オーストラリアのコモンウェルス銀行が、AI(人工知能)研究用に人間型ロボット「CHIP」を採用し、大学の研究機関を通して、テクノロジーに秘められた様々な可能性を探索する。

現時点では世界に3台しかない、スペインのパル・ロボティクスによる「REEMロボット」で、購入価格は30万ドル(約3010万円)。ロボットを直接的な業務目的ではなく、ロボットの研究に採用するという発想が新鮮だ。

工科学生に広範囲なロボット研究、開発の場を提供

コモンウェルス銀行はシドニーに開設した「コモン銀行・イノベーション・ラボ」で、オーストラリアの優秀な工科大学の学生が研究、開発に「CHIP」を利用できる環境を提供する予定だ。

まずは2年間の研究提携を結んだシドニー工科大学とオーストラリア・テクノロジー・ネットワーク大学が、「人間とロボットの共存」というテーマで共同研究を開始する。

コモンウェルス銀行ホールセール部門のエクゼクティブ、ケリー・ロズマリン氏は、「将来的にはロボットが人間の生活の一部となる」と確信している一人だ。

CHIPを利用した研究によって、「そうした変化が顧客やオーストラリアの産業にどのような影響を与えるのか」という点についての理解を深めたいとコメントしている。

今回の研究、開発にはオーストラリアの大手土地開発会社、ストックランドも参加しており、金融分野のみにとどまらない広範囲な可能性が探索される。

ビジネスパークからショッピングモール、住宅地域に至るまで、ロボット工学を活用できる手段が発見されることを、ストックランドは期待しているという。