個人向け国債,変動金利型10年満期,投資,ポイント
(写真=The 21 online/山崎 元(経済評論家))

金融商品を選ぶ決定的なポイントは「手数料」

将来のために今どのようにお金を使い、貯めて、増やせばよいのか――それがわからず、漠然と「将来が不安」という人は多い。銀行・証券・保険会社の裏事情を知り尽くした投資の専門家・山崎元氏が考える、「使っていいお金・やっておくべき投資」と「使ってはいけないお金・やってはいけない投資」とは?

老後資金との兼ね合いで今の使い方が決まる

「やっておくべき投資」ということで言えば、誰にでも勧められるのはリスクの低い方法です。その意味で、変動金利型10年満期の個人向け国債がお勧めです。

その理由は三つあります。一つは安全性。極端な話、日本が財政破綻しても先につぶれるのは国ではなく銀行です。そういう意味では銀行預金より安心なのです。二つめの理由は金利変動。変動型なら将来の金利上昇にもある程度ついていくことができます。三つ目は利回り。現在メガバンクの10年定期の利回りは0.01~0.02%なのに対し、こちらは0.05%が下限と定められているのも長所です。

また、インデックスファンドもお勧めです。日経平均などの指標に連動、アクティブファンドより手数料が安くなります。選ぶポイントは手数料。将来値上がりするものを事前に選ぶことはできないのだから、販売手数料と運用管理手数料が低いものを選ぶのが合理的です。この点で、日興アセットマネジメントのETF「上場インデックスファンドTOPIX」、通常の投信なら「ニッセイ外国株式インデックスファンド」などの「ノーロード」商品がいいでしょう。

この「手数料」というポイントとも関連しますが、投資でお勧めできないのが外貨預金です。買うときや日本円に戻すときの手数料が高く、一ドルにつき一円程度かかるものも多く見られます。

株など、リスクのある金融商品に関しては、「買う量」で調整を。目安は、「損の最大額」です。たとえば、最大1,000万円損をする可能性があるとしたら、どう感じますか?

それをリアルにイメージするには、老後を考えてみることです。65~95歳までは30年、つまり360カ月。360万円あれば月々1万円使える計算です。その3倍弱の1,000万円なら、使えるのは月々3万円弱。つまり「1,000万円の損=老後の月々のお金が3万円減る」ということ。これを甚大なダメージだと思うか、「まあその程度なら」と思えるかで判断しましょう。

貯蓄や支出(消費)に関しても、同じ方法で考えることができます。65歳時点で3,600万円あれば、月々10万円を年金にプラスして使うことができます。それを目安に、65歳時点での貯蓄目標額を設定し、それに合わせてお金の使い方を判断するとよいでしょう。