節税
(写真=PIXTA)

税金は納付するだけ無駄?

事業主の方は多かれ少なかれ「節税」を意識していることと思います。それは資金繰り上げの必要性であったり、損益計算書上の費用を少なくしたいという意味であったり、「納めるだけ無駄」という思いだったり、それぞれ事情があります。今回は節税の意味をもう一度考え、合理的な節税にどのような方法があるかをみていきます。

良い節税と悪い節税とは

まず大前提として、納税は教育と勤労と並ぶ国民の三大義務であることを再度確認しましょう。納税によって日本の運営がされている以上、設計された税規定にそって納税を行うことが必要です。不当に少なく納税する人が増えれば、国や自治体の運営に支障をきたします。

一方で納税は少なくてはいけませんが、多く払う必要もありません。すなわち「適正な納税」ということがポイントです。不当にではなく設計に沿った形で節税することは、我々の権利です。問題は、節税をしてどうするのかということです。

教科書的な話になりますが、ある消費や投資がされると、払いを受けた者はまた消費や投資をします。この繰り返しにより、100の消費や投資は200にも300にもなる経済効果をもたらします。これを乗数効果といいます。節税のための投資や節税によって残った資金を投資に充て、売上と利益を伸ばして将来の税額を多くすることや投資の乗数効果で経済的にプラスに働けば、正しい節税と言えるでしょう。逆に、資金を手元に置いたままにしても乗数効果は期待できません。

自分の見栄のために利用して自社の売上や利益にもつながらなければ、果たして良い節税と言えるでしょうか。

日常処理、決算対策、税務調査対策で注意すべきこと

小難しい話はここまでにして、合理的な節税の方法を見ていきましょう。税務は経理と密接に関わっていますので、どういった行動をとり、どう経理処理するかが大切です。日常的な話、決算対策の話、税務調査対策の話をします。

交際費を例にしてみましょう。個人事業は全額税金計算上の費用となりますが、中小企業は800万円が上限です。上限を超えることはなかなかないと思いますが、超えそうな場合は交際費ではなく別の費用項目を検討します。

例えば一人あたり5000円以下の交際費は交際費としなくて構いませんし、事業者への販促費用払いは宣伝広告費にできるかもしれません。ほか、金額記載方法で収入印紙貼付が不要になる、回収が難しくなった売上債権や廃棄した固定資産を費用にする等、ルールを知っていれば節税できることがあります。また、国や都道府県、市区町村が優遇税制を実施していることもあります。要件を満たせば法人税や固定資産税などを抑えることができます。

決算対策としては費用の前倒しや決算賞与、生命保険などがありますが、多くは現金支出を伴うものです。事前に税理士等と相談されると良いでしょう。

税務調査対策としては、税務署に主張できる根拠を残しておくことです。経理処理した際の判断根拠を後から思い出せず、税務署の見解で修正申告をするリスクをなくします。回収できなくなった債権の節税例を先述しましたが、その際には先方に送った内容証明、電話した日時などで回収困難であったことを証明します。経理部や社外専門家に相談し、仕組み作りが必要です。

節税、投資、成長のループ

節税には、日頃から心がけておくことと、決算前に実施できること、税務調査でのリスク回避のための仕組み作りが大切です。これらに唯一の答えはなく、会社の状況や経営者の志向によって変わるものです。

節税して資金をコントロールし、その資金を再投資して会社を強くする、商品や納税を通じて社会に貢献ができる会社が増えることを願います。(提供: TRUSTAX

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