韓国財界に「特別賞」 進む危険の外注化
また同キャンペーン団は「殺人企業ランキング」とは別に、「特別賞」として韓国最大の経済団体である全国経済人連合会を選んでいる。2005年から2014年までの10年間について、労災死亡者数の上位50社の約8割にあたる39社が同連合会に所属する大手企業だったことや、派遣雇用の拡大や解雇規制の緩和など「労働者を死に追い込む緩和を強力に要求した」というのが選定の理由なのだという。
確かに過去10年間の労災死亡者数を見ると、最も多かった現代建設の110人を始め、大宇建設の102人、LGグループから分離した財閥系企業であるGS建設の101人など、財閥系企業が続いている。この他にも死亡者数の多い企業には、日本でも知名度の高い企業が軒並み名を連ねていることも事実だ。
さらに同キャンペーン団は韓国労働市場に広がる構造的な歪みとして、同連合会に所属する大企業が労災保険の適用を回避することを目的に、労災の恐れがある危険な現場業務を下請けに外注するケースが増加していることにも注意を喚起している。
労災死亡率は日本の3倍…労働安全に関しては「途上国」
韓国産業安全保健公団によると、2012年を基準年とする労災事故死亡率は0.73で、日本の0.20、米国の0.35、ドイツの0.17など、他の主要先進国と比較すると極めて高い値となっている。この「労災事故死亡率」は年間労働者数1万人当たりの死亡者数の割合を示すもので、日本の3倍、ドイツの4倍を超える高率は、OECD加盟国でもトップレベルになるという。
こうした実情に対しては、韓国内でも「労働安全途上国」との自虐的な呼び名さえもが用いられている。「利益優先」に対する疑問視は、徐々に、けれども着実に、韓国民の間に浸透しつつある。
韓国「2016年労災死亡者数ランキング」
1位:ハンファケミカル(死亡者数6人)
2位:韓国鉄道公社(5人)
2位:大宇造船海洋(5人)
2位:ポスコ建設(5人)
2位:大宇建設(5人)
3位:韓国鉄道施設公団(4人)
3位:SKハイニックス(4人)
3位:アサン金属(4人)
3位:高麗亜鉛(4人)
(ZUU online 編集部)