風を受け、大田区に次いで2016年1月に民泊を認める条例が可決されました。このことは、Airbnbの利用を今後さらに後押しするでしょう。(提供: Houstock Online

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