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近年の、アメリカや欧州各国からスイスやタックスヘイブンに対する規制など、世界的な透明性重視の流れが加速しています。同時に今まで大切にされてきた銀行の守秘性という常識が破壊されはじめました。日本では、オリンパス事件で舞台になったケイマン諸島が記憶に新しい所です。しかし今尚、タックスヘイブンには、グローバルカンパニーや世界の金融資産が流れ込んでいます。

タックスヘイブンの起源

そもそもタックスヘイブンは、資産を置く安全地帯”セーフヘイブン”として始まりました。しかし、その安全地帯がドラッグなどのマネーロンダリングに使用されるようになったり、収入や資産の隠し場所として、税金逃れというイメージが根付いてしまいました。

タックスヘイブンの定義とは

タックスヘイブンには、明確な定義はありませんが、OECDによる規定があります。
OECDでは、

①   金融・サービス等の活動から生じる所得に対して無税としている、または名目的にしか課税していない。
②   他国と実効的な情報交換を行っていない。税制や税務執行に透明性が欠如している。誘致される金融サービス等について、自国・地域において実質的な活動がなされる事を要求していないこと。

上記に該当する、非加盟国・地域をタックスヘイブンと認定しています。

世界で有名なタックスヘイブン

世界で有名なタックスヘイブンとして、「バミューダ」「ヴァージン諸島」「ラブアン」が挙げられます。以下にそれぞれの特徴をまとめます。

①バミューダ(Bermuda)
・NYから飛行機で2時間の場所に位置。イギリス領土。
・イギリスの海外領土の中でも、政治的・経済的な自立度が高い。
・金融部門と観光産業に支えられており、2005年には、一人当たりのGDPが$76,403となり世界で最も高い数値を記録。
・首都ハミルトンが世界第34位の金融センターと評価。

②イギリス領ヴァージン諸島(British Virgin Islands/通称 BVI)
・カリブ海の西インド諸島にあるイギリスの海外領土。
・経済は、西側のアメリカ領ヴァージン諸島と密接不可分の関係にあり、通貨も米ドルが使用されている。
・英国のシンクタンクにより、世界第 40 位の金融センターと評価。
・政府への年間法人登録税 350US ドルを払いさえすれば法人税はない。また他国との租税条約の締結もなく、かつ法人設立のための最低資本      額は 1US ドル。
・他にも、名目上のディレクターの使用が可能。オーナー個人情報は記録されない。オフショア法人を世界のどこからでも管理・運営が可能などメリットは多い。
・1984 年には、BVI で設立を希望する会社に対してオフショアの登録証明書を提供しました。その数は750,000 社を超え、2006 年の第3四半期だけで 51,000 社を超えた。
・BVI は、世界でも最大規模のオフショア法律事務所の5つすべてが BVI に存在する。また、地域の法律事務所は現在でも増え続けている。
・金融業務と船舶登記業務は、BVI 政府収入のおよそ 50%を生成しています。
・公用語は英語。

③ラブアン(Labuan)
・マレーシアの一部。もともとリゾート地として人気があったが、1990 年マレーシア連邦政府によりオフショア会社法が制定され、ラブアン
・オフショア金融サービスセンター が設立された。
・現在マレーシアのオフショア(租税回避地)として東南アジアや中東の注目を集めている。
・全部で 7000 以上のオフショアカンパニーが登記されている。

余談でありますが、ラブアンと韓国の関係も記載します。

韓国におけるタックスヘイブン経由の直接投資の 74%はラブアン経由の投資が占めていて、その金額は日本円にして1兆円以上にのぼっています。そしてそのマネーのほとんどが課税を逃れていました。その事実に対して、韓国政府は2006年より、新源泉税規則を適用する初の外国領地としてマレーシアのタックスヘイブンであるラブアンを指定し、韓国の税率を適用させ、タックス逃避を防ぎました。ちなみに、このラブアンはローンスターがベルギーとともに併用していたことで有名です。