米コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーは5月に発表したFinTechレポートの中で、「ドイツの銀行は2020年までに、利益の29%から35%をFinTech企業に奪われる」との見解を示した。

ドイツの消費者がいまだかつてないほど変化にオープンになっている現在、ドイツでも大胆な金融革命が求められている点を指摘。

ドイツの銀行の未来はこうした変化への需要にいかに柔軟に、かつ素早く対応できるかにかかっているようだ。

デジタル化に目覚めたドイツの消費者

ドイツにおけるFinTechの発展に焦点を当てたこのレポートは、「銀行は重要な先駆的開発に常に目を光らせ、市場の動きに敏感に対応すること」が、FinTech企業に立ち向かう必須条件としている。

FinTechの採用にはのんびりペースのドイツ。昨年のFinTech投資額は世界全体で138億ドル(約1兆4381億円)。ドイツの投資額は8200万ドル(約85億4522万円)と1.7%にも満たない。ほかの欧州国ーー英国の6億2300万ドル(約649億2283万円)、オランダの3億600万(約318億8826万円)ドルなどと比較すると微々たるものである。

現在ドイツには FinLabやFinLeapといった国内インキュベーターの支援を受け、ある程度の規模まで成長したFinTech企業が200社ある。これらのスタートアップは利便性が高く低コストで安全なサービスを看板に、個人消費者を標的にしている。

需要の高いFinTech分野は決済、融資、投資などだ。勢いのあるスタートアップとしては、ビッグデータをクレジットスコア(信用評価)に利用した革命的プラットフォームで、ユーザー数を100万人に伸ばした融資スタートアップAuxmoneyや、ドイツ初のデジタル銀行Number26などが挙げられる。

他国同様ドイツの消費者がデジタル化に目覚めた今、不便性ばかりが目立つ従来の銀行システムに勝ち目はない。

マッキンゼーは今後数年でドイツでも顧客のおよそ半分がデジタルバンキングに移行すると見ており、「顧客の関心をつかむ透明性の高い商品やサービスを提案できる企業だけが、今後生き残っていくだろう」とレポートを締めくくっている。( FinTech online編集部

【編集部のオススメ FinTech online記事 】
「フィンテックは必ずしもハイテクばかりではない」みずほFG 山田執行役常務・CDIO
コイニー「金融×ITの新しい『あたりまえ』を作るために求めるもの」
freee「本質的で価値あるものを生み出し、社会に、業界にインパクトを与える仕事を」
米銀行エグゼクティブの6割が「FinTechに対応できる」と回答
インドのATM「3分の1が稼働せず」準備銀行が罰則を警告