GDP,アベノミクス,円高
(写真=PIXTA)

2016年4-6月期の実質GDPは前期比+0.0%(年率+0.2%)と、2四半期連続のプラスになったが、コンセンサス(前期比+0.2%程度)を下回った。

1-3月期はうるう年の効果(年率+1.2ppt程度)などで前期比+0.5%(年率+2.0%、+1.9%から上昇修正)となり、4-6月期にはその反動が懸念されたがなんとかプラス成長を維持した。うるう年の効果を均して4-6月期を昨年10-12月期と比較すると実質GDPは+0.6%(年率+1.1%)増加しており、トレンドとしての持ち直しは確認された。

うるう年の反動、そして曜日並びのよかったゴールデンウィークなど、季節性が通常より大きく、季節調整の影響などで、結果が上下に大きく振れるリスクがあったが、その影響は若干下方に効いたようだ。

企業活動の弱さを家計活動の持ち直しでオフセット

年初からグローバルに景気・マーケット動向が不安定化し、6月には英国のEU離脱問題もあり、企業心理と活動が下押された。実質設備投資は前期比-0.4%と2四半期連続のマイナスとなり、在庫増加に対する懸念から民間在庫投資の実質GDP寄与度も、3四半期連続のマイナスから持ち直しがみられなかった(-0.0%)。

生産活動向けの原材料の輸入も低調で、実質輸入は前期比-0.1%と3四半期連続でマイナスになった。英国のEU離脱問題への警戒など、グローバルに貿易活動は停滞しており、実質輸出が同-1.5%と弱かったのがコンセンサスを下回った大きな理由である。

一方、家計の活動には持ち直しの動きがみられた。雇用環境は極めてよく、賃金上昇も始まっているため、株価低迷などの下押しを乗り越えて、実質消費は前期比+0.2%と2四半期連続でプラスになった。堅調な企業収益を背景とした夏のボーナスの増加も貢献したとみる。4-6月期の名目雇用者報酬は前年同期比+1.9%と堅調である。

日銀のマイナス金利政策による、住宅ローン金利の低下の影響もあり、実質住宅投資が前期比+5.0%と好調で、3四半期ぶりのプラスになった。企業活動の弱さを家計活動の持ち直しでオフセットした形である上に、政府の政策対応の効果でプラス成長になったイメージである。