真田丸,企業生き残り,戦略
(写真=The 21 online)

真田家とシャープの抱える問題は同じ!?

人気の大河ドラマ「真田丸」。そこで繰り広げられている「弱者の戦略」は、現代のビジネスマンにも大いに参考になるというのは、経営学者の陰山孔貴氏だ。真田家の戦略に見る弱者の知恵と、今、同じような状況に置かれている意外な企業とは?

若手経営学者の悩み

少し前に、僕が仲良くさせてもらっている若手の経営学者達(僕らは30代後半のアラフォーなのですが、経営学者の先生の中では比較的若い方なので「若手」と呼ばれています)とこんな会話をしたことがありました。

「いろいろな理論とかシステムとかあるけど、やっぱり経営は人だよな~」

「確かに!」
「人だよ! 人!」
「そりゃ、そうだよな~」
「でも、それを言っちゃ、僕らの世界ではおしまいなんじゃない?」
「おしまいって?」
「『経営は人です! はい。以上!』なら、経営学、いらない気がしない?」
「確かに!」
「悩ましい問題だね(笑)」
「いや、それでも人でしょ! 人!」
「うーん。そうだよな~」

と、いう会話です。

今の企業は複雑です。

いろいろな要素が複雑に絡み合っていて、何が成功要因で何が失敗要因なのか、僕ら経営学者でも意見が分かれることは日常茶飯事です。

そこで、この記事では、少し視点を変えて、現代の企業よりもより組織がシンプルで、かつファンも多いと思われる戦国時代の組織を例にとって考えてみましょう(いささか、むちゃぶりな気もしますが)!

「真田丸」は弱小勢力生き残りの物語

今、NHKで放送されている大河ドラマ「真田丸」を毎週、楽しみに見ている方も多いはずです。

多くの方がこのドラマに惹きつけられる点は、弱小勢力である真田家が、織田、徳川、上杉、北条という巨大勢力に囲まれながら、そして、何度も絶体絶命な状態に追い込まれながらも、生き延びていくところではないでしょうか。

ここで「真田丸」を見ていない方もおられるでしょうから、少し「真田丸」について説明をさせて頂きましょう。

「真田丸」は、2016年のNHK大河ドラマで、天才の父、秀才の兄、その2人を追いかける好奇心と冒険心旺盛な次男坊の「真田信繁」を主人公とした物語です。

ちなみに、この「信繁」は「幸村」のことです。多くの方にとっては「幸村」の名前のほうが、馴染み深いのではないでしょうか。ただ、この「幸村」という名前は後世に創作された名前だとも言われており、「真田丸」でも「信繁」という名前が採用されています。

その「信繁」の父・昌幸は、元は武田信玄の家臣で、かなり信玄とも近い存在だった人です。

しかし、信玄没後、織田信長の侵攻により、名門・武田家は滅亡してしまいます。その結果、交通の要所であった真田家の領地は、織田、徳川、上杉、北条、豊臣という巨大勢力に次から次へと狙われ続けます。その中でも、真田家がなんとか生き残っていく姿を物語にしたのが「真田丸」なのです。