第二のタックスヘイブン ルクセンブルク
ルクセンブルクは、ユーロ圏を代表する国際金融センターです。かつては鉄鋼や化学といった重工業を中心とした工業国であったが、現在では銀行業や金融サービスを中心とした金融大国です。特にユーロ圏におけるプライベート・バンキングの中心地であり、世界的に見てもスイスや非EU加盟国に匹敵する規模を誇っています。ルクセンブルクは先進国の中でも特に税率が低い国であり、数多くの国外企業を誘致することに成功しています。近年ではインターネット関連企業の誘致に力を注いでおり、スカイプ社やeBay 社、Apple社などを筆頭として数多くのインターネット関連企業が本社機能を移転しています。ただし、本社機能を完全移転したスカイプ社のような事例は稀であり、その大半は欧州本社であり、日本企業としては、帝人 やファナック、楽天などが欧州本社を置いています。また、その税負担の軽さから、欧州連合や OECDまたはG20などに事実上のタックスヘイブンとみなされ、強い非難を浴びてきました。
【参考】
The Global Financial Centres Index 15
グーグルも活用 タックスヘイブンを使ったダッチ・サンドイッチ
AppleやGoogleも採用しているダッチ・サンドイッチを使った節税方法を紹介します。
上図はダッチサンドイッチと言われているテクニック。
例えば、左側の図では源泉徴収税Withholding taxが 8.3%課税されているのが分かると思いますが、右側ではオランダの会社からマレーシア⇒ラブアンを介して BVI (ヴァージン諸島)に送金することで、タックスをゼロにしています。ちなみに、Google はタックスヘイブンで 31 億ドルも租税回避しています。 Google が展開している国々のほとんどが、法人税を平均して 20%以上に設定しているにもかかわらず、実質 2.4%という税率しか支払っていません。ちなみにアメリカの法人税は 35%、Google にとって 2 番目に大きな市場のイギリスの法人税は 28%にもなります。 もし Google がまともに 35%もの法人税を払っていたら株価は今より 数百ドルは下がっているだろうとも言われています。
※なお、日本政府はタックスヘイブンを厳しく規制しているため、このスキームを日本企業が真似する事はできません。
アメリカや欧州各国からタックスヘイブンに対する規制など、世界的な透明性重視の流れが加速している中で、タックスヘイブンの今後の展開は、見逃せない所です。まだまだタックスヘイブンへの資金流入の流れは止まりませんが、今後規制強化などの動きがある可能性があります。
またグローバルカンパニーのタックスヘイブンの活用方法なども、少なからず規制強化に影響を受けますので、今後一層の注目がタックスヘイブンへ集まる可能性があります。
BY Z:元プライベートバンカー
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