ドバイ政府が2020年までに政府の全資料・書類をブロックチェーン化する一大プロジェクトを発表し、世界初のブロックチェーン都市改革に乗りだすことが明らかになった。
プロジェクト完了後、ドバイ在住の市民や企業は一度基本情報を登録するだけで、永久に面倒な「お役所仕事」から解放されるうえ、年間251万時間もの経済的生産性節約につながるとされている。
3Dプリントオフィスからブロックチェーン組織まで 未来を創造する都市が目標
ドバイ政府のプロジェクトは10月5日、アラブ首長国連邦ドバイの時期首長候補、ハムダーン皇太子がソーシャルメディアを通して正式に公表したものだ。
プロジェクト自体は今年5月にドバイで開催されたカンファレンス「 Keynote 2016」で、グローバル・ブロックチェーン・カウンシル(GBC)が公にしており、「ドバイ・ブロックチェーン・ストラテジー」と称したドバイ全域にわたるブロックチェーン改革の一環とされている。
ブロックチェーン最大の利点はイミュータブル(作成後変更不可能)な記録が永久的に保存されることだが、業務の大幅な効率化やCO2(二酸化炭素)排出の抑制なども期待できる。
「ブロックチェーン・ストラテジー」では行政の効率化だけではなく、事業面への拡大も予定されており、不動産から銀行、医療、輸送を含む多様な分野へ、ブロックチェーンの恩恵を広めていく計画だ。
ドバイでは近年、急速にブロックチェーン化に向けた活動が進んでいる。今回のプロジェクトの指揮をとるドバイ・フューチャー・ファンデーションや政府によるブロックチェーン開発組織、スマート・ドバイのほか、IBMやエリクソンといった国際IT大手がエクゼクティブメンバーに名を連ねるグローバル・ブロックチェーン・カウンシル(GBC)も発足している。
9月には世界で初めて全建物・施設を3Dプリンター技術で建設したオフィスをオープンさせるなど、資力と技術を最大限に生かした戦略で、世界屈指のブロックチェーン都市を実現させようという意気込みが伝わってくる。
フューチャー・ファンデーションのサイフ・アル・アレーリCEOは、「未来を創造する世界の中心地を目指すドバイにとって、ブロックチェーンとGBCの存在は必要不可欠だ」と、ドバイの最新技術に対する熱意が一過性のものではないことを示した。( FinTech online編集部 )
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