君の名は。,シン・ゴジラ,東宝
(写真=PIXTA)

東宝 <9602> が上映作品「君の名は。」「シン・ゴジラ」の大ヒットを受けて、業績予想を上方修正するなど明るい話題を振りまいている。2017年2月期の連結決算では、純利益予想を330億円(従来予想は223億)に引き上げ、3期連続で過去最高益をたたき出す見込みだ。

「君の名は。」150億超えの大ヒット

東宝が発表した2017年2月期の第2四半期連結決算によると、営業収入が前年同期比7.2%減の1149億8300万円、経常利益が同2.2%減の250億4800万円と前年同期比を割り込んだが、純利益は同4.9%増の165億8500万円となった。

純利益を押し上げるのに貢献したのがアニメ映画の「君の名は。」(新海誠監督)で、8月下旬の封切り以降、8週連続で週末観客動員数1位をキープし、公開52日間で興行収入が154億円を突破。150億円を超えるヒットを飛ばした邦画は、「崖の上のポニョ」(宮崎駿監督)以来8年ぶりとなった。「君の名は。」は、山深い田舎町に暮らす女子高生・三葉(みつは)と東京で暮らす男子高生・瀧(たき)が夢の中で互いに入れ替わり、次第に心を通わせる。

出会うはずもなかった運命にあった、遠く離れて暮らす2人の物語が繊細なセリフと独特のタッチで描かれている。スペインの国際映画祭アニメーション部門で最優秀長編作品を受賞するなど、海外でも注目を集め、世界89の国・地域での配給が決定している。

「君の名は。」と友に東宝の好調な業績を支えたのが「シン・ゴジラ」(庵野秀明総監督)だ。首都東京が巨大の襲撃にさらされる前代未聞の事態に立ち向かう、政治家や官僚などの姿をリアルな映像で届ける。閣議や危機対応など本来はベールに包まれた世界も、徹底した取材で忠実に再現し、作品の現実性を高めながら観客を映画の世界観に引き込む。狂言師の野村萬斎、長谷川博己、竹野内豊、石原さとみなど豪華なキャストも話題を呼び、7月の公開以降、75億円の興行収入を飛ばすヒットとなった。

この2作品以外にも、「名探偵コナン 純黒の悪夢(ナイトメア)」(興行収入63億)、「映画ドラえもん 新のび太の日本誕生」(同41億円)、「暗殺教室~卒業編~」(同35億)とクリーンヒットが相次いだ。