大企業にいても安心できない時代に
結局、転職に成功する人とは、「自分のキャリアを自分で切り拓いていく」という気概や主体性を持っている人であるといえるのかもしれない。
「確かに主体性は大切ですね。それともう1つ重要になるのが、『柔軟性』です。人は同じ会社で10年も20年も働いていると、ほとんどの仕事をルーチンワークでこなせるようになります。それでも、そこそこの成績は上げられるでしょう。
ただ、ビジネスの現場は刻一刻と変化しています。にもかかわらず、ルーチンワークに固執していると、世の中の動きに対応することができず、いざというときに動きがとれません。
ここがビジネスマンの分かれ目です。『面倒くさいから、ルーチンワークだけでいいや』と思った人は、そこで成長もストップします。常に先を見据えて状況に柔軟に対応できる人だけが、生き残るのです」
変化に対応する柔軟性は大切だが、城氏は40代社員に転職を勧めているわけではない。「もしも」のときに備え、常に自身の市場価値を高めておくことが大切なのだという。
「シャープや東芝の例もあるように、たとえ大企業でも何が起きるかわかりません。会社にしがみついて生きようにも、しがみつこうとしていたその大木が、見る見る間に倒れてしまうような時代です。そのときに社内でしか評価されない能力やスキルしか身につけてこなかった人は、途方に暮れることになります。また、やりたいことをやるのが人生だとすれば、『この仕事を続けていていいのか』と疑問を抱きながら生きていくのはつらいものです。
転職は、年収が下がることのほうが多いのが実状です。また実力主義のベンチャーや外資系では、転職時には年収は上がるかもしれませんが、ずっとその収入が保証されるわけではありません。それでも『やりがい』を求めて転職していく40代がいます。
転職するかどうかは別として、『転職したい』と思ったときには、いつでも一歩を踏み出せるだけの能力とスキルを、日頃から磨いておくことが大切だと思います」
城繁幸(じょう しげゆき)人事コンサルタント
1973年山口県生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通に入社。2004年に独立。人事コンサルティング「Joe's Labo」代表取締役を務める。雇用問題のスペシャリストとして、「若者の視点」を取り入れた独自の主張を展開。著書に『若者はなぜ3年で辞めるのか?』(光文社新書)、『7割は課長にさえなれません』(PHP新書)など。(取材・構成:長谷川 敦)(THE21編集部『
The 21 online
』2016年3月号より)
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