日経平均予想ジ レンジ 14,864 ~ 15,602 円

今週は、英EU離脱決定による市場の不安心理が和らぐ中、欧米株高や円高一服など外部環境改善で、日経平均は6連騰から週初15,800円台を回復した。その後、英EU離脱の影響に対する懸念が再燃、欧州株安や急速な円高進行を嫌気して、4日続落から15,106円まで売り込まれるなど不安定な展開となった。

海外の焦点

英国のEU離脱を決定した余波で、イタリア政府は多額の不良債権を抱える銀行に公的資金注入など救済策を打ち出した。また、ECBと欧州銀行監督機構は、今年のストレステストの結果を月末に公表する予定で、欧州の銀行株の警戒感が世界の金融市場に広がることが懸念されている。結果としてリスク回避の円高圧力が勝っている状況が東京市場のリスクオフを増幅させている。

米国では、米景気の先行き不安が和らぎ、NYダウは18,000ドル挑戦の動きとなっている。FOMC議事録(6/14、15開催分)では、5月雇用の急減速や英EU離脱決定で、先行き不透明感が増しているため、「利上げは待つのが賢明」と判断した。市場では年内利上げは見送られるとの見方が広がっており、緩和的な金融環境の維持が株価の支えになるとの期待は高い。

国内の焦点

一方国内では参院選(7/10)の世論調査で「改憲勢力が3分の2に迫る勢い」と報じている。与党勝利はアベノミクス信任を評価されるが、改憲勢力が圧勝となれば、経済政策が後ずれし、政治が前面に出てきかねない。

しかし、英国のEU離脱を機に、かえって日本の財政出動の規模拡大と早期の追加緩和が現実味を帯びると同時に、アベノミクスが国民に信任されたとして、介護と保育に重点を置いた1億総活躍社会計画の推進は、新たなステージに移行する可能性は大きい。

来週の株式相場

テクニカル面では、リバウンドが一巡し、方向感を探る局面に入った。全ての移動平均線が下を向いている上、日足は下方に位置し、中期的には下降トレンドが続いていると見ざるを得ない。6/24安値14,864円を下抜けると下値模索の展開になりやすい。一方、ここで踏み止まれば、短期的な2番底形成で、再度戻りを試す展開は考慮しておきたい。

以上、来週の相場は、欧州の金融懸念が続く中で、日米イベント後の政策対応を支えに再度戻りを試す展開と捉えている。日経平均のレンジとしては、上値は7/5窓埋め15,602円が目処となり、下値は6/24安値の14,864が意識される。

株式相場見通し7-8

伊藤嘉洋
岡三オンライン証券 チーフストラテジスト