病気への備えなら健康保険があればいい

お金の使い方に関しては、教育費や自己投資など目標を伴うものに注意。それが非現実的な「夢」なら、投資ではなく消費になってしまいます。

かかる時間も考えるべきです。年収を時給換算した上で「二年間社会人大学院に通う」という投資を考えると、その間どれだけ稼げるか、それを犠牲にする価値があるか見えるでしょう。

その他に、無駄が生じやすいのが医療保険です。小さい子供がいる家庭の働き手であれば、万一に備えて一千万円程度の保障で、掛け捨てのシンプルな生命保険に入っておくのは良いでしょう。しかし、それ以外は不要です。とりわけ危険なのは、高利回りを謳う外貨建ての個人年金保険。金融庁が高すぎる手数料を指摘し、システムの透明化を指示したいわくつきの商品です。

病気への備えは健康保険で十分。健康保険には高額療養費制度があり、自己負担限度額を超えた分は戻ってきます。

山崎元氏のアドバイス

○使っていいお金、やっておくべき投資

・個人向け国債(変動金利型10年満期)
・手数料の安いインデックスファンド
・その他、老後資金を見据えた使い方

×使ってはいけないお金、やってはいけない投資

・外貨預金
・医療保険、がん保険、個人年金保険(とくに外貨建ての商品)
・子供や自分の実現可能性の低い「夢」への投資

山崎 元(やまざき・はじめ)経済評論家/〔株〕マイベンチマーク代表取締役
1958年、北海道生まれ。東京大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。野村投信、住友信託銀行、メリルリンチなど12回の転職を経て、㈱マイベンチマーク代表取締役。楽天経済研究所客員研究員。『信じていいのか銀行員』(講談社現代新書)、『難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』(文響社)など著書多数。(取材・構成:塚田有香 写真撮影:まるやゆういち)(『 The 21 online 』2016年9月号より)

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