Brexit,為替相場
(写真=PIXTA)

ドル円相場は、英国のEU離脱懸念に伴うリスク回避、ハト派的なFOMCを受けた米利上げ観測後退、日銀の追加緩和見送りを受けて、一時103円台まで円高ドル安が進行、足元も104円台半ばにある。

目先の最大の焦点は、明日行われる英国のEU離脱を問う国民投票だが、メインシナリオは残留決定となる。その際のドル円は、リスク回避の後退や米利上げ観測の持ち直しにより、円安に振れることが予想される。水準としては、離脱懸念が大きく高まる前の水準である106円台が目処になる。

ただし、その後のドル円は上値が重たくなりそうだ。FRBは雇用減速を受けて利上げへの慎重姿勢を強めており、利上げは9月まで後ズレしそうだ。従って、しばらくドルを買いづらい状況が続き、9月に入ってからやや円安ドル高に振れると見ている。

日銀は7月に追加緩和に踏み切ると予想するが、同時に「緩和の限界」が意識されることで円安効果が減殺され、為替への影響は限定的になると見ている。

ユーロ円は、ユーロ圏が英国と強い繋がりを持つだけに、EU離脱懸念を織り込む形で117円台まで下落している。今後、残留が決まればユーロ高反応が予想され、その上昇幅はドル円を上回ると見ている。ただし、その時点でユーロ高材料は玉切れとなり、以降は一進一退の展開が続きそうだ。

長期金利は、▲0.1%台半ばでの推移となっている。英国の残留が決まれば一旦若干上昇が予想されるが、日銀が7月に追加緩和に踏み切ることで、▲0.2%付近に低下、定着すると見ている。

ちなみに、リスクシナリオになるが、英国がEU離脱を決定した場合には、円はドル・ユーロに対し急激に上昇し、長期金利も低下することになるだろう。(執筆時点:2016/6/22)

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上野剛志(うえの つよし)
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 シニアエコノミスト

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