米独立系ファイナンシャル・アドバイザー組織LPLファイナンシャルが、投資会社ブラックロックとの提携により新たなロボットアドバイザーをテスト運転中だ。

顧客の所有する運用口座の最低残高額を5000ドル(約50万9000円)に設定し、小口投資の限界に挑戦しているが、Wealthfrontを含むロボアド会社の間でも顧客獲得戦略の一環として、こうした「低残高投資」に切りかえる動きが多数見られており、「将来的にはゼロ残高投資が主流になる」との見方もでてきている。

立ちはだかる壁 ゼロ残高の大手Betterment

1989年の設立以来、加盟独立系アドバイザー数1万4000人、銀行数700社を超える、米国最大のファイナンシャル・アドバイザー・ブローカーに成長したLPL。仲介業務による運用資産総額は4880億ドル(約49兆6784億円)に達している。

昨年4月にブラックロックのロボアド・システム「フューチャー・アドバイザー(FutureAdvisor)」を採用し、独自のデジタル・プラットフォームの開発に着手。現在、最低運用額を5000ドルでテスト運転を実施中だ。

LPLのダン・アーノルド社長は昨年6月にロボアドの開発を公にした際、「ロボアドが人間のアドバイザーの職を乗っとるとは考えられないが、需要があることは確かだ」と、幅広い顧客層からの需要に柔軟な姿勢を示した。

5000ドルという相場より低めの最低残高額で、新たな顧客の獲得も視野にいれているが、市場では最低残高をウリにするだけでは苦戦しそうな気配が濃くなりつつある。

例えばすでにゼロ残高システムを採用しており、顧客からの信用も確立しているBettermentなどに太刀打ちするには、これらの層を惹きつける「特別な何か」が不可欠になってくるだろう。

ロボアド市場は最早価格競争だけでは勝ち抜けないほど、激化しているようだ。