「ものが売れない時代」と言われるようになってから久しい。日本政府はさまざまな手段を使って、景気の底上げを行おうとしているが、日本を再び成長軌道に乗せることは、簡単なことではない。必要なものは、もうほとんどの人の手にいき渡っているからである。
ではものが全く売れないのかというとそんなことはない。「商品」とひとくちにいっても、実際には「ニーズ」商品と「ウォンツ」商品の2種類に分けられる。この区別が意識出来ているかがものを売るためには必要になる。
「ニーズ」商品は、安ければ安いほどいい
ニーズ商品とは「ないと痛みを伴うもの」のことで、簡単にいってしまえば生活必需品のこと。対するウォンツ商品とは、「あれば快楽となるもの」のことをいい、要は嗜好品を指す。
通常、ニーズ商品とは「ないと困るもの」だから、顧客はその商品が必要なことを自覚しているのが普通である。歯磨き粉や洗剤、トイレットペーパーなどといったニーズ商品は、「1円でも安く買いたい」と思う方が消費者心理だろう。
「ウォンツ」商品は単価を高くできる
対するウォンツ商品とは、顧客が普段は自覚していない「潜在的ニーズ」を掘り起こす商品のことをいう。たとえばアイフォンがいい例である。
アイフォンが世に出るまでは、誰もスマホ自体を知らず、それを欲しいと思うことさえできなかった。それまでの携帯は1円携帯などといって、本体にはお金を払わないのが普通だったが、アイフォンはその概念をも変えた。つまり、ウォンツは高単価を狙えるのである。
ウォンツ商品の難しさとは、いかに顧客に「自分の中の欲求に気づいてもらうか?」という点にある。ニーズとウォンツの具体例については、拙著『プロフェッショナルサラリーマン』の中にも記載しておいたので、よろしければそちらもお読みいただければと思う。