住宅価格は上昇が続くも都市間で二極化がみられる
3月18日に中国国家統計局が発表した2016年2月の住宅価格統計によれば、主要70都市の新築住宅価格が前月比で上昇した都市は47都市で、前月と比べて9都市増えています。下落は15都市で、前月から9都市減りました。平均価格は前年同月比1.9%の上昇と1月の同1.0%の上昇から伸びが加速、前月比では0.4%増と政府が市場を支援する方針に転換した14年後半から一貫して改善が続いています。
都市別では1級都市の北京、上海、深セン、広州に代表されるような大都市における住宅価格の上昇が顕著となっており、中でも上海、深センにおける新築住宅価格は前年同月比でそれぞれ21%増、57%増と高騰が続いています。
一方、2級、3級以下の中小都市では伸びが弱く、住宅価格に関して都市間での二極化がうかがえます。大多数の都市では住宅の購入に関する規制がすでに撤廃・緩和されているのに対して、深センや上海などの1級都市の一部では市場の過熱化や投機的な不動産取引を取り締まり、市場を安定化させるために、住宅購入制限や住宅ローン規制の継続および新たな規制の導入が予想されます。
不動産在庫の解消に向けた取り組み
中小都市における住宅価格の伸び悩みの背景には、膨大に積み上がる不動産在庫があります。
2015年12月に開催された中央経済工作会議では16年に取り組むべき5大任務として過剰生産設備の解消などとともに、この不動産在庫の解消が掲げられています。16年3月の全人代においても、李克強首相が政府工作報告の中で重点取組事項として言及しています。政府は不動産在庫削減のために、戸籍制度改革により農村部から都市部への人口移動を促すことで、都市部における住宅購入需要を拡大させようと目論んでいます。
住宅・都市農村建設部によると、現在の都市部常住人口は7.7億人で、都市化率は常住人口ベースで56%。これを20年までに60%に引き上げることを目指すそうです。
今後、不動産販売面積の拡大、不動産販売の回復が大都市にとどまらず、その他の中小都市にも波及していくと見られており、16年の不動産市場の回復は、不動産価格の上昇がけん引すると予測しています。不動産在庫の解消が進めば不動産価格が上昇する傾向が、1級都市から2級、3級都市に広がり、加速することが期待されます。
全国規模の大手デベロッパーに注目
中国当局は、中小都市の不動産在庫を削減し、かつ大都市で不動産市場を安定化させるという2つのことを同時に達成する難しいかじ取りが求められます。しかし、住宅ローン金利のさらなる緩和などを含む不動産市場への支援策は、2016年も引き続き実施されるでしょう。(提供: お金のキャンパス )
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