ロシアの融資スタートアップによる「ブラックムーン(Blackmoon)」が、ニューヨークに支店を構え、本格的な米進出に乗りだした。
通常のP2P融資は、借り手と貸し手の仲介サービスだが、このバランスシート融資では融資を専門とする企業が投資家にお金を貸し、借り手の投資家がさらにP2Pで貸し手になる。この企業と投資家の仲介を提供する、新しいプラットフォームだ。本国ロシアを筆頭に、ポーランド、ラトビア、チェコ共和国、フィンランドなど、すでに7カ国でサービスを提供。
米レンディング・クラブのスキャンダルが大打撃となったP2P市場に、新たな旋風を巻き起こすことができるのだろうか。
P2Pの失速を後目に、融資産業は好調
過去数年で急成長をとげたソーシャルレンディング産業だが、追い風がやむのも急だった感が強い。
米国では投資家や中小企業間で経済の先行きへの懸念が増し、P2P融資が頭打ち。Prosper MarketplaceやOn Deck Capitalといった大手企業が、事業縮小にはいっている。そこへパイオニア的存在だったレンディング・クラブの不祥事が発覚し、P2P下火を加速させた。
業績をあげるプレッシャーから債権の販売で権利を乱用し、当時のCEOであったルノー・ラプランシュ氏が辞任。世間に大きな波紋を投げかけ、P2P融資産業の信用と名誉に痛手を負わす事態に発展した。
こうした予想外の失速をものともせず、事業拡大の勢力を増しているのがブラックムーンである。「バランスシートとP2Pを融合させた新融資プラットフォーム」というスタイルで話題を呼び、今回の米進出で大ブレイクを狙う。
融資市場自体は好調。米最大手13社の融資総額は、昨年上半期だけでも125億ドル(約1兆3195億円)弱。2020年には5000億(約52兆7800億円)に達すると見込まれている。ブラックムーンのような一風変わったサービスにも、勝算は十分にあるだろう。