為替相場見通し,英EU離脱
(写真=PIXTA)

ドル円予想レンジ 100.71-106.40

「英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)問題では、国民投票の結果が将来の政策を決定する上で考慮する要因となる」-。これは6/16の米連邦公開市場委員会(FOMC)後にイエレンFRB議長が述べた弁だ。

英国のEU離脱に関して、菅官房長官、世耕官房副長官、自民党稲田政調会長、そして黒田日銀総裁は、6/16の政策会合後に「各国と緊密に連携」と表明している。理由は、為替に急激な変動を与える可能性があるからだ。

再確認。英EU離脱が円に与える影響

6/13に経団連の榊原会長は「イギリスでは日本から1000社を超える企業が事業展開しており、投資額は1兆円を超えている。多くの企業はEUの一員であるからイギリスに投資しており、仮にEUからの離脱が決まってその前提が崩れると、企業の競争力が大きく変わってしまう恐れがある」との見解を示している。

要は、新たな関税発生など英国進出のメリットが低減すれば、進出企業の業績下方修正は勿論、英国撤退もあり得るということだ。日銀の国際収支統計では、2013年末時点で日本から英国への直接投資残高は7兆1379億円。

英国撤退による投資残縮小はポンド売り/円転圧力に繋がる。国民投票の結果は、日本時間で6/24の午前6時頃に判明予定だが、それまでは、各世論調査、思惑がポンドの動きを荒ぶらせることとなろう。

英EU離脱懸念に翻弄されるドル円見通し

警戒すべきは相関係数 (過去200日6/16終値時点)の観点から、ポンド円/ユーロ円/ドル円が同調連動を強める可能性だ。参院選前の1ドル100円割れは、2013/4の日銀異次元緩和の否定も意味するので、市場警戒度は一層高まるだろう。

為替見通し6-17-2

セル・ザ・ルーマー/バイ・ザ・ファクト(噂で売って、事実で買う)になる可能性も留意し、ドル円上値は日足一目均衡表雲の帯(108.31-109.99)による圧迫下、6/13-14高値106.41-42ダブルトップ超が課題。越えて6/13高値106.86、6/10高値107.27意識。下値焦点は6/16安値103.60、2014/8/22-28安値圏103.485-545、下押し加速が強まると103円節目割れ2014/8/20安値102.89を想起。

最大リスクとしては同年8/8、7/14安値圏101.405-495、7/10-7/18安値圏101.05-08。そして2011年10月の戦後最安値75.55から15年6月の125.87後の下落「半値(50%)戻し」100.71も覚悟しておきたい。

為替見通し6-17

武部力也
岡三オンライン証券 投資情報部長兼シニアストラテジスト