住宅取得事情,顧客実態調査
(写真=ニッセイ基礎研究所)

住宅取得の状況も、地域別に見るとやや異なってくる。「昨今の住宅取得事情」の第4回は、「戸建注文住宅の顧客実態調査」から地域別の傾向を読み取る。

地域別住宅取得資金の違い

◆名古屋圏は「固定金利期間選択型」の利用率が高い

図表1は「2014年度戸建注文住宅の顧客実態調査」の結果である。この調査は、戸建注文住宅の新築(建て替え含む)に限っている。

この結果を見ると、名古屋圏の「変動金利」の割合が48.6%と他の圏域より低く、「固定金利期間選択型」が35.1%で他の圏域より高い点が目立つ。特に「固定金利期間選択型」は、東京圏の約9%、大阪圏の約13%と比べると大きく異なっている。

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◆名古屋圏は贈与の割合が高い

名古屋圏は取得資金額が低く、贈与の割合が高い点も特徴的である。平均贈与額は東京圏が229万円、名古屋圏が288万円、大阪圏が236万円、地方都市圏が175万円と、名古屋圏が最も高くなっている。

名古屋圏の取得資金合計は4,209万円と都市圏の中で最も少額であることから、取得資金合計に対する贈与額の割合は6.9%で、次に高い東京圏より2ポイントも高くなっている。(図表2、3)

また、東京圏や大阪圏に比べ、自己資金の割合が低く、借入の割合が高くなっている。贈与額の割合が高いことは、2014年に限ったことではなく、過去5年間の推移を見ると、名古屋圏が常に最も高くなっている。(図表4)

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地域別世帯主年齢の違い

◆名古屋圏は若い取得者が多い

こうした名古屋圏における取得資金の特徴は、取得層の世帯主年齢が低いことで説明できる。名古屋圏の平均世帯主年齢は39歳で最も低く、過去5年間40歳を上回ったことはない。(図表5)

他の都市圏より多くの、年収が低くて自己資金に乏しい若い層が、親などの支援を受けて、戸建注文住宅を取得しているのである。

◆東京圏、大阪圏は建て替えや買い換え層が多い

東京圏や大阪圏は、「建て替え」がそれぞれ、38.4%、27.2%、「買い換え」がそれぞれ8.8%、7.0%と名古屋圏や地方都市圏より割合が高く、これが、平均世帯主年齢が高く、自己資金比率が高い要因と言える。

つまり、初めて住宅を取得する層だけでなく、自宅を建て替える層や、元の住宅を売却して新たに新築する層が多いのだ。(図表6)

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塩澤誠一郎(しおざわ せいいちろう)
ニッセイ基礎研究所 社会研究部 准主任研究員

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